タイプの違いを知り、適切なテントを選ぶ【前編】|PEAKS MOUNTAIN GEAR COLLECTION 2023
PEAKS 編集部
- 2023年04月25日
INDEX
夜から朝の時間も楽しまないと、山の本当の魅力はわからない。それもできれば、薄い生地の向こうは大自然というテント泊で風を感じ、動物や鳥の声を聴き、太陽と星の動きを感じたい。快適にすごせるテントを選べば、そこはもう、その日だけの小さなホテルです。
編集◉PEAKS編集部
文◉高橋庄太郎
写真◉猪俣健一
タイプの違いを知り、適切なものを選ぶ
現代の山岳用テントの中心は、ポールを組み合わせるだけで立体化する“自立式”で、これは地面が硬い場所でも簡単に設営できるタイプである。また、テントの構造としては、居住空間であるインナーテントの上に屋根となるフライシートをかぶせることで内部と外界の間に二枚の生地の壁ができ、防水性や通気性が高まって快適に使える“ダブルウォール”タイプが主流だ。ゆえに、新しく開発されるテントは“自立式のダブルウォール”タイプが大半である。だが、ペグを打たねば自立しない“非自立型”には主に重量面でメリットがあり、テントそのものに防水性を持たせてフライシートを省いた“シングルウォール”タイプも設営の簡便さなどの長所をもっているため、根強い人気を持っている。しかし、初めてテントを購入するのならば、やはりおすすめは自立式ダブルウォールタイプのテントだ。初心者はいうまでもなく、あまりテントに慣れていない人でも直感的に設営でき、雨除けのフライシートの力で悪天候時も不快な思いをせず、テント内ですごしやすい。いくらか華奢な素材や構造になるが、1㎏を切るモデルも続々と登場し、選択の幅も広い。
ニーモ/アトムオズモ1P
最新素材オズモで雨に強い
昨年からニーモが使い始めた高機能素材がオズモ。これは撥水性が高いだけではなく、濡れても伸びにくい素材で加水分解もしにくく、引き裂き強度も高いエコ素材だ。このオズモを採用した最新モデルがアトムオズモ。スリーブ式と吊り下げ式の良いところ取りをした設営方法は簡単で、初心者にも適している。重量も1人用が1,350gと、快適性、耐久性、軽量性を同時に実現。
- 価格:53,900円
- 最小重量:1,350g
- 収容人数:1名
- (問)イワタニ・プリムス
ゼログラム/エルチャル テン ゼロボーン1.5P
インナーとフライをいっしょに設営
インナーテントのメイン素材は、結露しにくく、玉のように水を弾くモノフィラメントという特殊素材。通気性が高く、雨や高温多湿にはめっぽう強い。インナーテントはフライシートの内側へあらかじめ連結され、外側に張ったポールへ同時に吊り下げるだけで、すばやく設営できる。
- 価格:80,300円
- 最小重量:1,583g
- 収容人数:1~2名
- (問)ゼログラム
ビッグアグネス/コッパースプール HV UL2
内部が広く、すばらしい居住性
2人用で1,220gしかないのに、内部フロアは縦224×横132~107cmで、高さも102cm。壁が立った長方体のように広々としたスペースでリラックスできる。フライシートにはファスナーが2本つけられ、風向きなどに合わせて開ける位置を自由に変えられるのが便利である。
- 価格:93,280円
- 最小重量:1,220g
- 収容人数:2名
- (問)ケンコー社
MSR/アドバンスプロ2
防水透湿素材で結露を抑える
外側のポールでテント本体を吊り下げるシングルウォール式。2人用で1.5kgを切る軽量さだ。2層構造の防水透湿素材に加え、大きなベンチレーターで無用な湿気と熱気を逃がし、テント内を不快にする結露の発生を制御。発色もよく、雪山登山でも活躍する。
- 価格:143,000円
- 最小重量:1,460g
- 収容人数:2名
- (問)モチヅキ
ファイントラック/カミナドーム1
オプションでの拡張性の高さが光る
薄暗いときや悪天候時でもすばやく設営できるスリーブ式。フライシートの耐水圧も1,600mmと高く、ハードな環境下でも使いやすい。保温性や耐風性をアップするスノーフライや保温素材を使ったライナーもあり、必要に応じてプラスすれば雪山でも大いに活躍するだろう。
- 価格:68,200円
- 最小重量:1,130g
- 収容人数:1名
- (問)ファイントラック
ブラックダイヤモンド/ハイライト2P
シングルウォールでも庇がつく
縫い目を防水処理した耐水性が高いポリエステル素材。2本のポールを内部でクロスさせる自立式だ。天井部の短いポールで庇を作ることで最上部にあるベンチレーターから雨が入らず、出入り口の濡れも抑えられる。発色がいいブルーは山中での視認性がいい。
- 価格:71,500円
- 最小重量:1,162g
- 収容人数:2名
- (問)ロストアロー
テラノヴァ/ソーラーフォトン2
2人でも出入りがしやすい
Y字型のポールで出入り口側を高く、広くするいっぽう、足元側は低く、狭くしたデザイン。これにより、居住性の高さをキープしながら使用素材を減らし、800g台の超軽量に。テントの短辺に大きな出入り口があるため、同宿者をまたぐことなく、いつでも出入りでき、2人で使っていてもストレスが少ないのもポイントだ。
- 価格:86,900円
- 最小重量:849g
- 収容人数:2名
- (問)ケンコー社
※この記事はPEAKS[2023年4月号 No.159]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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