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温泉×登山!渓谷の秘湯に泊まって目指す山百2座|アウトドアショップ「エルク」が案内!山梨百名山の楽しみ方#15

山梨百名山の魅力や楽しみ方を伝える、アウトドアショップ「エルク」の綾井です。

2023年3月から始まった、山梨百名山100座全て登って魅力を伝える「山梨百名山チャレンジ」。富士山を残して2023年を終了したこの取り組みは、現在登った各山の紹介ブログをエルクのホームページ上で随時アップしています。

そしてこちらのランドネWEB連載も、2024年富士山登山を終えるまでいままで登った山梨百名山の中から、私がみなさんに是非登ってほしい”推し山”を紹介してきましたが、あと二回となりました。

#15で紹介する山は、山の中の秘湯山小屋に泊まって登る、山梨百名山の2座を紹介します!

飛竜山、雲取山~温泉×登山!渓谷の秘湯に泊まって目指す山百2座~

▲飛竜山

飛竜山(ひりゅうさん)は、埼玉県秩父市と山梨県北都留郡丹波山村との県境にある、標高2,077mの山です。山梨百名山の中でも名前のカッコよさランキングでは上位に入るであろう、竜が飛ぶ山。これは飛竜山山頂の手前に祭られている飛竜権現に由来しているそうです。

名前のカッコよさはありながら、となりの雲取山に比べ登山者の数が少ないんですよね。人が少ない理由としては、山頂の展望のなさだけでなく、最短コースでも往復で7時間以上かかるコースタイムも挙げられるでしょう。

▲雲取山

合わせて登るのは日本百名山のひとつにも数えられている雲取山(くもとりやま)。山梨百名山というより日本百名山、そして東京都最高峰の山として名高い山ですよね。東京、山梨だけでなく、山頂は埼玉県にもまたがっているので、3都県またがる山になります。

雲取山は、白岩山、妙法ヶ岳と合わせて「三峯山」と呼ばれることもあり、古くは修験者が登拝を行なっていました。埼玉の秩父側登山口にある三峯神社の奥の院に当たるのが上記の三山であり、修験道が盛んなころは埼玉県側がメインルートとして使われていたのでしょう。三峯神社もパワースポットとして有名ですね。

▲三条の湯

そんな二座を、今回は山小屋に泊まって歩きました。泊まった山小屋は「三条の湯」。こちらは飛竜山と雲取山をつなぐ稜線からかなり標高を落とした場所にあるので、正直言って効率の良いルート選択ではありません。しかし、どうしてもこの秘湯に入りたくてこのルートを選びましたが、三条の湯に泊まって大正解の登山となりました。

道の駅たばやまから飛竜山

▲道の駅たばやま

やって来たのは「道の駅たばやま」。雲取山は3都県それぞれに登山口がありますが、道の駅たばやまから登るルートをとれば、飛竜山とお目当ての三条の湯に寄りやすくなります。宿泊する三条の湯までは補給スポット、トイレがないので、ここでしっかりと準備をしてから向かいます。

道の駅から道路を歩いていき、村役場を越えてすぐに登山口の標識があります。ここからまずはサオラ(サヲウラ)峠を目指し歩いていきますが、山道に入っていくにつれて、どんどん斜度が上がり急登が続きます。

丹波山バス停からサオラ峠までがコースタイムで3時間、結構タフでしたね~。個人的には、この区間が最初の関門であり、この山の核心かも。

▲サオラ峠

サオラ峠は分岐になっていて、帰りに三条の湯からこの場所に帰ってきますが、まずは飛竜山の標識が差す方向へと進んでいきます。サオラ峠から飛竜山までの顕著なピークは熊倉山と前飛竜山になりますが、前飛竜山の手前で、ようやく展望が得られる岩場がでてきます。

露岩の上に立てば展望が開け、山が奥まで連なっているのがよくわかります。長い樹林帯メインの山で、ここが唯一の展望地。男心くすぐるかっこいいイメージの山名ですが、正直地味な山といえるでしょう。それでも新緑の時期に登り、尾根沿いにはツツジの花も咲いていたので、楽しんで登ることができました。

▲奥秩父主脈縦走路に合流

前飛竜のピーク、そして飛竜山の名前の由来となった飛竜権現を越えれば、ここから奥秩父主脈の縦走路を歩いていきます。ここまで8km以上歩き、標高差1,400m以上登っているので、最後の登りは足が重くタフに感じますが、この日の行程最後のピーク、飛竜山まであと少しです。

飛竜山(2077m)に到着です!うれしさのあまり標柱に抱きついてしまいました(笑)。山頂は広いものの、展望のきかない樹林の中にあるので、休憩はほどほどに次の目的地に進みます。

三条の湯

▲いざ三条の湯へ

山頂を後にすれば、もう温泉のことで頭がいっぱいです(笑)。三条の湯へ向かうために奥秩父主脈縦走路を進み、「北天のタル」という分岐から三条の湯へ一気に標高を落とします。奥秩父主脈縦走路は雲取山にもつながっていますが、飛竜山から雲取山は6km以上あり、サクッと行ける距離ではありません。

奥秩父主脈縦走路に出ると、山の斜面に付けられた綺麗なシングルトラックが続きます。ちなみに飛竜山、雲取山は東京都水道局の水道水源林。水道水源林の手入れっぷりは素晴らしく、「やっぱ東京とは違うな~」といつも感心しています。

