編集部員も買い替えたくなるモデルが勢ぞろい! 納得の山サイフカタログ【中編】
PEAKS 編集部
- 2022年12月28日
ハイカーの多くが正解を求めてさまよっている、山に持って行くサイフ。軽量コンパクト、収納&アクセスがよく、水濡れに強いもの。それらの機能に加えてポイントになるのが、街で取り出しても恥ずかしくないデザイン。そんな山サイフの評判モデル、集めてみました!
文◉PONCHO 写真◉佐々木孝憲
「自分にもっとも近いアウトドア道具だから、愛着を感じられるものを。」
「ソーファーソーグッド」を手がける田中和代さんは、服飾雑貨メーカーで企画・デザインに携わってきた。それがいまから10年前、友人に丹沢・塔ノ岳に誘われ、本人曰く「苦しくて楽しい登山」の魅力にハマったそう。さらにひょんなことから日本山岳耐久レースの応援に行ったことで、中学時代に陸上部で地元・京都の低山を走っていたときの楽しさがよみがえり、トレイルランニングも始めた。
「初めて背負ったバックパックは、友人から借りたゴーライトのイオンでした。でも革、綿、麻、絹などの天然素材が好きだった私にとって、化繊のシャカシャカ、ペラペラした質感は、当時はストレスでしかなかったんです」
登山やトレランの情報をSNSで調べてみて出合ったのはULとMYOG。田中さんは、ULのアイコン的アイテムのサコッシュを、デザイナーの感性で自作。薄くて軽量な馬革のサコッシュを提げて山を登りはじめた。
「馬革のサコッシュがおもしろいからと知り合いに誘われ、 MYOGのイベントに参加したんです。そこでハイカーズデポの土屋智哉さんに、〝革が好きだったら、革で山に行けばいい。自由でいいんです”と言われ、心に残りました」
自由でいい。その言葉に触発された田中さんは、市販品では見つからない、自分が使いたい道具を作り、山を楽しむようになっていく。そして不満を感じていた山道具のひとつ、サイフを手がける。
「当時使っていたサイフは革製の三つ折り。コンパクトですが、カード、小銭、お札をそれぞれ向きを変えて使う仕様。小銭入れも小さい。しかもフラップを閉め忘れて中身を落としてしまって……。だから開けたらカード、小銭、お札をすべて見渡せ、すぐに取り出せるサイフを作ろうと思ったんです」
ここで婦人用財布をデザインしてきた経験が生きる。女性に人気のボックス型の小銭入れを取り入れる。サイフを広げるだけで小銭入れも連動して開き、とても使いやすい。札入れも独特。カード入れの脇からお札を滑り込ませ、小銭入れの下に通す。通常のサイフがお札をヨコ向きで入れるのに対して、タテに差し込むのだ。
「銀行でおろして封筒に入れたお札を、お店でそのまま使おうとしたときに、お札をタテに出し入れしても不便じゃない! って気が付いたんです」
さらに不思議な縁が、このサイフを熟成させる。
「そうして完成したサイフ、初代ワルツを都内のショップで買ってくださった女性が、ハイカーズデポのお客様だったんです。その方が土屋さんにワルツを紹介してくださったことで土屋さんから注文をいただき、さらに土屋さんからアイデアをもらい、使い勝手を向上できました」
表地はX-PAC、仕切りにダイニーマ・コンポジット・ファブリック。化繊を使うも、留め具ゴムにはエイジングを楽しめるロロマレザーのタブをあしらった。
「サイフって、もっとも身近なアウトドア道具だと思うんです。だからこそ使い込むほどに出る革の味わいを楽しんで、愛着を感じていただけるとうれしいです」
「SOFARSOGOOD」のブランド名は、「今のところ順調」という意味。旅をイメージするこのフレーズは、ロングトレイルハイカーのトレイルネームに多いとあとから知ったそう。
「ちなみにワルツという商品名は軽い、小さい、心地いい! の三拍子。さらに小銭入れを開いたときの三角形を表したものです」
なるほど、だからこそ機能、デザイン、つくり手の想いの三拍子も感じられる道具なのだろう。
ソーファーソーグッド/ワルツ デラックス
価格:5,500円〜7,480円
サイズ:W10×H6.5cm
カラー:レッド、ブルー、ハイカーズデポ、取扱店別注モデル、カラー多数
重量:12 〜14g
問:ソーファーソーグッド
ソーファーソーグッド
鎌倉の自宅兼工房で、財布や小物類を日々手づくりする田中和代さん。間もなくバックパックも発売するそうで、どんなギミックが採用されるのか楽しみだ。
※この記事はPEAKS[2021年5月号 No.138]]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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