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【いつか泊まりたい山小屋#16 八ヶ岳・オーレン小屋】 薪ストーブを囲みホッとひと息つける場所

「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。16軒目は、八ヶ岳の中央部に建つオーレン小屋をピックアップ。

いつか泊まりたい山小屋
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訪れる登山客に「ほっ」とした時間を届ける薪ストーブ

▲2021年夏にオーレン小屋で働いていたスタッフの方々。スタッフが手に持っているのは、以前山小屋で働いていた名物スタッフが制作した看板なのだとか。

いくつものピークが南北に連なる、独特な山容をした八ヶ岳。そんな八ヶ岳の中心にあたる、夏沢峠から西へ100mほど下ったシラビソの樹林帯のなかに、オーレン小屋は建っている。登山口は長野県茅野市の「桜平」で、コースタイムは1時間20分ほど。硫黄岳や天狗岳などの山々や北八ヶ岳方面への登山の起点として、利用されることが多い山小屋だ。

オーレン小屋の大きな魅力は、ホールに薪ストーブがあること。元は囲炉裏があった場所なので、薪ストーブを囲んで腰を下ろすことができ、じっくり薪のはぜる音を堪能できる。ホールには、雑誌のバックナンバーや古書、絵本がそろう本棚「オーレン山の文庫」があり、薪ストーブのぬくもりを感じながら読書に没頭することも可能だ。

オーレン小屋には、薪ストーブで湧水を沸かした男女別の檜風呂もある。登山で疲れた人々に、“あたたかいひととき”を届けたい。山小屋の人々のそんな思いやりが、薪ストーブをとおして提供されているのだ。

▲ホールの薪ストーブの周りにはチベタン絨毯が敷かれ、宿泊客が本や音楽を楽しめる寛ぎのスペースに。
▲スタッフの尽力によって、常に清潔に保たれた客室。3〜8名が泊まれる個室は9部屋、最大24名まで泊まれる大部屋は5部屋ある。
▲山小屋の前の湧水を薪ストーブで沸かし、檜造りの浴槽にたっぷりと注いだお風呂が自慢。窓からは硫黄岳や峰の松目の眺めも。男女別で、脱衣所も設けられている。

地域の食材もふんだんに使用した手料理の数々

▲オーレン小屋の名物、夕食の桜鍋。じつはオーレン小屋のある長野県は、馬肉の生産地としても知られている。

オーレン小屋のあたたかさは、山小屋で提供される食事からも感じることができる。夕食の名物は、馬肉すきやき「桜鍋」だ。引き締まった馬肉と新鮮な地元野菜をアツアツの状態でいただき、翌日の登山のエネルギーをしっかりチャージ可能。連泊時には、馬肉しゃぶしゃぶが提供されるという配慮もうれしいところ。

朝食は、栄養バランスを考慮した和定食が提供される。さらに山小屋定番であるボルシチほか昼食メニューもバラエティに富んでいて、立ち寄りの際も、オーレン小屋のスタッフのこだわりの手料理を味わうことができるのだ。

▲朝食には、登山の糧になるようにと味付けを少し濃い目にした和食メニューを提供。(2022年4月現在は、通常の容器にて提供中)。
▲牛カルビ丼、ごろごろチキンカレー、ボルシチなど、昼食メニューも充実。
▲天井、床、壁に木材が使用されていて、ぬくもりと清潔感のある食堂。

山小屋から目指すおすすめルート【オーレン小屋~硫黄岳 片道約1時間20分】

▲活火山の硫黄岳は山頂まで歩いて行くことができないが、その手前にある「爆裂火口」を見学できる。

八ヶ岳の中心部にあるため、オーレン小屋を起点にすればさまざまな歩き方を楽しむことができる。1泊2日でも無理のないスケジュールで歩けるのが、標高2,760mの硫黄岳を目指すルート。山小屋から山頂まで3時間あれば往復できるので、1日目の午後や2日目の午前中を使って、歩くことができるのだ。

オーレン小屋の名前の由来が「ウスギオーレン」という高山植物であるように、硫黄岳など南八ヶ岳の山々は6~8月に多くの高山植物が咲き誇る。山小屋に不要な荷物をデポして、カメラと必要なだけの水分や行動食を持って、山を彩る高山植物の鑑賞や撮影をゆっくり楽しむ旅はいかがだろう。硫黄岳山頂付近にある「爆裂火口」は、可憐な花々とは対照的に荒々しい景観で、見ごたえ充分だ。

▲登山口から山小屋まで、豊かな森に囲まれた沢沿いの道を登っていく。登山道周辺にはカラマツやカツラ、苔が生い茂る。

薪ストーブを囲み、人と人が集えるオーレン小屋。この「ほっ」とした空間での滞在をとおして、日常のストレスがスッと癒されるはず。八ヶ岳全山縦走を目指す健脚派にも、のんびり楽しみたい子連れファミリーにも、おすすめしたい山小屋だ。

オーレン小屋
http://www.o-ren.net/
・標高:2,330m
・営業期間:4月下旬~11月上旬
・宿泊料金(税込):1泊2食12,000円、素泊まり8,500円、お弁当500円(おにぎり2個)、キャンプ1泊2,000円(1名)
・入浴料金(税込):1,000円 ※テント泊利用者のみ(日帰り利用不可)
・電話番号:0266-72-1279(8:00~20:00)
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、インナーシーツ要持参

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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