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【日帰り登山】カメラを持って出かけたくなる。花を愛でる!5ルート|(PEAKS 2024年3月号 今年登りたい日帰りの山58)

3,000m級の山々を擁する日本は魅力的な山がたくさん。
そこで、「餅は餅屋」の言葉にちなみアウトドアを仕事としている全国の登山愛好家に今年登るべき日帰り登山におすすめの山を聞きました!

***

花を愛でる!5ルート

展望がよく美しい花々を楽しめる山をピックアップ。
過酷な環境下でも、ひたむきに咲く花の姿に癒されよう。

①小倉山(おぐらやま)とイワウチワ【新潟県】

・歩行時間:4時間40分
・総距離:約6.6km
・撮影時期:6月初旬

■スプリング・エフェメラルに出合いに。

越後駒ヶ岳を目指す途中にそびえる小倉山(おぐらやま)。5月だとクランポン必須なのでおすすめの時期は6月初旬。枝し折おり峠に車を停め、ハルゼミの鳴き声を聞きながら開放感のある尾根道を楽しめる。こういう場所は厳しい風雪によって樹木が高く育つことができず、目の高さで新緑や花を観察できる。一方、谷から上がってくる風は冷たいので、快晴でも防風シェルは必携だ。

明神峠をすぎると、足元にはピンクや白の可憐な花が目立ち始める。イワウチワ、ショウジョウバカマ、カタクリなど。こうした野草たちは、樹木が葉を展開する前、地面まで陽が差し込むほんの短い期間だけ花を咲かせるため、総じてスプリング・エフェメラル(春のはかないもの)と呼ばれ、さまざまな野草が混ざり合って咲いている。一方シラネアオイは開けた斜面でよく見かけ、低木のクロモジは半日影環境でよく見られる。この時期はこうした花に吸蜜に来るギフチョウという蝶も飛んでいるので、命の賑わいを感じたい人におすすめだ。

▲道行山をすぎると、魚沼のシンボル越後駒ヶ岳が姿を現す。
▲日本固有種のシラネアオイ。薄紫色の花のように見えるものは、花を囲む部分である萼(がく)。
▲枝も葉もいい香りがするクロモジ。クスノキ科の樹木で高級爪楊枝にも使われる。
▲ショウジョウバカマは、中国の想像上の動物である猩々(しょうじょう)に見立て名付けられた。

コラム:越後三山只見国定公園では自然公園指定植物

イワウチワは、光沢のある葉が団扇(うちわ)に似ていることから名付けられた。残雪が見られるような斜面でカタクリとともに混生している姿をよく見かける。

アクセス

車の場合は関越自動車道小出ICから枝折峠の駐車場(無料、50台)へ。約25㎞、約50分。バスの場合はJR上越線小出駅から南越後観光バスで枝折峠頂上バス停へ。バスは1日1便のため注意。

コメント:立教大学スポーツウエルネス学部准教授 奇二正彦

スプリング・エフェメラルを愛でるなら6月初旬がベスト。9月中旬から10月下旬の滝雲シーズンの土日祝日は非常に混み合うため、平日の山行がおすすめです。

②立山・雄山とハクサンイチゲ【富山県】

・歩行時間:4時間
・距離:約5.2km
・撮影時期:7月中旬

■岩間に咲く多種多様な花々がお出迎え。

ハイマツの花を初めて見たのは7月中旬の立山で、山のなかではあまり見かけない鮮やかなピンク色に驚いたのをよく覚えている。深緑色の葉とのコントラストが気に入って、それ以来好きな花のひとつになった。

立山は標高3000m前後の山々が連なる連峰だが、そのなかでも雄山を往復するルートは比較的やさしい道のり。まずは立山黒部アルペンルートを使って2450mの室堂へ。この周辺を散策するだけでも、ハクサンイチゲやチングルマなどのさまざまな高山植物に出合える。ここからしばらくは舗装された緩やかな登り坂が続き、一ノ越から雄山の山頂まではやや険しい岩場になっていくが、ときどき立ち止まって足元を見れば、岩の間に咲く健気な花々に癒されるはず。

左手には室堂平から雷鳥平へとつながるなだらかな大地が広がり、その向こうには大日連山の凛々しい姿が。雄山山頂の神社で登山安全のご祈祷を受けたら、再び来た道を戻る。時間に余裕があれば、みくりが池周辺を散策しつつ日帰り温泉に立ち寄るのもおすすめのプラン。

