アブラボウズをゲットせよ! 水深700m超、限界を突破する深海ジギング【PART1】
SALT WORLD 編集部
- 2021年12月02日
手巻きのジギングにとって限界ともいえる水深1000mの世界。そこを突破するには気力・体力と同時に信頼できるタックルが必要だ。
ようやく完成した強力タックルの数々を手に、山本啓人さんが相模湾のアブラボウズに挑んだ。
深海ジギングの魅力とタックルの開発
読者の皆さんは「ディープ」と聞いてどのくらいの水深を思い浮かべるだろうか。100m?それとも200m?水深100mがディープと言われていた時代はとうの昔で、いまや300mは普通に守備範囲。そしてさらに深海へと、そのステージは拡大するいっぽうだ。
スロー系ジギングの名手・山本啓人さんは、早くから深海の釣りを模索してきたアングラーの一人。ジギングを幅広く楽しむいっぽうで、ここ5年ほどは深海のアブラボウズに魅せられ、釣行を重ねてきたという。
狙う水深は浅くて600m、深ければ900m超。想像するだけでタフな世界だ。いったいその魅力はどこにあるのだろうか。
「アブラボウズは釣り上げると泣く人もいる。それくらいきつい釣り。でも深海で一番大きなサイズが狙えることが魅力です。なにしろ100㎏を超える魚がいる。カンパチもですが、アブラボウズの100㎏も絶対に釣りたい魚です」。
そんな山本さんが今回訪れたのは、相模湾・長井港の竜海丸さん。夏場のキハダゲームで屈指の実績を誇る船宿として、オフショアアングラーにはよく知られた存在だ。相模湾を知り尽くした船長は深海の釣りにも精通しており、全幅の信頼を寄せて取材をお願いした。
ところで、新しい釣りを開拓するにあたり、常に大きな壁となって立ちはだかるのが専用タックルの問題。もちろん深海ジギングも例外ではない。なにせジグの重さも、リールのキャパも、竿の強さも前代未聞。代用するものが何もないのだから。
「水深的にも道具的にもベニアコウまでは可能というのが僕の考え。だからそこまでやれるタックルはどうしても欲しかった」と山本さん。
差し当たり、どうしても必要になるのがヘビーウエイトのジグだ。電動リールを用いたエサ釣りでは、オモリの代わりに2㎏もある鉄筋を使うこともあるが、手巻きのジギングでは現実的ではない。そこでウエイトは700g と900gに設定し、イージーペブルに白羽の矢を立てた。
「経験上、この水深で引き重りがあったら人間の体がもたないことは分かっている。理想は引き抵抗が少なくて潮の影響を受けにくく、それでいてしっかり横を向いてフォールしてくれるジグ。そこを突き詰めてイージーペブルにたどり着きました」。
ロッドはオシアジガー∞(インフィニティ)に新たにラインナップされたB61‐10。10番パワーはとてつもなく強い棒のようなイメージだが、実際はムチっとしたインフィニティの良さと、今までになかった強烈な粘りを併せ持つ竿である。
「B61‐10はアブラボウズやベニアコウを狙うための竿ですが、カンパチや大型根魚狙いで、もっと深いポイントを、もっと速い動きで攻めることも想定して作っています。しゃくっていて楽だし、パワーもトルクもあって使いやすい竿です」。
リールは新登場のオシアジガー4000。実はここが、タックルの要となる部分だ。深海ジギングというと重いジグ、ヘビーなジャークが頭に浮かぶが、山本さんは「実は体力的にもろに来るのはリール。疲労の原因の大半はリーリングによるものと思って良いでしょう」という。十分なラインキャパシティと巻き上げのパワー、本体とハンドルの剛性など、従来のタックルで最も不安があったのがリールなのだ。それを改善するため、山本さんは自身の経験をフルに詰め込んだ。
「僕はジガー4000があるからこそ、深海のジギングが成立すると思っています。PE3号を1200mというキャパシティ、インフィニティドライブ、HAGANEボディに冷間鍛造のハンドル、巻き上げが楽なギア比、交換可能なスプールなど、僕の希望をすべて満たしてもらいました。だから魚を掛けるまでも、掛けてからも、回収も楽。考えられないくらい巻きが軽い。そこが楽になることの意味はホントに大きいんです。巻き上げパワーもスゴイですよ。今までずっとジガーを使ってきた人もびっくりするくらい。度を越えた強さです」。
このリールにPE3号を巻き、リーダーはフロロカーボンの18号を3ヒロ結んでいる。その理由は?
「PE3号は人間が耐えられ、大物も獲れる最大公約数的な号数です。これが4号になると相当きついし、2.5号では怪物クラスが来たときに不安もある。ただ、2.5号の可能性は今後も探っていきたいと思っています」
リーダーに関しても、強度や水キレの良さなどを総合して絞り込んでいるとのことだが、もう一つ特筆すべきはノットの長さだ。山本さんは結び目の編み込みを20㎝以上取っていた。これは大物がヒットしたときの抜け防止対策とのこと。はやる気持ちを抑え、時間をかけてしっかりシステムを組んでいたのが印象的だ。
【この記事は2020年1月現在の情報です】
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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