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イタリアの旅も残り僅か。フィナーレリーグレでのクライミング|筆とまなざし#350

激辛ルートとクライミングショップの店主が教えてくれたおすすめルート。

 フィナーレリーグレのグレードが激辛だとは有名ガイドさんのSNSで知ったのだけれど、まさにそのとおりだった。決して難しくないグレードのルートさえ二進も三進も行かない箇所が出てくる。そんなルートに少々戸惑っていたところ、OUTPOSTというクライミングショップの店主がアドバイスをくれた。

「初期に開拓されたルートはグレードが辛いけど、最近できたルートは比較的マイルド。フィナーレリーグレの問題はルートが多すぎることで、みんなどこに行ったらいいかわからないよね。おすすめエリアとルートを教えてあげるよ」

 そう言ってメモ用紙にペンを走らせた。さっそく、翌日からそのメモを頼りに岩場に出かけることにした。おすすめルートはすばらしく、とくに蜂の巣のような形状をした岩をぐいぐい登る32メートルの「Zettu(6a+)」というルートは、これまでに登ったルートのなかでも指折りの好ルートだった。日本ではなかなか登ることのできない40メートル近いルートを中心にクライミングを楽しんだ。おすすめルートはクセがなく、身体が少しずつ動くようになってきたおかげで気持ちよく登れるようになってきた。

 そして、岩場にタイムやセージなどのハーブがいたるところに自生しているのを妻が見つけ、それらを摘んでは夕食に彩りを添えることも毎日の楽しみとなった。パスタなどに少し加えるだけで風味が格段にアップする。ヨーロッパではハーブは雑草だと聞いたことがあるが、まさにそのとおりである。

 さて、残りの旅程も僅かだというのに体調を崩してしまい、ここのところ3日間は熱が下がらなかった。今日は少し調子が良くなってきたので午後からスケッチブックを持ってキャンプ場裏の岩場へ向かった。多くのクライマーで賑わっていた岩場もずいぶんと静かになり、今日はひと組しかクライマーの姿を見かけなかった。ルートの取り付きに腰を下ろして遠くの山並みや雲を描いた。そういえば、こうしてゆっくり絵を描くのはいつぶりだろう。いつの間にか木の葉は色付き、夏のような強烈な日差しも冷たい空気に変わっていた。それでも、イタリアの大地に降り注ぐ光は白く、風景を眩しく霞ませる。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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