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小川山、11日間の最長連続滞在記|筆とまなざし#391

クライミング講習と自分のクライミング。秋のクライミングシーズンが到来

 11日間、クライミング講習と自分のクライミングのために、小川山の廻り目平キャンプ場に滞在した。最初に訪れた高校2年生のとき以来、幾度となく訪れている小川山。しかし11日間というのは最長の連続滞在期間である。

滞在中に北杜市のクライミングジム「ロクボク」に2回も行くと、ここへ移住してきたような気分になる。廃校になった学校の体育館に造られたとてもおしゃれかつ課題のおもしろいジムで、最近できたリード壁もすばらしい。なにより、北杜には著名なクライマーやガイドさんがたくさん住んでおり、日常的に登りに来ている。そんな人たちが集まる場所という点でも非常に魅力的なクライミングジムである。

今年の小川山は9月になっても真夏の暑さと異様な湿度に包まれていた。アプローチで汗だくになり、ホールドはヌメヌメ。それでも、滞在している間に吹く風に爽やかさを覚え、空気が変化するのを感じた。朝晩は薄いフリースがほしくなる気温で、岐阜での茹だるような暑さと比べれば雲泥の差。まさに格好の避暑地である。

天候の安定しない日が続いたが、蓋を開けてみると講習は全日催行できた。そして、足首を怪我してから半年が経ち、ようやく少し強度の高いルートを触ることができた。まだ腫れは引かず痛みも取れないけれど、ようやく自分のクライミングが再開できるようになったと実感。11日間の滞在中、レスト日はゼロだった。よく動いていたのがちょうど良いリハビリになったのだろう。

 毎朝の楽しみは、森に差し込む朝日を眺めながらのモーニングコーヒー。最近はイタリアで購入した3〜4杯用のエスプレッソマシーンを使っている。有名なビアレッティではなくCO-OP製。イタリアではそれなりに大きな町には大型のCO-OPがあり、オリジナル商品を低価格で販売している。中引きの粉を使っても少し濃いめのコーヒーが淹れられ、ちょうど保温カップ一杯分になる。フィルターがいらないのも便利だ。

 中秋の名月だった917日、小川山の夜空はよく晴れ渡っていた。ちぎれた綿菓子のような雲に秋の気配を感じる。雲の欠片が月に照らされて七色に染まりながら流れてゆく。月明かりで本が読めるほど明るい。キャンプ場には木漏れ日のように光が降り注ぎ、木々が影を落としている。小川山でこんなにも明るい月の夜をすごしたことはない。日本酒を片手に、しばし満月に見惚れた。

 8月上旬にインストラクター資格の昇格試験に合格し、マルチピッチの講習とガイドが可能になった。ということで、最終日は初めてのマルチピッチのガイディングで「野猿返し」ルートへ。フリークライミングとしては簡単でどちらかというと登山に近いが、岩尾根を登りながら徐々に展望がひらけてくるさまはやっぱり気持ちがいい。

 小川山から帰宅して数日すると、北から高気圧が張り出してきた。ようやく秋のクライミングシーズンが到来し、自分のクライミングも再開である。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

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