【近海のスプリンター攻略】シャウト! 小野誠流の明石のブリゲーム【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年10月21日
捕食ベイト、状況に合わせて常に対応していくことが大切!
関西の一級青物フィールドとして知られる明石沖。明石と淡路島の間に海峡があることで、豊饒なフィールドが形成されここに回遊するブリ系青物は、シーズンに合わせて様々なベイトを捕食している。そんな場所で、秋深くになると盛り上がるのは、小型タチウオを捕食するタチウオパターンだがその日、その時で捕食ベイトは変化する。アングラーはそれに合わせての攻略が必要! 今回はシャウト!小野誠さんの釣行に同行し、その様子を取材させてもらった。
タチウオパターン取材で人気船の魚英へ
兵庫県在住のシャウト!の小野誠さんにとって、明石沖の海は身近なフィールド。ルアーブランド・シャウト!が2001年に設立される以前から、小野さんがジギングを楽しむために通っていたのが、明石港の遊漁船・魚英だ。
「魚英さんは、その頃からジギング船をやっていました。そしてこれまで、いろいろな製品テストをこの地でやらせてもらいました」(小野)
そんな明石沖での取材に来てほしいと小野さんから編集部にオファーがあった。話によると、新作のジグのテストを行っており、発売は来期になるそうだがそのジグを使用した実釣取材を行いたいとのことであった。
そのジグとは、秋に明石海峡で盛り上がる、タチウオを捕食するブリ狙いのタチウオパターンでの活躍を期待するモデルだという。タチウオパターンということは、海峡の潮が速い場所に対応するモデル。潮流に負けないハイウエイトで、タチウオを模したロングジグだ。
この取材の相談をもらったのは8月下旬。この時点では、もちろんタチウオパターンにはまだ早い。例年の傾向から、10月に入ってからがベストだろうという考えで、10月中旬に取材の日程を2日間設定した。
当日、遊漁船・魚英の駐車場には、ブリ&ハマチ、サワラといった青物、そしてタチウオの良い季節に突入していることから、多くの釣り人が押し寄せていた。親切丁寧な接客で、初心者で訪れる人も多いという。ここに頻繁に通う常連のアングラーも多い。▲長年、明石沖でルアー船として出船している魚英。土日はもちろん、平日でも多くのアングラーが訪れる人気船だ。その理由は、釣果実績とともに、丁寧な船長、スタッフがいるからだろう。小野さんは、シャウト!の設立以前から通っているという。
そして青物狙いの場合、船に乗り込む際などに、常連のお客さんは、「今日は西へ行くの?東へ行くの?」などと、船長に確認する。明石大橋の西側か東側かということ。西側は広いエリアの中で、青物の反応に船を当てながら探っていく。ベイトはイワシ、アジ、イカナゴ、イカなどと様々。一方、橋付近の東側は、水温が低下し、潮が激しく動くタイミングでタチウオの幼魚が入り、それを捕食するために青物が付くことから、シルバーのロングジグで釣果が連発する場所。どちらへ行くかによって、装着するジグが変わってくるというわけだ。
もちろん開発中のロングジグを使用したいことから、我々も東側を望んだ。だが誤算だった。今回の日程での潮では、東側で釣るのは難しいと、乗船する船の魚谷吉伸船長は言う。タチウオパターンで釣れるとすれば、夕方とのこと。夕方では帰港してしまっている。そんなこともあり、攻めるポイントは西側がメインとなってしまった。▲関西の名釣り場、明石大橋周辺は潮の具合で激流となり、そこに小型タチウオを捕食するブリが現れる。だが、タチウオパターンはタイミング次第。今回の釣行時はチャンスタイムが夕方に訪れるということもあり、橋から離れた、橋の西側のポイントを広く探っていく展開となった。紀伊水道から入ったブリの幼魚が、このエリアでベイトを捕食し、成長する。だがそこにもブリクラスはいる。それをどう釣るかだ。
多彩なベイトに合わせジグは形状、サイズともに多数用意したい!