▲雄山山頂直下から室堂平を望む。奥は大日連山。
▲ハイマツの花。
▲高山の砂礫地や岩場で見られるイワツメクサ。身を寄せ合うように咲く姿がかわいらしい。

コラム:高山帯の草原に咲く多年草

雨降る室堂に咲いていた、ハクサンイチゲやミヤマキンポウゲ。立山の山並みは雲に隠れて見えなかったが、雨粒をまとった花々を愛でつつ写真を撮り歩く時間は、とても贅沢なものだった。

アクセス

富山県側から入る場合は、車で北陸道立山ICから約35分で立山駅駐車場。長野県側から入る場合は、車で長野道安曇野ICから約60分で扇沢駐車場。いずれも立山黒部アルペンルートを使って室堂へ。

コメント:山岳収集家 鈴木優香

立山黒部アルペンルートを利用することで、3,000m級の山を無理なく日帰りで楽しむことができます。7月から8月にかけてはさまざまな種類の高山植物に出合えます。

③乗鞍岳(のりくらだけ)とコマクサ【長野県・岐阜県】

・歩行時間:3時間15分
・総距離:約5.5km
・撮影時期:7月下旬

■多彩な高山植物が大集合。

下界からのアクセスが容易な花の山は有名どころがいくつかあるけれど、実際に行ってみたら、「ポツポツ咲いてるだけじゃん!」なんてこともしばしば。いっぽう、乗鞍岳(のりくらだけ)のすごさは、とにかく花の種類と株数が多いこと。とくに高山植物の女王・コマクサの規模感はケタ違いといってもよく、もはや〝会いに行けるアイドルだらけ〞状態。富士見岳から肩ノ小屋に向かう短いルートを往復するだけでも、膨大な株に出合えるのだ。もちろん、日向・日陰や積雪の融け具合など微妙に条件が違うので、同じコマクサでも開花タイミングによる美しさには差があるもの。目を皿のようにして見つけた最高のひと株をカメラに収めれば、充実感もひとしおだ。

剣ヶ峰へ向かうトレイルも決して険しすぎず、長すぎず。ファミリー登山やビギナーを連れての登山には最適といえそう。イワギキョウやタカネシオガマなど高山植物のメジャーどころに手軽に出合え、さらに運が良ければライチョウとすれ違える山もそうそうない。人生で一度は訪れたい〝花道〞がここにある。

▲目前に広がるパノラマとお花畑、ゆるりと歩けるトレイルとライトトレッキングの醍醐味が満載。ゆっくりと楽しみたい。
▲通常はぽつぽつと咲くウサギギクも、畳平周辺では群落に。高山蝶が吸蜜に訪れることもしばしば。
▲タカネシオガマ群落のサイズも見事。トレイルを歩くと簡単に見つけられるので、フォトハイキングや高山植物ウォッチングにぴったり。

コラム:コマクサの量に定評あり!

バス降車後、数分で大規模な群落に出合える。かつてコマクサは薬草として採集されてきた歴史もあり、保護が進んだ現在は増加傾向にあるのだとか。そんな高山植物の歴史にも耳を澄ませたい。

アクセス

車の場合は長野自動車道松本ICから乗鞍高原観光センター駐車場まで、約1時間。バスの場合は松本電気鉄道新島々駅からアルピコ交通バス・シャトルバス乗換で約2時間、「乗鞍山頂」下車。

コメント:植物ライター 成清 陽

復旧の目処が立たない岐阜県側からの入山は難しいので、乗鞍エコーラインを通じた入山が現実的。また、畳平周辺はクマの生息地。現地パトロール員などから情報を得ましょう。

④小荒島岳(こあらしまだけ)とオオカメノキ【福井県】

・歩行時間:4時間40分
・距離:約8.8km
・撮影時期:4月下旬

■残雪期は樹木の花山。

「何県の山が好き?」という質問をぶつけられたら、間違いなく「福井県」と即答する。そのココロは、山そのものの奥深さや、山にそっと抱かれるような気がするから……。そんな感傷的すぎる偏見も手伝って、春山シーズンを迎えると、北陸方面は必ず選択肢のひとつに入れている。

標高1000mを切る山ですら奥ゆかしい同県。なかでもお気に入りは、荒島岳というより、そのお隣さん・小荒島岳(こあらしまだけ)が忘れられない。荒島岳とも重なるトレイルは、新緑シーズンに歩いていくと、赤ちゃん葉っぱの脇からそっと顔をのぞかせるクロモジや、青空に映えるタムシバ、そして目線の高さにスノーホワイトのオオカメノキと花盛り。もちろんまだ開葉中のブナ林の白い木肌も清楚で美しく、さらに視線を下げればピンクのイワウチワと真っ白なニリンソウがてんこもり。「別に花なんて好きじゃないし!」という人でも、飽きが来ない登山になること請け合いだ。

