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台北のアウトドアショップで見つけた理想的なチョークバッグ|筆とまなざし#404

台湾生まれの「HANCKOR」が手がける「カンガルーチョークバッグ」との出逢い。

新年が明けた。2025年の話をする前に、年末に訪れた台湾の話をもう少し。

旅先での楽しみのひとつが、アウトドアショップへ行くことである。知らないメーカーのギアや掘り出し物があったりするし、その土地にどんなアウトドア文化があるのかもわかる。別段ほしいものがなくても、旅先で時間があればアウトドアショップめぐりをすることが多い。

先述したとおり、台湾では登山が盛んでクライミングも人気が高い。台北駅の近くには登山用品店が軒を連ねる通りがあって、龍洞のトポもここで買った。そう、クライミングではトポを買ったり情報を集めたり、あるいはキャンプならバーナーの燃料を買ったりする上でもアウトドアショップは欠かせない。ちなみに、以前台北のショップを訪れたときはブラックダイヤモンドのキャメロット#6が格安で売っていた。ちょっとマニアックな、ワイドクラックを登るときに使うものなのだが、当時はほとんどワイドクラックを登っていなかったにもかかわらず特価品のキャメロットを購入。いまでは頻繁に愛用するギアのひとつとなっている。

10年前と比べると、アウトドアショップは小綺麗なお店が多くなっていた。日本の影響からか台湾でもキャンプがブームになっているらしく、新しいショップにはキャンプ用品が多い。そんななかに、見覚えのある登山用品店を見つけた。龍洞のトポを買ったお店だ。店内にはクライミングギアが充実していて、レジの奥にはチョークバッグがずらりと並んでいた。

意識したことはないのだが、旅先で買うクライミングギアナンバーワンはチョークバッグである。その土地のガレージブランドのものがあったり、知っているメーカーでもみたことのない形や柄のものがあったりする。手ごろな価格なのも手を出しやすい。わりとすぐにボロボロになって買い替えなくてはいけなくなるし、講習会でレンタル用としても使える。ずらりと並んだチョークバッグのなかで、気になるものを見つけた。それは台湾ブランド「HANCKOR」のものである。

「HANCKOR」は、2012年に台北で創業された。バックパックやショルダーバッグなどを中心に展開し、デザインや素材にこだわったギアを作っている、高級ブランドである。ブランド名はHand+Anchor(どちらもクライミングの際に体を岩に繋げ止めておくもの)に由来し、ロゴもチョークアップした手がホールドを持っている場面をデザインしたものだという。

ショップに置かれていた「HANCKOR」のチョークバッグは2種類で、ひとつはX-PACを使ったもの、もうひとつはナイロン製の大きめのものだった。手に取ってみておどろいた。なんと、チョークバッグの中にチョークボールが内蔵されているのだ。具体的にいうと、チョークバッグに手を入れた際に手の平側に当たる部分にチョークを入れられる袋が付けられていて、袋はジッパーなどで開閉できる仕組みになっている。

手の大きなぼくは、手の平になかなかチョークがつかない。フェイスならまだ良いのだけれど、ジャミングするときには手の平全体にチョークが付いてほしいのだが、それが密かな課題だったのだ。HANCHORのチョークバッグは手を入れたときにちょうど手の平全体にチョークが付くようになっている。なるほど、これは使える。何度も試着し、柔らかくて手が入れやすいナイロン製のものを購入。「カンガルーチョークバッグ」というネーミングもチャーミングである。

帰国してからさっそく使用。なかなか調子が良くて気に入っている。今年はこのチョークバッグでたくさんクラックを登りに行こう。

著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。

https://www.naruseyohei.com

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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