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【パパ大津留のフォトエッセイ】長崎県・男女群島 カンパチに憑りつかれた男たち【後編】

大型カンパチを求めて、実績のある地・男女群島へ。パパ大津留と、「冥途の土産ツアー」と題してパパに50kg級をキャッチしてもらいたいと願う男たちがチャレンジした。メンバーは皆、カンパチジギング好きであり諦めず、常に全力でしゃくり続けるハートを持つアングラー。そしてパパも悪天候の中、老体に鞭を打ち、探り続けた。そんなレジェンドアングラーパパ大津留が綴るフォトエッセイの、後編をお送りする。

折れるまでは止めない! これが出来なくなったときが終着点。

「止めない、逃げない、諦めない」、そんな私のジギングだが、昨年の11月頃からは特にヘビーだった。水温が高めの地元八丈島は、黒潮が噛んで魚も深場である。500gから600gのメタルジグを連日でガンガン振り続けた。さすがに76歳になる私の老骨は軋み、筋肉も悲鳴を上げていた。

しかし、壊れるまでは止めない。折れるまでは止めない、何時も全力、全開の釣り。これが出来なくなった時が終着点と、そう心に決めている。そして、そんなイズムから作られたネーチャーボーイズのロッド、IRON WILLに、鉄ジグDEEP RO VER 500g、600gを抱え、北九州に向かうことにした。

羽田空港で、加藤、大本と合流。博多空港からは黒岩の運転するワゴン車で唐津の呼子港に向かった。港ではいつもの笑顔で田代船長が出迎えてくれた。此処からは早々に支度をし、数時間の船旅になった。天候が下り坂ということで、すぐに男女群島へ向かい、その後は天候の様子を見ながら釣りをすることになったのだ。

「パパ~、あんまり相性が良くないんだよね。アメリカでは2回も何にも出来ずに酒ばっかり飲んでいたし。ガッハッハッハ」「そうだよね、これじゃ冥途への旅も、延び延びになるよ」。そんな話をしてからキャビンに潜り込んだ。

数時間続いた大きいエンジン音と揺れが静かになった。この船の足は速い。もう男女群島の島影が目の前にあった。そこから、夕食の宴になる。ビールの乾杯から、焼酎、ウイスキーの水割り、シャンパン。それぞれの酒の好みは違うが、黒岩が作ってきた特製の焼き肉のタレに、加藤が持参した美味しい牛肉や高級イクラ。翌日用に船長が用意したクエ鍋がスタンバイしている。まあ、そんじょそこらの高級割烹であっても中々食えない代物だ。

ただ、船長は明日も雨含みの時化模様なので、何時まで出来るか判らないという。難しければ五島まで船を走らせ、更に翌朝の様子を見るという。

▲釣り時間が終われば、美味しいお酒と絶品の料理を楽しむ。船中泊、遠征釣行の楽しみのひとつだ。高級イクラにパパもびっくり!

翌日朝、早速ジギングを始めた。直ぐに、私にアタリがあるが、サイズは小さい。3~4kgのヒレナガカンパチだが、「パパ~、ヒレナガ~?」と、笑顔の船長だが顔が曇る。どうも、ヒレナガカンパチが釣れる時は潮が悪いということらしい。

▲幸先よくヒットを得たものの、狙っているサイズではない。上がってくるのはヒレナガカンパチがメイン。田代船長が言うには、ヒレナガカンパチが釣れるときは、潮が良くないとのこと。

そこから、私、加藤、黒岩それぞれにヒットは続くが、何れも10kgにはとても満たないヒレナガカンパチで、たまに本カンパチやヒラマサも混じるが、いずれも小型だ。イワシかグルクンの群れだろうか? 時折、鳥が群れカツオらしい魚が飛び出す。

「今晩のおかずだ~、クロちゃん頼むぞ~」。

キャスティングロッドも持ち込んでいる黒岩がキャストするが、中々フッキングしない。やはり、何時もより活性は落ちるのか? そんな中でも、操船の合間に竿を出した田代船長が、良型のカツオを釣り上げた。さすがである。

