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写真展の歩み|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #番外編

いつもフォトエッセイのご愛読ありがとうございます。2023年3月にスタートし、撮影や講演活動のかたわら、月に2回の連載を休まず続けていただき、早いもので40回を超えました。今回はいつもとは趣向を変えて高橋さんのふもとでの活動、写真展についてのエッセイをお届けします。今後も気まぐれに番外編を綴っていただこうと思いますので、お楽しみに。(編集担当)

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

写真展の歩み

今回はこれまで開催してきた私の写真展の歩みを紹介していこうと思う。自分で言うのもなんだが、2014年に開催した初個展から現在に至るまで、振り返ってみたら相当数になっていた。

2014年、安曇野市にある「髙橋節朗記念美術館」の別館で開催した、初個展「DAIHUKU」。見てのとおりタイトルスペルを間違えている。私がPCで文字を打ち込む際に「は行」は「H」を使っていたために起こしてしまった黒歴史。現在は「H」から「F」に統一している。

それはさておき初めての個展。自分なりに試行錯誤を繰り返しレイアウトをまとめ、会場が土蔵ということもあり、空間を最大限に活用した。またこの展示に合わせて雑誌『山と渓谷』の巻頭グラビアに、私の代表作である「DAIFUKU」を掲載させていただいたのだが、おそらくこれが冬羽のライチョウが世間に大々的に周知された初手と思われる。そして会期中は全国から多くの人に安曇野にお越しいただき、今も続く人脈の形成にも繋がった。

次に紹介するのが、その後の私の写真展示の方向性を決めた富士フイルムフォトサロン東京主催の「写真家たちの新しい物語」という企画展である。これは年2回の選考に合格した者のみが開催を許されるという難度の高い企画で、しかも応募者が選考レベルに満たない場合はそもそも開催されないこともあり、まさに富士フイルムの本気のイベントのひとつである。

狭き門を潜り抜け、私が2015年に開催した写真展タイトルは「四季を纏う神の鳥 ~雷鳥に魅せられて~」。現在各地で展開している「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」という展示の骨子となっている。開催特典として、展示に使用する写真現像すべてとギャラリー使用料を富士フイルム側が負担してくれて、使用した写真パネルは会期終了後に作者に寄贈されるという神企画であり、このときに作成した作品たちをベースにしてコツコツとパネルを増やして、今では100点を超える作品を自宅に所蔵し、各展示にて使用している。

また、東京港区赤坂の一等地での開催とあって来場者のなかには名だたる顔ぶれの方々も。なかでも一番嬉しかったのが、あのスタジオジブリの映画監督・髙畑勲さんが来場されたことである。生前に直筆のお褒めの言葉をいただいたり、現在も髙畑家と交流は続いている。ちなみに一番好きな髙畑作品は『おもひでぽろぽろ』である。

続いては2016年に市立大町山岳博物館で開催した企画展「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」。ライチョウ保護のメッカともいえる同館でのライチョウ写真展の開催である。この企画展開催のおりに初の写真集を限定発売することになるのだが、現在発売している自費出版写真集『雷鳥』はこれが元になっている

大町での展示がきっかけで、翌年2017年には山梨県の芦安山岳館での企画展を開催することになった。当時の館長の塩沢さんは山小屋出身の方で、山岳知識や経験の豊富さはもちろんみんなに愛される素晴らしい方であった。「せっかくウチで展示をするなら」と「DAIFUKU」の特寸サイズのパネルを作っていただいたのだが、まさかの会期中に塩沢館長が急逝してしまう。

その急報を聞いたとき、26歳のときに実父が旅立った時以来に泣いてしまった。それほど長くはないお付き合いだったのだが、塩沢館長との交流は大切な思い出である。そのような経緯もあり、この特寸サイズの「DAIFUKU」は「塩だいふく」としてとくに大事に使い続けている。なおこの企画展は2人展であり、いっしょに展示した広瀬さんは塩沢館長の愛弟子で、私のなかでは北岳界隈でライチョウといえばこの人という友人である。

芦安山岳館での展示を終え、日通のコンテナに格納された写真パネルたちは海を越えて北海道へ。私の出身地・苫小牧での展示となる。苫小牧市立美術博物館での企画展は、館の第1から3の展示室すべてを使って大々的に開催された。地元新聞での企画連載や出身中学校での「おかえり先輩」の講演会など、いわゆる故郷に錦を飾る体験ばかりで、まさか自分が……という感覚であった。会期中のギャラリートークもとんでもない数のみなさまにお越しいただいた。なんだかんだで地元ってすごい。このときは設営直前から鼠蹊ヘルニア(脱腸)を患い、虫の息になりながら準備をしていたこと、またイベントが色々あったこともあり、地元関係者のみなさまとの連携がすごく密だったことも思い出深い。

その後も長野県での美術作家オールジャンルで選抜された企画展「シンビズム」の第一回出展作家のひとりとして参加、その縁もあり東御市文化会館(丸山晩霞記念館)の名物学芸委員・佐藤さんの助力を得ての企画展開催や、静岡市の日本平動物園、富山市ファミリーパーク主催のシンポジウム、2024年春には横浜市の金沢動物園、さらに代官山蔦谷書店、無印良品ツルヤ安曇野穂高店、星野リゾート関係での展示もあった。現在も日本動物園水族館協会(JAZA)関係での写真展も進めている。

細かく紹介しているといつまでも続くほどに写真展をしてきたが、やはりライチョウをいろんな人に知ってほしいという思いが根底にある。惚れた相手が絶滅危惧種。いまでこそ知名度は上がってきたが、自分で思っているよりもまだまだライチョウはニッチな存在である。多くの人に関心を持ってもらうことで彼らの未来が明るくなるなら、惚れた者の弱みか、どこまでも付き合っていきたいと思うのである。

お知らせ

直近でしかも短期ですが、写真展開催のお知らせです。12月14、15日に静岡市民文化会館で開催される「南アルプスユネスコエコパーク10周年記念大会」開催中の2日間、同会場で2024年最新版「四季を纏う神の鳥」を展開いたします。また同大会では登壇者としてトークセッションも予定しています。鋭意準備中ですので、お近くの方はぜひお越しください。新作パネルも展示しますのでお楽しみに!

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

 


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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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