縦走路から三条の湯へ一気に下りてきました!飛竜山から標高差約900mも下りて、たどり着いた三条の湯。山小屋でありながら、この山域唯一の温泉宿です。

宿の受付を済ませば、楽しみにしていた温泉へ!温泉は約PH10でアルカリ性のトロっとした泉質。心地いいくらいの硫黄のほのかな香りもまた良し。源泉は冷たいのでボイラーで沸かしているようです。ちなみに石鹸やシャンプーなどの使用は禁止されています。

20分ほどの入浴で体の芯まですっかり温まり、ハンモックに揺られながら風呂後のビールで乾杯!テラスからは深く青々しい森の景色、聞こえるのは沢を流れる水の音と鳥のさえずり。ここまで歩いてきた甲斐がありました。

夕食のメインは自家製ローストポーク、そして季節の野菜や山菜がふんだんに使われたプレートディナーになっています。山で野菜をしっかり食べられるのはうれしいですよね~。ご飯も炊きたてでおいしく、もちろんおかわりして今日の消費カロリーを補いました。

三条の湯は親子三代で受け継がれ、70余年の歴史ある山小屋とのこと。夏は北アルプスを中心に山小屋は予約合戦の様相を呈してきましたが、三条の湯はそんな喧騒とは一線を離れた、静かな70年を経てきたのではないでしょうか。温泉良し、料理良し、小屋番さんもすてきな方で、70年とは言わず100年以上続いてほしいすばらしい山小屋でした。

三条の湯から雲取山

三条の湯の温泉とおいしい夕食のおかげで、前日の疲れもすっかり回復した二日目の朝。2日目の行程は雲取山を登り登山口に至るまで、なんと20km近く歩かなければいけません。一般的には飛竜山、雲取山それぞれ一座ずつ、一泊二日の行程で臨むほうがいいでしょう。

三条の湯から沢を渡れば、いきなり急登の九十九折が続きます。序盤からなかなかの急勾配となるので、脚を使い過ぎないようにゆっくり登りました。三条の湯から三条ダルミという主稜線上の分岐を目指すこの区間は、我慢の区間ですが温泉の疲労回復効果で登ることができました。

三条ダルミに出れば、ここからまた奥秩父主脈縦走路に合流。そして雲取山山頂まであとわずか!稜線に出れば不思議と足取りも軽くなり、山頂まですいすい登ることができました。

雲取山(2017 m)に到着です!三条の湯から3時間半の行程だったとはいえ、昨日も疲れもあり、また標柱に抱きつくくらい、なかなかハードな行程でした。

山頂には避難小屋があるのですが、山梨百名山の標柱はこの小屋の裏にひっそりと置かれています。もう少し先に、本当の(?)山頂が待っていてくれます。

東京都の立派な標柱、というか石柱が建てられているこの場所が、雲取山の山頂になります。3都県のパワーバランスが、標柱ひとつとっても分かる気がしますね(笑)。

雲取山山頂から昨日登った飛竜山も良く見えました。この奥秩父山塊は、飛竜山の先にも甲武信岳や金峰山へとまだまだ続く長大な山塊です。奥秩父主脈全山縦走もチャレンジングですが、いつかはやってみたいと思います!

▲長い下山道を経て丹波山村へ

帰路は山頂から三条の湯に戻り、サオラ峠を経て道の駅たばやまへ帰りました。
サラッと書きましたが、長い道のりになるので、おなじルートで行かれる際は
時間に余裕をもって行動しましょう!

飛竜山、雲取山立ち寄りスポット

私は下山後のごはんとお風呂が楽しみで、これなしでは登りたくないほどです(笑)。「山百チャレンジ」を通してたくさんのおいしいごはん屋さんや、温泉に立ち寄らせていただきました。前回からの連載に続き、下山後の立ち寄りスポットを紹介します!

TABA CAFE

下山して道の駅に戻る街道沿いで見つけたのが、くぐり戸が印象的な古民家カフェ「TABA CAFE」。丹波山産の野菜、庭で育てたハーブや梅など、おいしくて安心な食材を使った体にやさしいお料理&スイーツがいただけます。

私がいただいたのはパスタがメインのランチ。パスタはもちろんおいしかったのですが、登山後でビタミンが失われているのか、丹波山で採られた生野菜のサラダが絶品でした!

また下山日がちょうど定休日で寄れませんでしたが、道の駅たばやまにも「丹波山温泉 のめこい湯」という日帰り温泉施設があります。温泉登山後にまた温泉、そんな温泉尽くしの登山もいかがでしょうか。

来月はいよいよ最終回!フィナーレを飾るのは最後に残しておいた富士山です。短かったような長かったような山梨百名山チャレンジも、これにて終わりです。日本一の山頂からは、どんな景色が見えるのでしょうか。次回もお楽しみに!

エルクスタッフ 綾井瞭
北岳の山小屋で勤務後、山梨の山が好きで移住し、エルクに入社し7年。登山、トレイルランニング、スキーと広く山を楽しんでいたが、ヒザを壊してからは山梨県の山を改めて登り始める。山梨百名山チャレンジ企画の担当であり、山梨県の山を登って魅力を発信することをモットーに山登りを続けている。

エルクブログ「山梨百名山チャレンジ」はこちらから!

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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