登山用コンパスは安全登山のための必須アイテム!おすすめ商品から使い方も
FUNQスタッフ
- 2022年08月16日
INDEX
正しい方角を知る上で、登山用コンパスは大切な役割を果たします。分岐をどちらに進んでいいか分からないときや、道迷いなどの緊急事態のときに、登山用コンパスを持っていれば切り抜けられる場合があります。
しかし、登山用コンパスの重要性や選び方などを、まだ分からない登山者は多いのではないでしょうか。今回は登山用コンパス初心者の方のために、必要性や種類などを詳しく解説していきます!
- GPSのリスク
- コンパスの種別
- 技術を向上させるための実践編
地図読みができるようになる知識も紹介しますので、最後までぜひお読みください。
安全登山のためにコンパスは必須!
登山用コンパスは、登山のリスクを減らしてくれる大事なアイテムです。現在位置を正しく把握し、進行方向を間違わないためにも、登山用コンパスが必須と言ってもいいでしょう。
また、スマホのGPS機能があれば大丈夫、登山用コンパスなんて道迷いしたときに使うものと、思っている登山者はいらっしゃいませんか。登山用コンパスは緊急時以外にも使用するアイテムです。
ここでは、正しい使い方や、他の道具を使用するリスクも含めてレクチャーします。
山岳遭難の原因1位は道に迷うこと
警察庁の令和3年における山岳遭難の概況のレポートを見ると、平成29年~令和3年まで、山岳遭難の原因1位は「道迷い」です。5年間の構成比は40%を超えています。つまり、道迷いを防げれば、遭難のリスクは大幅に減らせるということです。
登山で道迷いする原因の1つに、現在位置を把握していないということがあります。登山用コンパスを持っていれば、地図と併用して現在地を探ることができます。
登山アプリには故障やバッテリー切れのリスクが
登山アプリのGPSで現在地を把握しているから大丈夫!という人もいるでしょう。しかし、登山アプリを扱うスマートフォンは突然の故障やバッテリー切れを起こすリスクがあります。
特に故障は予測が難しく、道迷い中に起こってしまうと取り返しがつきません。アナログ道具である地図と登山用コンパスを扱う技術を得れば緊急時にも安心です。
ルートファインディング技術にはコンパスが必携
ルートファインディング技術は、現在位置や地形を正確に把握するスキルです。地図から正しいルートを見つけることで、道迷いを防止してくれます。ルートファインディングで欠かせないアイテムが登山用コンパスになります。山では目印になるものが少ないので、方角を知ることのできるコンパスは大事な役割を果たしてくれます。
地図読みに必須なコンパスの選び方
登山用コンパスには色々な種類があります。中には軍用にも使用される上級者アイテムも。ここでは、登山に適した登山用コンパスの選び方を解説していきます。
コンパスの種類
登山用コンパスは主に5種類に分けられます。種類によって適切な使用環境や、使い方も変わります。1つずつ詳しく見ていきましょう。
ベースプレート式コンパス
ベースプレート式は最もオーソドックスなコンパスです。マップ用コンパスとも呼ばれ、地図と併用することを前提とした作りとなっています。
透明な台座なので、地図の上に置いたときに、コンパス越しに地図を読める利点があります。また、目盛りもついているので、目的までの距離など、より正しい情報が得られるのも特長です。もし登山で使用するコンパスに迷っているのなら、初心者でも使いやすいベースプレート式のものが良いでしょう。
レンザティック式コンパス
レンザティック式コンパスは、レンズと窓がついた蓋を覗くことによって、方角を知るアイテムです。ミルと呼ばれる細かい目盛りによって、正確な方角を知ることができます。
ただし、軍用にも使用される上級者アイテムで、取り扱いがとても難しいです。登山では、レンザティック式ほどの精度は必要ないため、特に理由がなければ購入の選択肢から外しても問題ありません。
デジタル式コンパス
デジタル式コンパスは、内蔵センサーによって地磁気を感知するタイプです。デジタル画面に方角を素早く表示してくれます。方角以外にも、気温や湿度などの情報も表示してくれるタイプもあり、より登山を快適にしてくれます。
しかしバッテリーや電池式になるため、予備の電池などが必要になります。故障の心配もあるため、長時間の登山には向かないでしょう。
オイル式コンパス
コンパスのケース内部にオイルを満たしているコンパスを、オイル式コンパスと呼びます。オイルによって、なめらかに針が動き、ブレも抑制してくれるので素早く方角を知れます。
方角の測定精度も高く、初心者でも扱いやすいため無雪期の登山に向いているでしょう。ただし気温が低すぎる場所ではオイルの粘度が高くなり、針の動きが鈍ってしまうため、冬季の登山にはおすすめできません。
ドライ式コンパス
ドライ式コンパスとは、コンパスのケース内部にガスを充填しているものです。ガスによって針の抵抗がなくなるため速く動作します。デメリットとして、針の動きが定まるまでに時間がかかるので、測定精度が少し下がってしまいます。ドライ式を選ぶ際は、針の動作を制御するストッパー付きのものがおすすめです。使用可能な温度帯が広いので、冬季の登山にも向いています。
