BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

登山ガイド・児玉壮汰さん「山と人、社会を愛する」|山のガイド名鑑 File.3

ガイドの世界で活躍する人々にフォーカスする連載。第三回は登山ガイドの児玉壮汰さんをインタビュー。

登山ガイド、山小屋やキャンプ場のサポート、地域おこし。バリスタの経験を糧に夢は途上国でコーヒー屋。多分野を横断する行動の根幹には、人と自然と社会を愛する心があります。

人に助けられ、仲間を作り
山と人と山麓を結ぶ

――どんな幼少期を?

児玉さん:0歳から軽井沢の追分に行っていたんです。母の恩師が住んでいて。学校に通うようになっても長期休みにはお世話になっていました。初めて登った山は、追分からすぐに登れる浅間山の寄生火山、石尊山。僕が9歳のときです。それからずっと、山一筋だったわけではありませんが、常に山は傍らにありました。いま、小諸に住んでいるのも母の恩師夫妻が年老いて、彼らの生活をサポートできるよう、近くにいたいと思ったからです。

大学生のときには、富士登山がきっかけで出会ったガイドの山田淳さんが営むフィールド&マウンテンでアルバイトをしました。登山道具のレンタルの仕事です。ここで知り合った友人と登山を始め、冬山やアルパインクライミングのルートも登るようになりました。

バリスタのアルバイトもしていました。いまの僕とは違い当時は人と話すのが苦手だったので、2階にあるカフェであればお客さまも少ないだろうと、店を選んだぐらいです(笑)。その後、ストックフォトの制作会社で働き、またフィールド&マウンテンに戻り、ガイドの仕事に就きました。それから登山ガイドとして独立。6年になります。

職種は転々としましたが、ずっと変わらない夢があります。途上国でコーヒー屋を開きたいと思っています。コーヒーを楽しむだけではなく、人々がオープンにインプットやアウトプットできる公共空間となるような。登山ガイドが参加者間のコミュニケーションをサポートするように、心地よい空間となるコーヒー屋を作りたいと考えています。

――バリスタと登山ガイドは、かけ離れた職業のようにも思えますが、人とつながるという点が共通していますね。

児玉さん:はい。登山ガイドの仕事は富士山から始まり、いまでは南アルプス南部にどっぷり魅了され、力を入れています。また、添乗員として海外トレッキングに同行することも年に数回あります。

どんな場面でも、ガイドは縁の下の力持ちだと思っています。主人公である参加者の夢を叶えるために、先回りをしてほんの少しの手を差し伸べるような役割です。また、ガイドの僕を含めて人間関係に上下があるわけではなく、参加者とガイドはひとつのチームだと思っています。山に登りながら、互いを知り尊重し合い、いっしょに楽しんだり頑張ったりしながら、ひとつのチームになっていきます。

――影響を受けた人物は?

児玉さん:1人目が富士山ガイドの鈴木緑さんです。2019年に亡くなり、大きなショックを受けました。僕にとって最初のガイドの先輩であり、まねをするように慕っていました。緑さんはいつも参加者を思いっきり楽しませていました。また、緑さんといっしょだったから登れたという人をたくさん見てきました。そんなふうにサポートできるのはすばらしいと思います。ガイドの役割はここにもあるな、と思いました。

▲ガイドの先輩である故鈴木緑さんの形見。けっして現代的な時計ではないけれど、どんな山にも旅にも肌身離さず持ち歩く。

もうひとりは、登山家の大蔵喜福さん。2019年にデナリに登ったときに出会いました。大蔵さんは山や登山がものすごく好きな人。その純粋な気持ちが根底にあり、山の環境をよくしたい(現在は光岳・聖岳を中心とした南アルプス南部)、登山者を取り巻く環境をよくしたい、いい山登りをしてもらいたいという思いがあります。ただただそう思って行動している。それはすばらしいことだと尊敬するし、いっしょに活動していてとても気持ちがよいです。

▲山の人生の大先輩である大蔵喜福さんと。純粋に山が好きでポジティブな大蔵さんから授 かったものは大きい。

――山麓の活動にも力を注いでいますね。

児玉さん:富士山麓では「せのうみ劇団」に参加しています。先日の演目は木花咲耶姫(このはなさくやひめ)が主人公の大型紙芝居で、緑さんのオマージュでもあります。地元の小学生に観てもらい、彼らが富士山にまつわる伝承や文化を知る一助になればと。舞台が終わると、ガイドを終えたときのような充実感があります。

光岳については、登山口の駐車場や登山相談所のこと、ルート上にある面平キャンプ場の管理や光岳小屋を含む周辺の山小屋の手伝い、登山道上の危険個所の調査などふもとの遠山郷が活性化していくにはどうしたらよいかも考えています。なので、ガイドシーズンが終わっても遠山郷に通っています。登山ガイドだけで仕事が成り立っているわけではなく、山小屋やテント場の運営、山麓の方々の生活、すべてつながっています。それらを理解すること、いっしょに働きよい方向へもっていくこと、いっしょにこの先を考えることが大切だと思っています。

児玉壮汰さん

1990年、東京生まれ。浅間山山麓に住む。富士山域、南アルプス南部を中心にガイド。南信州山岳文化伝統の会に所属し、登山道整備、地域おこしにも関わる。来年はデナリとヒマラヤ未踏峰を目指す。ビリーはインバウンド向けのニックネーム。敬愛するミュージシャン、ビリー・ジョー・アームストロングから由来する。

・資格……日本山岳ガイド協会認定登山ガイドⅡ、IMLインターナショナル・マウンテン・リーダー、富士吉田市案内人組合富士山ガ
イド、SCAJコーヒーマスター
・得意分野……縦走、海外トレッキング、インバウンドガイド
・好きな山域……南アルプス南部、富士山とその周辺
・好きなアクティビティ……チームビルディング
・アウトドア以外の趣味……音楽、コーヒー(淹れること、飲むこと)

SHARE

PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

No more pages to load