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「だから、私は山へ行く」#28 山謳う/オオガミユミコさんとコイデユカさん

山を愛し、山とともに生きる人に迫る連載「だから、私は山へ行く」。今回は、山を歩き、文章を綴り、イラストを描き、写真を撮る……。独自の感性で、山にまつわる”よみもの“を仕立てる「山謳う」のふたり。オオガミユミコさんとコイデユカさんが、山に恋い焦がれる理由とは?

「山謳う」ふたり、山を歩く

ふたりが初めていっしょに山を歩いたのはいまから、10年ほど前丹沢山塊。のことの中央にある塔ノ岳がきっかけだった。

「ある日インスタグラムで、山のことを調べていたらタグで彼女が出てきたんです。なんとなく気になって連絡したところ、いっしょに塔ノ岳に行くことになったんですよね」(オオガミさん)

「お互い山を始めて2〜3年ぐらいの時期。『はじめまして』なのに初めて会った感じがしなくて、山では普通にはしゃいでいたような気がします。当時の私は、山を歩くことがただただ楽しくて、水を詰めた2lのペットボトル2本をバックパックに入れてトレーニング気分で登っていたような……(笑)(コイデさん) 」

「そうだったね!でも、お互いに花を見たり、写真を撮ったりしながら歩くことが好きで、波長がすっと合ったような気がしました。山のレベル的にもおなじようなものだったので自然といっしょに、山を歩くことが多くなっていきました」(オオガミさん)

こうしてふたりは月に1回ほどのペースでいっしょに山へ行くようになる。塔ノ岳、檜洞丸、八ヶ岳、燕岳……。いくつもの山行を重ねるなかで、とくに思い出深いのが、2017年の白馬岳から朝日岳への縦走だという。

「じつはその前年にコイデが前十字靭帯を断裂していて、しばらく山に行くことができなかったんです。それでも彼女は一所懸命にリハビリを続けて、やっと山を歩けるように。 『久しぶりにアルプスに行くぞ!』と向かった山行でした。2日目の朝、白馬岳から朝日岳へ向かう稜線を歩いていると、きれいな朝日が昇ってきたんですよね。ふと横を見ると、いつもは強くて前向きな彼女が泣いていたんです。その表情を見ていたら、なんだか私も涙が出てきてしまって……」(オオガミさん)

「白馬岳は、私が山を好きになるきっかけを作ってくれた山。初めて歩いたときに『こんな景色があるのかー!』と感動して山に通うようになったんです。ケガをして山に行けない時期が続いて、やっと戻ってこれた白馬岳でまたすごい景色に出合えた。 『やっと、会えたね』と思ったら、涙があふれてきて。あの旅は、忘れられない思い出です。(コイデさん)

▲ふたりにとって忘れられない思い出となった白馬岳から朝日岳縦走の山行。いま、ふたりが恋い焦がれる山行は荒川三山の縦走なのだそう。

山の“よみもの”をつくる

ふたりには、山のほかにもたくさんの共通点があった。文芸、美術、カメラ、古いもの……。どちらからともなく「山にまつわる“よみもの”をつくりたい」と思い始めたのは、2018年のことだ。

「そのころ、私のなかには『山謳う』のコンセプトがすでにあって、その話をしてみたら、コイデが『私がデザインするよ』と言ってくれて。以来、それぞれの得意なことを持ち寄りながら、ものづくりを続けています。(オオガミさん)

山に響く「小さな謳」を掬い上げ、山を愛する人に届ける……。

「山謳う」はこれまで3冊のリトルプレスを発行してきた。号によってテーマは違えど、山のふとした表情を捉えた写真や言葉、遊び心のある装幀やイラストには、ふたりの体温が閉じ込められているようで、ページをめくっていると無性に山に行きたくなる。

▲制作のアイデアは、山歩きのときに思い浮かぶことも。ゆっくり考えたり、話したりしたいときには、八ヶ岳に行くことが多い。

でもなぜふたりは、SNSやWEBではなく「本」という 形で山の”よみもの”をつくるのだろう。

「山の文芸誌『アルプ』に影響を受けているところが大きいと思います。何十年も前につくられた本が、時代を超えて私たちの手元にある。それってすごいロマンですよね。本は、燃えたりしない限りはこの世に残り続ける。20年後、30年後に山好きの方が私たちのつくった本を手にとって『昔はこんな人がいたんだな』って思ってもらえたら、心が通じ合えているようで、すてきだと思うんです。(コイデさん)

 

▲コイデユカさんが影響を受けた山にまつわる本たち
▲オオガミユミコさんお気に入りの本や民芸品

「山謳う」 が、山を歩く理由

▲高見石小屋での展示のようす。ふだん街に暮らしているからこそ、「山に恋い焦がれる気持ち」を作品に込められるそう

山を歩くことは、言うまでもなく「山謳う」の創作の源泉だ。どうしてふたりは、それほどまでに山に惹かれるのだろうか。

「山は私にとって“こども心”が疼く場所。山を歩いているときは、RPGの主人公のような気分で未知の世界にふみ込んでいく……。その“冒険感”が原動力になっていると思います」(オオガミさん)
「童心に帰れることは、大きな魅力ですね。ほんとうは私、街にいるときでも道端の石を観察したり、枝を拾ったりしたいんです。でも、できないじゃないですか(笑)山はそんな自分の“こども心”を開放できる場所。あとは
『水がおいしい』『太陽って温かい!』 と純粋に思える感覚も、私が山へ行く理由です。(コイデさん)

ひとりでは心細い道のりも、ふたりならワハハと笑って行けるよねーー。そう話すふたりが紡ぐ山の謳は、きっとこれからも生み出されていく。その作品は時代を超え、いつか未来の山好きのもとに届くのだろう。

▲2023年夏の高見石小屋での展示のために制作した「博物誌バンダナ‒高見石小屋 ‒ 」

▲『山謳う』の”よみもの”
▲マッチやキーホルダーなども制作。どこかノスタルジックな気配が『山謳う』らしい

山謳う

コイデユカさんとオオガミユミコさんによる創作ユニット。山にまつわる”よみもの“のほか、ステッカーやマッチなどの制作を行なう。最新作は、『 山謳うのよみものVol.3-高見石小屋で会いましょう-』
www.yamautau.com

 

「だから、私は山へ行く」
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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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