おすすめ登山用コンパス9選
登山用コンパスは測定精度が重要です。ここでは登山にぴったりの、おすすめの商品をご紹介します。冬季登山する人は、動作温度にも注目してくださいね。
【シルバ】シルバコンパス No.3
シルバはスウェーデンの会社で、年間約2000万個の高品質なコンパスを製造しています。No.3タイプはシルバ製品の中でもオーソドックスなモデルで、動作温度はマイナス20〜60℃と幅広く、雪山登山でも使用可能です。
針の動きはなめらかで、測定精度も良好。さらに頑丈なことから、多くの登山ユーザーに愛用されています。オイル式ながらベースプレートも付属。拡大鏡があるので、地図の小さい文字も読みやすくなっています。
- メーカー参考価格:4,730円
- コンパスタイプ:オイル式、ベースプレート式
- サイズ:54×108mm
- 重量:33g
【スント】コンパスA-10
高精度ながらコストパフォーマンスが高い製品です。宝石軸受を採用し、針は高級スチール製です。北半球用に調整されているので、方角も正確に測れます。透明度の高いベースプレートも付いているので、地図読みもしやすくなっています。
動作温度はマイナス30℃〜60℃なので、冬季登山でも安心です。液体充填モデルなので、針の動きもスムーズで方角測定も簡単ですよ。
- メーカー参考価格:3,080円
- コンパスタイプ:オイル式(液体式)、ベースプレート式
- サイズ:56x104x10mm
- 重量:30g
【ビクセン 】オリエンテーリングコンパスII
ベースプレート搭載のオイル式コンパスです。針のブレを抑制してくれるので、ストレスフリーな使い心地になっています。また、強力磁石を使用しているので、素早く針が動きます。軸受には人工サファイアを採用しているため、誤差が少なく、よりスムーズに動作します。
クリアな透明ボディによって地図読みもしやすく、1mm単位の定規によって距離なども測りやすいですよ。10気圧まで耐えられる頑丈さも備えているので、登山にもピッタリです。
- メーカー参考価格:2,530円
- コンパスタイプ:オイル式、ベースプレート式
- サイズ:105×54×10mm
- 重量:30g
【TREKRITE】コンパス
TREKRITEはイギリスの登山メーカーです。動作温度はマイナス25℃〜60℃なので、冬季登山なら問題なく使えます。防水コーティングはされていませんが、多少の雨でも浸水しにくい構造となっています。インデックス線と、磁性針の方向に蛍光塗料付が塗布されているので、暗くなっても方角が測りやすいですよ。
ベースプレートは透明度が高いので、地図上の情報を読み取りやすくなっています。取り外し可能なネックストラップによる、携帯性の良さも魅力的な商品です。
- コンパスタイプ:ベースプレート式
- サイズ:87×60×1mm
- 重量:約31g
【ハイマウント】ルミノーバ 6Rマップコンパス
通常のコンパスに比べ、約3倍もの強さを誇る強磁性体の針を使用しているので、素早い動作で方角が測れます。オイル式構造によって衝撃に強く、針の動きもスムーズで使い心地も良くなっています。
軸受けには人工石を使用しているので、耐久性も抜群です。指針と目盛には蓄光塗料が塗布されているので、夜間の使用にも便利です。ルミノーバには1R・3R・6Rモデルがあり、登山に使用するのならば動作温度がマイナス20℃〜60℃ある6Rがおすすめです。
- メーカー参考価格:3,080円
- コンパスタイプ:オイル式、ベースプレート式
- サイズ:約112×62×10mm
- 重量:約43g
【シンワ測定】方向コンパスE
日本製のネックストラップ付きオイル式コンパス。シンワ測定とは、新潟県に本社がある測定機器専門のメーカーです。30gを切る軽量さや、オイルによる動作のなめらかさ、正確に方位を表示してくれる精度も魅力です。
ベースプレートも付いているので、目的地までの距離も正確に測れます。また磁北線を引くこともできるので、地図をより正しく把握できるようになりますよ。
- メーカー参考価格:2,750円
- コンパスタイプ:オイル式、ベースプレート式
- サイズ:50(84×54)×10mm
- 重量:27g
【TATUM】登山用コンパス
マークホールに加え、クリアなベースプレートを採用しているので、地図読みに便利なコンパスです。ネックストラップで首に下げることも可能です。
ルーペによって地図を拡大して見ることも可能。高強度アクリル素材なので頑丈さにも優れています。コストパフォーマンスも良いので、紛失しても買い直しやすいのが魅力です。
- コンパスタイプ:ベースプレート式
- サイズ:約56×116×約10mm
- 重量:約34g
【ぴぴっと】 多機能 デジタルコンパス
方角だけではなく、天気予報、時刻、日付なども調べられるデジタルコンパスです。バックライトも備えているので、暗い場所での使用も快適です。
