ポーラテックが手掛ける最新のサステナブル技術。PFASを使用しない新たな撥水加工テクノロジー

PEAKS 編集部

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持続可能なものづくりを推し進めるポーラテックが、PFASフリーの撥水加工を開発した。PFASフリーとはなにか?　なぜ必要なのか?

フィールドにおける安全を担保する撥水加工の転換期に、脱PFASにいたる流れを再確認する。

PFASに頼らずに、C6タイプ同等の撥水性能を実現。

小誌の読者ならご存知のように、アウターウエアの防水透湿素材が機能するためには、撥水加工が欠かせない。生地表面が水を弾くこの加工がなされていなかったり、加工してあっても機能が低下したりすると、生地が水分を含むようになり、水の膜をつくって透湿を阻害してしまう。

透湿性の低下は結露を招く。濡れた生地が体に張り付くと熱伝導で体温が奪われ、状況によっては低体温症に陥ってしまう。防水透湿素材と撥水加工は、切っても切り離せない関係にある。

かくも重要な撥水加工は、いま、大きな転換期を迎えている。

撥水剤には、PFAS（パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物）と総称されるフッ素化合物が使われている。2000年代になってPFASのなかのPFOA（ペルフルオロオクタン酸）が環境や人の体に悪影響をおよぼすことがわかり、2006年には米環境保護庁が「PFOA自主削減プログラム」を発表して、世界の主要フッ素化学メーカーに対して、2015年までにPFOAや関連物質を全廃するよう求めた。3Mや旭硝子、ダイキンなどの8社がこれに賛同し、自主的な撤廃を進めた。

PFOAはフライパンのテフロン加工などに使用されていたほか、ウエアの撥水剤にも微量が含まれていた。PFOAが含まれていたのは炭素数が8個のC8タイプと呼ばれるもので、PFOAが製造されなくなると、撥水剤を製造するメーカーは、C8タイプからC6タイプと呼ばれるPFASへと素材を切り替えた。

PFASを構成する炭素とフッ素の結合は、有機化学的に作り出せる結合のなかではもっとも強固なもののひとつといわれている。それゆえ、自然界では分解されにくいという特性がある。

現時点でC6タイプが環境や人体に悪影響をおよぼすという事例はないようだが、完全に安全だと証明されているわけでもない。環境に長く残る以上、悪影響をおよぼすのではないかという懸念は払拭できず、PFASフリー化の動きが生まれた。PFC（パーフルオロカーボン）はPFASのなかの一部で、PFCフリーも同義と考えていい。

ポーラテックは、実質的にPFOAの製造が中止された2015年にC8タイプからC6タイプへと移行した。その後、2019年にはPFASフリーに着手し、3年の開発期間を経て昨年7月にそれが実現した。新しい撥水加工は、ハードフェイスフリース、パワーシールド、パワーシールドプロ、ネオシェル、ウィンドブロックに使用され、今後はフリースやサーマルプロ、アルファなどにも展開していくという。

この新しい加工は、外部機関の試験によってC6タイプ同等の撥水性能をもつことが確認されている。PFASフリー化がいよいよ本格化していく絶妙なタイミングに、注目の新技術が登場した。