肌の老化を防ぐために紫外線対策を!専門家に聞いた日焼け止めの効果的な使い方
PEAKS 編集部
- 2023年06月06日
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好評発売中「PEAKS 2023年6月号(No.160)」より、誌面記事の一部をご紹介します。
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「日焼けしても数日後には元に戻るから大丈夫」と思っていませんか? いやいや、それじつは非常にマズいんです。焼けたくないから日焼け止めを塗るのではなく、肌の老化を防ぐために紫外線対策が必要です。紫外線と日焼け止めについて専門家に伺いました。
文◉PEAKS編集部(インタビュー)
イラスト◉橋口 優
教えてくれた人
梶原啓吾さん(花王スキンケア研究所 主任研究員)
日焼け止めの商品開発は 20年。メイクやスキンケア製品を開発し、2002 年からUV 製品の開発に携わる。趣味はキャンプ。
中谷有沙さん(花王スキンケア研究所 研究員)
入社以来25年間、化粧品の研究開発に従事。瞬感ミストは4年をかけた自信作で「お客様が喜ぶ日焼け止めを!」がモットー。
紫外線の影響は肌が黒くなるだけではなく、皮膚の老化を進める
ー なぜ紫外線は肌に悪いのでしょうか ?
梶原さん(以下、梶):地表に到達する紫外線には「UVB」と呼ばれる波長290 〜 320nm(ナノメートル)の紫外線と「U VA」と呼ばれる波長320〜400nmの紫外線の2種類があります。
UVBは短時間で皮ふに赤みなどの炎症を起こさせ、その後、数日して皮ふのメラニン色素が増加して黒く変化します。よってUVBを繰り返し浴びるとシワやシミなどの皮ふ老化が進みます。UVAは肌の奥深くまで届き、肌の弾力の低下や、シワ、たるみなどの皮ふ老化を促進します。しかも雲やガラスを透過するため、くもりの日や室内にいる場合でも注意が必要です。紫外線による肌の老化は光老化というんですが、進んでしまった末の重症例が皮ふがんです。肌の色は気にならないとかではなく日焼けは防ぐに限ります。日焼け止め製品の「SPF」はU VB防止効果、「 P A」はUVA防止効果を示していて、どちらも数値が大きい、+の数が多いほうが紫外線防御効果は高いです。
ー 髪の毛がパサパサになるのも強い紫外線のせいですか?
中谷さん(以下、中):以前から紫外線で髪の毛にダメージが起こることは言われていましたが、実証は長らくできていなかったんですね。毛髪を構成するタンパク質には、タンパク質をハシゴのように繋ぐジスルフィド(S-S)結合が多数存在します。
紫外線の影響でS-S結合が切断され、さらに紫外線にさらされ続けると、切断されたSS結合がひずんだ状態で再結合し、うねりの発生に繋がるということがわかったんです。髪の毛が乾燥してパサパサになっていたのではなく、紫外線の影響で髪の毛の表層がうねったことでパサパサに感じるんですね。歪んだ状態の再結合は元には戻らないので、うねり発生の一因である 紫外線から髪を守ることは、皮ふと同様に重要なんです。この紫外線と髪のうねりの関係については、花王解析科学研究所が今年の学会で発表して大きな反響がありました。
春から発売している「アクアリッチ瞬感ミストUV」は肌+髪用の製品です。このミストはあえて水状でしゃばしゃばにすることで髪の毛にもすばやくまんべんなく行き渡るようにしています。この液の主成分がエタノールでして、外層が揮発していくと必要な紫外線吸収剤のみが、ピタっと均一膜になるような技術なんです。
日焼け止めはテクスチャーが豊富なので好みで使い分けを
ードラッグストアには多数の日焼け止めがありますが、おもな種類と変遷を教えてください。
梶:日焼け止めはクリームタイプが最初で、その後ミルクタイプと いう二層式の製品の時代が続いていたんですが、花王がみずみずし いジェルタイプを発売して一気にジェルタイプが主流になりました。二層式は使うときに容器の中で2種の液体をかくはんするのですが、きれいに混ざるかというと人によって違いが出てしまう。ジェルタイプはそれを解決する画期的な製品だったんですね。
その後、肌に薄い膜を張ったような質感の水状タイプをリリースしてこちらも好評をいただきまして、さらに今年満を持してアクアリッチブランドでスプレータイプを発売しました。これが予想以上の反響でした。あと種類だけでいえばアクアリッチシリーズにはないですが、スティックタイプもありますね。
ー同じビオレUVのアスリズムシリーズですでにスプレータイプがありますが、違いはなんでしょうか。
中:アスリズムのスキンプロテクトスプレーはLPガスを使ったエアゾール製品です。細かい霧が出てより密着感がありムラなくカバーできる一方で、使用前によく振る必要があったり飛行機内に持ち込めないなどのデメリットがあります。その点、アクアリッチ瞬感ミストUVはノンガスタイプなので気にせず使えます。
もともと混ざりにくい成分をガスを使わず、かくはんもさせずに均一に混ざるようにするのは本当に大変だったので、実現したときはとてもうれしかったです。付け替え用も販売しているのでどんどん使っていただきたいです。
ー日焼け止めの種類にもその年のトレンドみたいなものもありますか?
梶:そうですね、あります。それこそジェルタイプを出したときにすごいトレンドになりましたし、最近は肌を明るく見せるトーンアップ製品が多いですね。目的や好みに合わせていろいろ使い分けてみるのもおすすめです。
マーケティング担当の小山さん:じつは発売してからいままでいちばん売れ方に勢いがあるのはアクアリッチ瞬感ミストUVです。購入アンケートを男女別で見ると、女性はいろいろな商品名がでてくるなかでの1位なんですが、男性だと圧倒的にミストUVが支持されていますね。
ー製品を使い切らずに紫外線の強い時期が終わってしまうことが多いです。日焼け止めの使用期限はどれくらいなんでしょうか。
中:花王製品に限っていえば、未開封の状態で、通常の保管をしていただければ、少なくとも製造から3年間は品質を保つように設計されています。でも水ベースの製品だと成分が揮発してしまったりするので、開封したらできるだけ早く使っていただきたいのと、ケアは毎日していただきたいと考えていて、内容量は2か月くらいで使い切ることを想定しています。
日焼け止めの効果的な使い方
ー日焼け止めの効果的な使い方を教えてください。
梶:一般的によくいわれていることの繰り返しになりますが、2時間おきに塗り直しをすること。塗り直しの際、大敵なのは汗と汚れ。めんどうでもタオルなどで汗をおさえたり拭き取ったりのアクションは大事です。あとは肌に均一に塗ること。
中:鼻や頬など出っ張っているところは日焼け止めが落ちやすくて焼けやすい箇所です。そしてケアを忘れがちなのが耳。登山の場合は、麓でクリームやジェルタイプをしっかり塗って、山行中は気軽にスプレーでケアするのがおすすめです。
※この記事はPEAKS[2023年6月号 No.160]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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