気圧計も付属しているので、現在の高度も調べられます。乾電池式なので、予備の電池を持っていくようにしましょう。気温計はマイナス10℃~+60℃まで測れるので、冬の低山でも活躍してくれるでしょう。
- コンパスタイプ:デジタル式
- サイズ:約18.0×9.0×5.0cm
- 重量:約130g
【ビクセン】ドライ式コンパス
ドライ式なので、持っているのを忘れるほど軽量なコンパスです。コストパフォーマンスにも優れているので、スペアとして持つのもおすすめ。
2度間隔の目盛りを搭載し、8方位45度間隔の指標で正確に方位を測れます。取り付けリングも付属しているので、カラビナでザックに取り付けも可能です。
- メーカー参考価格:770円
- コンパスタイプ:ドライ式
- サイズ:34×8.5mm
- 重量:10g
地図読みができるようになるためには
初心者の方が地図を読んでも、記号や等高線などを正しく把握できないでしょう。しかし、地図読みは登山において必須とも言える技術です。ここではその技術に必要な道具や、知識を解説していきます。
必要なもの
地図読みをするには道具が必要です。ポイントは電池などを使用しないアナログな道具。いつでも使えるものを使用しましょう。
地形図
土地の起伏や高低差などが詳しく書かれた地図を、地形図と呼びます。地形図で注目してほしいポイントは「縮尺」「方位」「高低差」「地形図記号」です。
縮尺は地形図によって変わります。縮尺を計算することで、目的地までの正しい距離を知ることがきます。地形図には方位も記され、基本的に地図の上が北になります。
また、地形図には高低差を記した等高線が引かれているので、登山道のアップダウンも把握可能です。地形図記号や、土地名を知ることで、より地形図が分かりやすくなりますよ。
コンパス
コンパスはどのような状況でも方角を知れるアイテムです。地形図と組み合わせることで、今いる場所を把握できるようになります。今回の記事でも必要性を詳しく解説してきましたが、忘れてはいけない大切な登山道具です。
地図読みの基本知識
地図とコンパスを用意したら、次は詳しいテクニックを知る必要があります。テクニックと言っても、きちんと学べば初心者でも身につけられます。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ読んでください。
また、PEAKSから発行している「山岳ナビゲーション」という本も読めば、地図読みの知識はほぼパーフェクトです。ぜひ購入して、安全のしおりとして手元に置いてください。
Amazonで「山岳ナビゲーション」をみる
実際にやってみよう
地図読み技術の最終段階は、山で実際に使ってみることです。実践することで、緊急時でも慌てずに地図読みが可能になります。今まで習得した技術と知識を生かして、ルートを探っていきましょう。
地図読み講習会に参加してみる
いきなり本番登山で、地図読み知識を実践するのは難しいですよね。地図読み技術は、知っている人から教わるのが最も効率が良いです。
周りに地図読み技術を教えてくれる人がいなくても大丈夫です。地図読み技術の講習会は全国的に行われ、どなたでも参加ができますよ。講習会には大きく分けて、以下の4タイプがあります。
①登山用品メーカー
登山用品を製造するメーカーが、登山販売店や直営店舗などで講習会を開催しています。開催情報はメーカーのHPからチェックできます。主に「キャラバン」「モンベル」などのメーカーが講習会などを積極的に行っています。
②山岳団体
全国の都道府県のほとんどに、山岳団体が存在します。山岳団体の中には、所属をしていなくても参加できる講習会を開催し、技術を伝授する機会を設けています。
「日本オリエンテーリング協会」でも、オリエンテーリングとして地図読み講習会を開催しているので要チェックです。
③登山ガイド
登山ガイドは山に精通し、地図読み技術も持っています。登山ガイドの中には、講習会を開催している人もいるので調べてみましょう。また、講習会を開催していなくても、地元の登山ガイドに個別に相談することで、地図読み技術を教えてくださる場合もあります。
④登山用品専門店
一部の登山ショップではイベントの一部として、地図読み講習会を開催しています。代表的なショップは「好日山荘」「石井スポーツ」です。近くのショップで開催していないか調べてみましょう。
地図を見ながら山を歩いてみる
地図読み技術を正しく習得したら、本番の登山で使ってみましょう。まずはルートが明瞭な低山から試してみてください。地図を読みながら登山する方法は、以下の記事で詳しく解説していますよ。
コンパスがあればもっと安全登山に
登山用コンパスの選び方や商品などをご紹介しました。
- スムーズな動作が欲しいならオイル式
- 多機能なオイル式とベースプレート式の組み合わせ
- 軽量さならドライ式
登山用コンパスは測定精度が高いものが多いので、同じ景色が続きやすい山では大活躍してくれます。軽量なタイプもそろっているので、荷物の邪魔にもなりません。山登りのお守りとして、ぜひ登山用コンパスを購入しましょう!
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