▲加藤もしゃくり続け、パパのヒットに続く。狙いのサイズではないが、ひとまずカンパチの顔を見れて一安心。ジグはソウルズ・ハリノヤマ。

▲良さそうな反応はたびたび出るが、やはり潮が悪いからか、喰いがいまいち。ただ諦めるわけにはいかない。

▲船の周りはカツオのナブラ。夜のオカズ用に、田代船長が奮闘。なかなか喰いつかない状況だったが、見事ヒットさせた。

その後もかなり荒れた海の中で相当に粘った。そんな中でも、私と加藤は終始重たいジグの装着したロッドを振り続けた。大本がややサイズが良いヒラマサを釣り、それぞれに皆のロッドは曲がるが、何しろサイズが出ない。それにしても加藤のジギングは休まない。私のようなパワージギングだが、その中に上手さもあり丁寧だ。そして何よりも、このカンパチジギングが好きなのだろう。

活性が上がらないことから、大荒れの中、肥前鳥島にまで足を延ばす。だがそこも活性は高くない。雨も激しくなり、下着の中までずぶ濡れ状態だが、手を休める事はない。カメラを出して写真を撮れるような状態でもなく、頑丈な黒岩が初めて酔ったと口にするぐらいのタフなコンディション。その後はやはり五島に退避し、翌日の様子を見る事にした。

▲次第に男女群島周りはシケ模様に。そこで備前鳥島へ移動するものの、こちらは強い雨。予報ではさらに雨が強くなるという。皆、パンツまでビショビショ。カメラを出すのを躊躇するほどだ。

急遽だが田代船長は宿を手配し、宿に入る前に港での船内で食事。そこでも船長と黒岩が美味しい食事を作り、そして酒だ。酔いもソコソコに宿へと入り、早めに疲れた体を横に休めた。翌朝、朝食の後で田代船長が、どうも回復の見込みは薄いと言う。予報が変わった。であれば予定を早め、エアーのチケットも一日早め、福岡から羽田に戻ることにした。

今回も、やり切った釣りとは言えない。だが、肩、腕の痛みはあり、大荒れのコンディションの中で、全力は尽くしたと思う。

▲黒岩寛志も休まず探り続け、ポツリポツリとヒットを得ていた。しかし、なかなか良型はヒットしない。

▲加藤には良型のマダイもヒット。記者にはヒラマサ。ともに300gクラスのジグを喰ってきた。

「パパ~リベンジしよう。誠ちゃんから予定が空いたということで、頼んで9月にスケジュールを取ったから。やり残した冥途への土産だから、まだ続くぞ~」

確かに、いまだ心が折れてはいないが、何時つぶれるか判らないガタガタの老体だ。博多から羽田に戻るが、その日の羽田~八丈島の便は欠航になった。羽田のホテルで、関節がギシギシ痛む腕をさすり、ウイスキーを啜る。今回の釣りを振り返り、カンパチに憑つかれた男たち、その前で冥途の扉が開くのなら、それも本望だろう。

▲加藤も休まず、最後の最後までやりきった。9月の男女群島再チャレンジに期待したい。

TACKLE

●パパの使用タックル
ロッド: Natureboys・IRON WILL Power Flap IWPS-536WPF、IWPS-595W+PF、IWPS-585BW+PF(ベイトモデル)
リール:DAIWA・20SALTIGA18000、20000 STUDIO OceanMark・Blue Heaven BL-120Hi/R
メタルジグ:Natureboys・DEEPROVER 310g~600g
ライン:VARIVAS・アバニジギング10×10
マックスパワーPE X8 5号、6号
ショックリーダー:VARIVAS・フロロカーボンリーダー 100lb、130lb

【この記事は2021年7月現在の情報です】

【パパ大津留のフォトエッセイ】長崎県・男女群島 カンパチに憑りつかれた男たち【前編】はこちら>>>

【パパ大津留のフォトエッセイ】長崎県・男女群島 カンパチに憑りつかれた男たち【前編】

【パパ大津留のフォトエッセイ】長崎県・男女群島 カンパチに憑りつかれた男たち【前編】

2021年09月29日

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SALT WORLD 編集部

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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。

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