これだけ良い山なら、せめて三百名山にはランクインさせるべきというのが、個人的な思いだったりする。

▲小荒島岳の山頂からは、荒島岳の勇姿がドドン! 手前にはマンサクの花が彩りを添えるほか、ときにカタクリで吸蜜するギフチョウを見かけることも。
▲トレイル上では、ブナのライトグリーンがまばゆいばかり。
▲ピークを迎えるカエデ類の花。普段は気づきにくい花も、葉が少なく容易に見つけられる。

コラム:新緑期は樹木が花盛り

木々の花が美しいのは、4 月下旬から5 月下旬頃。カメの甲羅のような丸みと、彫りの深い葉が特徴のオオカメノキも、冬芽がほどけて可愛らしさ満点!みずみずしい春を感じさせてくれる。

アクセス

車の場合は白鳥西ICから旧油坂峠料金所を経てカドハラスキー場跡駐車場まで、約50分。電車の場合はJR越美北線勝原駅から同駐車場まで徒歩約20分。今後は中部縦貫自動車道開通にも期待が高まる。

コメント:植物ライター 成清 陽

残雪期登山は4月末頃から可能ですが、場所によっては要クランポン。とくに危険箇所はありませんが、荒島岳方面に足を延ばす際はもちがかべ付近の残雪に注意が必要です。

⑤竜ヶ岳(りゅうがたけ)とシロヤシオ【三重県・滋賀県】

・歩行時間:4時間40分
・距離:約8km
・撮影時期:5月中旬ほか

■白い羊たちが現れる鈴鹿山脈の山へ。

中部関西発の日帰り登山で外せないエリアに、鈴鹿山脈がある。コースが多く何度登っても飽きないうえに、地形や地質が変化に富んでおもしろい。なかでも鈴鹿セブンマウンテンの竜ヶ岳(りゅうがたけ)は、ファンの多い山。第一に、360度の開放的な山頂に向けて広大な笹原を進むトレイルは、だれもがあこがれる景色となっている。それをますます特別なものにするのが、紹介するシロヤシオの大群だ。

大群と書いたのはわけがあり、ここのシロヤシオは背が低く丸っこい。5月中旬に花が満開になると、草原に羊が群れを成すような不思議な光景が見られる。そのためこの時期に竜ヶ岳を訪れる登山者は、「羊はいましたか?」という会話で通じ合う。

もうひとつ独特なのが秋の羊たちで、シロヤシオは赤く紅葉するため10月下旬になると羊たちも赤く衣替えする。それもぜひ見てほしい景観だ。

竜ヶ岳に登るには、三重側の宇賀渓を起点とすることが多い。遠足尾根から登頂し、中道を下ったり、健脚者は表道から石榑(いしぐれ)峠を経由して一周したりする。ただ、最短で羊たちに会いたい場合は、マイカー限定で石榑峠から登ることも可能。シロヤシオのトンネルをくぐる道や、重ね岩からの見晴らしが楽しめる。

私のおすすめは、竜ヶ岳から静ヶ岳まで足を延ばすプチ縦走。絵画のように美しい小さな池が点在するセキオノコバがあり、春はイワカガミの群落も見頃。こちらは静かな縦走路で、ゆっくり昼寝してすごせば最高のご褒美になる。

▲見頃と晴天を当てたベストカット。手前が笹原の竜ヶ岳、奥は藤原岳。シロヤシオの花付きは年によって差があり、時期も前後する。気になる人は直前に情報収集を。
▲竜ヶ岳山頂は広く展望も一級。見える山並みは養老山地(10月下旬)。
▲セキオノコバの池は大小複数ある。10月下旬の紅葉時期に撮影。
▲純白のシロヤシオ。
▲秋のシロヤシオの見頃は赤いヤマツツジも共演。

コラム:花の見頃に合わせた平日登山も

竜ヶ岳のシロヤシオ満開時は、年間でも登山者がピークとなる。またシロヤシオが本当に満開となる期間は数日程度と長くはない。混雑を避けて、天気や見頃に合わせやすい平日登山も検討しよう。

アクセス

石榑峠の登山口は、石榑トンネルの上にある。三重側からはアクセス不可で、滋賀側からのみ通行可能。峠の周辺に5台程度と駐車スペースが少ないことを考慮し、早朝や平日登山が安心。

コメント:山ママライター マリベ

最短で羊に会いたい!という気持ちと、もう少し先まで歩きたい!という気持ちを両方満たせるルート。セキオノコバは、青空と水面に紅葉が映える秋もおすすめです。

 

※この記事はPEAKS[2024年3月号 No.164]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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