臨機応変に対応 決めつけないことが大切
「一週間ほど前も明石沖に来てましたが、その時も西側がメインでした。ポイントは淡路島寄りの通称・キティーちゃん前でした(キティーちゃんのテーマパーク・ハローキティースマイルの沖)。その時は、ハマチ、メジロが爆釣でしたね。ただブリとなると……。いろいろと試して、その時のパターンを見つけていく釣りを展開したいです」(小野)
一週間経っていれば、潮も大きく異なり、状況は変わる。前日は同船でブリが1本上がった様子。いい方向へ変化していることを期待しての出船となった。
船長は、橋の西側の中央部に船を進めた。そして船長からの合図とともに、ジグを投入していく。小野さんは、ジグ・ステイ200ℊシルバーカラーから様子をみる。ステイは、明石沖で多くの実績を持つジグ。イワシ、アジ、その他ベイトが捕食されている複合ベイトパターンで威力を発揮するモデルだ。
「ステイは、左右非対称、ジャークを連続することでダートし、ジャークとジャークの途中にしっかりと横を向き、サスペンドする性能です。この瞬間が捕食のタイミングとなります」
またラインスラックを出さずにしゃくっていくと、首を振るように細かく動かすことができる。そんな動きを簡単に演出できることから、初心者でも扱いやすく、さらに明石で愛用している人も多い。ロングセラー商品となっているのは、そんな理由からだろう。
▲小野さんは、ベイトタックルを使用するスタイル。ボトム着底後、ゆっくり目のテンポのワンピッチジャークで誘っていく。その理由は、着底が分りやすく、潮流が速くなっても根掛かりをより避けられるからだ。
小野さんは、開始して間もなく、幸先よくハマチをキャッチ。そのすぐ後にも、同サイズをキャッチした。だがそこからが、なかなか続かなかった。時折バイトはあるのだが、乗らないのである。ジグを一回り小さく160ℊにしてみるが、変わらない。明らかに喰いが浅い。
▲今回の釣行時のおよそ一週間前も明石沖でジギングをしていた小野さん。この時も、取材時と同様、橋の西側をメインに探ったとのこと。そしてハマチが大爆釣。メジロも姿を現したが、ブリはヒットしなかったという。今回もスタートしてすぐにハマチをキャッチ。ハマチだけで終わってしまったら……と不安もよぎる。
そこで、今度はジグをロングのプロトに交換。細く長めのシルエットであるが、ステイほど暴れない動きを出し、フォールでもヒラヒラ&スライドでアピールするという。すると、その判断が当たったのか、見事ヒットさせた。キャッチしたのはメジロクラスだった。▲ステイでアタリが遠い中、プロトのロングジグでメジロをキャッチ。フォールで当たった。今年はテストを繰り返し、来年発売予定とのこと。発売が楽しみだ。同船の仲間もメジロをキャッチ。この日、爆釣という感じではなかったが、釣れてくるのはメジロが多かった。
ここで小野さんのジャークについて聞いてみたところ、タックルは、ベイトリールにロッドはシャウト!のセデュースSPJライダーという、スローピッチのセッティングだが、基本はワンピッチでジグを動かしていくという。そのワンピッチのスピードを変化させて、アタリパターンを探していく。そして時にハイピッチで動かし、時にスローピッチでの誘いも試す。ジャークとジャークの間に、フォールを入れるか入れないかで、釣果に差が出る時もあり、それらも試していく。▲ワンピッチでアタリが無ければ、ロング系のジグを使用し、長めのフォールを入れて誘うことでヒットを得られることもある。
ちなみに明石でのブリ、メジロはボトムから5ⅿの以内で反応してくることが多いが、しっかりと細かい誘いを入れていれば、上で喰ってくることもある。ジグをボトム付近から追いかけてきて、ある程度上の層でやっと口を使う状況かもしれない。ただ上の層にサワラがいる場合は、ラインブレイクには気をつけてしゃくりたい。決めつけずに、いろいろと試していき、パターンを見つけることが、連続キャッチへと繋がる。
結局この日は、その後ハマチの追加はあったが目立った釣果は無く終了となった。
【この記事は2020年11月現在の情報です】
【近海のスプリンター攻略】シャウト! 小野誠流の明石のブリゲーム【後編】はこちら>>>
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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