動画に挑戦|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #44
高橋広平
- 2025年01月13日
年末年始はいががおすごしでしたでしょうか。我が家の場合は大晦日と元日は家族3人でお正月していたのですが、他の日は妻が仕事に出てたりしたので、母ちゃん子の娘とのタイマンとなり四苦八苦しておりました。なお妻が腕によりをかけたお節料理で食い倒れになり、少々内臓にダメージを負いつつ脂が乗った状態であります。2025年も各所で引き続きライチョウの保護普及啓発を推進して参りますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平
動画に挑戦
最近は聞かれることも少なくなったが、私のカメラ歴はデジタル化がある程度進んできた2007年ごろからである。カメラ遍歴は、キヤノン製のオールインワンデジカメ(画素数600万)のものが作品を記録した最初の機材で、そのあとはペンタックス製のデジタル一眼レフ(画素数1,000万)にクラスアップ、以後、現在に至るまで同社製を使い続けている。
現在の愛機は画素数2,400万ほどで、ISO感度の設定上限も6,400までなら耐えられるくらいの代物である。動画もフルHD動画はもちろん4K動画も撮影可能だ。もっとも動画は専門ではないので、動画撮影用として高スペックなのか否かはよくわからない。私にとって撮影機材とは自分の撮りたい画をいかなる環境でもシャッターを切らせてくれる堅実なもの、というのが理想なので、そういう意味で現在の愛機はじつに誠実に私に付き合ってくれている。多少オートフォーカスが遅いとか、カメラ側が自動でやってくれる気が利く系機能は正直どうでもいい。
さて、軸がスチールな「写真家」なので動画はオマケみたいなものなのだが、オマケとして撮影したものでも写真展でみなまさに公開できるほどの出来にはなっている。もとがオタクであるので、アニメーションベースではあるが、ある程度の映像の絵心があるのかもしれない。スチール作品同様に「こういう場面ならこういう映像がよい」というのは確かにある。そしてオマケでも極力上質のものを目指したい気質なので、やるからにはちゃんとやりたい。
今回は珍しく「動画に専念するぞ!」と普段まったく使用しない三脚を冬山装備を納めたザックにねじ込みフィールドに赴いた。自分なりの感性に基づいてまずは雪の中のライチョウの捜索である。今回入山したフィールドに関しては積年の調査の成果もあり、ライチョウ捕捉率はかなり高い。まれにボウズでただの筋トレ山行になることもあるが、このときも雪の中に埋もれるオスのライチョウを無事補足することができた。
晴れてはいるもののそこそこの地吹雪のなか、すみやかに撮影の準備を始める。まずは三脚をザックから取り出して展開し、踏み固めた雪の上に設置する。このとき撮影したかったのが、雪の中に埋まっているライチョウを引きの構図からどんどん寄っていくという映像だった。厳冬期のライチョウは接近を許してはくれず、それなりの距離をとっての撮影になるため、持ち込んだレンズは「50-500mm」の10倍ズームの大砲。これはいろいろ使える反面、大きさ、重量ともに中身の入った一升瓶と同等の代物ということもあり、慣れが必要であった。
想像して欲しい。
少々不安定な雪の足場に三脚で固定はしているものの、自動ではなく手動で約2kgの長尺レンズをブレることなくじんわりとズームしていくさまを。時折勢いを増す地吹雪に三脚を揺らされたりするなか、ほぼ一升瓶をスムーズにひねらなければならないさまを。それでもたび重なるリテイクの末に、理想の映像の撮影に成功した。
今回の一枚は、そんな動画撮影の折に一枚画でも撮影していたシーンのものである。前述のとおり、あくまで私はその一瞬を切り取るスチール写真家であるが、ライチョウを表現するひとつの手段として動画にも積極的にチャレンジしていこうと思う。
今週のアザーカット
今回は愛機「PENTAX K-3 Mark3」のご紹介を。
ペンタックス製のカメラはなによりとてつもなく丈夫です。長年使っていますが故障やトラブルがほとんどありません。もっともCPUの賢い他社製品と比べるとカメラ側がいろいろ助けてくれるわけではないですが、職人気質の私には「自分で撮ってる感」を感じられるので好きです。いくら良い写真を撮れたとしてもカメラに撮ってもらうのは腑に落ちないので、余程のことがない限りは使い続けるんじゃないでしょうか。
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PROFILE
PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家
高橋広平
1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。 Instagram : sundays_photo
1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。 Instagram : sundays_photo