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ショップスタッフに聞く効果的なアプローチ。装備を軽量化するために【前編】

装備を軽量化するために登山装備の基本は軽量・コンパクトであること。軽量化は永遠の課題だ。各論に入る前に、ここで基本的な考え方を整理しておきたい。軽量化に取り組む前に知っておきたいことを、ヨシキ&P2の吉野時男さんに尋ねた。

文◉伊藤俊明
イラスト◉マイコペリー

なぜ軽量化するのか

軽量化にはふたつの目的がある。ひとつは体力の温存。身軽になることで体の負担が減り、行動のスピードが早くなる。より長く、遠くまで歩けるようになる。

もうひとつは装備をコンパクトにすること。体の動きを制限するものが減れば、そのぶんストレスなく自由に動ける。

装備を軽く・コンパクトにすることで結果的に行動に余裕が生まれ、リスクが軽減される。より安全に山で行動できるようになる。限られた時間で行動範囲を広げることができる。つまり、より深く山を楽しめるようになる。

そもそも、なぜ重くなってしまうのか。
あなたの装備は本当に重いのか

装備が重くなる原因は、知識や経験不足からくる不安だ。未知のもの、経験したことがないことに対する予防として荷物が増えてしまうケースが少なくない。よくあるのが水や食料、燃料を持ちすぎていること。必要以上の防寒着や着替えを持っている人も多い。心当たりはないだろうか。

不安を解消するのは経験と知識だ。もちろん、だれにでも初めてはある。そのとき頼りになるのは先輩やショップのスタッフのアドバイス。本誌のような専門誌や書籍。インターネットにも情報はあふれている。経験や知識をもとに「これはいらない」と引き算していくことで装備は軽量化できる。

山の経験がそれなりにあり、ふだんの山行ではとくに不安や迷いを感じない人、それでも軽量化したいと考えている人は、もういちど自分の装備を見直してみよう。

あなたのバックパックには「楽しみのための道具」が入っているかもしれない。山頂でコーヒーを飲みたい人にとって、コーヒーミルやドリッパーは欠かせない。山で写真を撮ることを楽しみにしているならカメラは必須だ。食事を楽しみたい人に「食料を持ちすぎている」という指摘は当たらない。楽しみのための道具は軽量化の対象にはならない。そのほかの「山で必要な道具」をスリムにできるかどうか、それについて考えてみよう。

基本的な3つの方法

【1】ものを減らす。より軽い道具に置き換える。

大前提として、必要ないものは持っていかない。「万一のため」と余分なものを持っていないだろうか。

必須装備を軽量化するもっとも簡単な方法は、いま使っている道具をより軽いものに変えること。ただし、同じ役割をもつ道具を軽くするには、タネも仕掛けも必要になる。たとえば軽量なテント。リッジポールを省略すれば軽くなるが、内部空間は狭くなる。フレームを細いものに変えれば軽くなるが、剛性は低くなる。ボトムの生地を薄くすれば軽くなるが、破れやすくなる(グラウンドシートを持つと重量が増えることはお忘れなく)。軽くなった背景には、必ずその理由がある。多くの場合、軽くすることで耐久性や快適性が損なわれる。その道具がなぜ軽いのかは正しく理解したい。軽量化によって生まれるデメリットを許容できるか。経験や技術でカバーできるかがポイントになる。

これから道具を揃えようという初心者には、まずは「定番」と呼ばれるような製品を選ぶことをおすすめする。軽さが際立つことはないかもしれないが、相応の耐久性があり、使い方が多少悪くても道具が助けてくれるだろう。バランスが取れた道具を使うことで、自分のなかにひとつの基準ができるはずだ。そうなればしめたもの。目的に合わせて迷わず道具を選べるようになる。

【2】ひとつの道具を多用途に使う。

適度に風を防いでくれるウインドシェルは快適だ。しかし、レインウエアと兼用すればそのぶん軽量化できる。ウインドシェルは持っているのを忘れるほど軽いが、現在一般的な登山装備を軽量化するなら、その「ほんの少し」を積み重ねていくしかない。

装備を衣食住で考えると、削りやすいのは「住」の部分。寝るときしか使わないものを減量するのは効果的だ。定番の手法だが、寝袋は軽量な薄手のものを選び、ダウンジャケットやダウンパンツなどの保温着と併用することで軽量化できる。道具を手にしたら、「ほかにどんなふうに使えるか」を考える癖をつけたい。

【3】天気やフィールドに合わせて適切なアイテムを選ぶ。

天気予報などを見て、「この天気ならそんなにひどいことにはならないだろうからツエルトでいこう」とか、「そんなに寒くならないだろうから防寒着はこれにしよう」など、予想される状況に合わせて装備を考える。もちろん、厳しい状況が予想される場合には装備が重くなることもありうる。いずれにしても、事前の情報で足し算引き算ができれば効率のいい持ち方につながる。

天気だけでなく、行き先や山行形態によっても装備は変わる。たとえばファストパッキングを指向する吉野さんの場合、水平方向の移動が多いか、垂直方向の移動が多いかで使用するマットが変わる。水平方向の移動が多いときはクローズドセルマットを選ぶ。天気がよければツエルトは立てずに地面に直にマットを敷いて寝ることも多い。サーマレストのZライトを使い、食事のときは折りたたんで椅子代わりに使っている。垂直方向の移動が多い場合はエアマットを持つ。軽さもあるが、コンパクトさを重視した選択だ。外付けせずにバックパックの中に入れられる。

経験を重ねることで装備が洗練されるのはいうまでもないが、山域や山行形態、予想される天気によって、なにが最適かとつねに考えることが軽量化へとつながる。

教えてくれた人

ヨシキ&P2スタッフ
吉野時男さん

千葉県習志野市にあるヨシキ&P2のスタッフにして、本誌ではおなじみの頼れるご意見番。山ならなんでもござれだが、軽量・コンパクトな装備でいくスピード重視のスタイルが好み。夏ならバーナーも持たないストイックな山行をすることもある。

※この記事はPEAKS[2022年4月号 No.149]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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