アブラボウズをゲットせよ! 水深700m超、限界を突破する深海ジギング【PART2】
SALT WORLD 編集部
- 2021年12月02日
手巻きのジギングにとって限界ともいえる水深1000mの世界。そこを突破するには気力・体力と同時に信頼できるタックルが必要だ。
ようやく完成した強力タックルの数々を手に、山本啓人さんが相模湾のアブラボウズに挑んだ。
第1回では深海ジギングにおいて必要なタックルについて山本さんの考え方を紹介した。そして今回、いよいよアブラボウズを狙っての実釣が始まる。
限界を突破する深海ジギングの世界 水深700m超のアブラボウズをゲットせよ!【PART1】>>>
ひと流し1時間!長期戦覚悟のタフゲーム
実釣は穏やかな天候に恵まれるなか、7時10分に一投目を投入。この水深になると、落とすだけでも8分〜10分を要する。一般的にアブラボウズがシャローに上がってくるのは、産卵が絡む春先から初夏にかけての時期。それでも650m前後と深いのだが、それ以外の時期は700mから1000mのレンジを狙うのがセオリーだ。
陳腐な例えで恐縮だが、これは東京タワー(333m)やあべのハルカス(300m)の2倍から3倍。フィッシングショーでおなじみの、横浜・みなとみらいの一角にそびえ立つ横浜ランドマークタワーも約300mだから、その深さをイメージしてほしい。しかも、それだけ沈めて、ヒットレンジは底から10mまでが目安というシビアな世界なのだ。
深海の釣りでは2枚潮、3枚潮は避けられず、そこに速い潮流が加われば底を取ることも難しい。そもそもこの水深になると、着底そのものが分かりにくいのだが、山本さんによればアタリも明確には出ないことが多いという。巨体にも関わらず、アタリはアカムツより小さいことも普通にあるそうだ。
「それにバイトがあってもすぐに走ったりするわけではないので、最初は根掛かりのような感じ。動き出すまでは魚かどうかわかりません。長い時はこの判断に数分かかることもあります」。
そんな世界だからシャクリのストロークは速く、大きくが絶対条件。動くものに強く反応するアブラボウズに、緩慢な動作は通用しないのだ。山本さんは、ロッドを海面から頭上まで一気に振り上げてジグを動かす。
7時39分、一回目の流しを終了。ジグを回収する。巻き終えたのは7時50分。投入から回収まで、ひと流しの所要時間は小一時間といったところだ。手巻きでの回収を見守る船長は「うちはルアーのお客さんも多いけど、こんな人は滅多にいないね」と笑う。
結局朝一のチャンスはノーバイトだったが、これをどう解釈すべきかと尋ねると、「アブラボウズは朝だから釣れるとかではなく、いい場所につけて、そこに確実に仕掛けを入れていくことが大事」と船長。山本さんも、「もう4年半アブラボウズを追いかけているけれど、自分の経験では陽が上がってから釣れることが多いと感じています。暗いうちは浮いているアブラボウズが、陽が昇ってボトムに戻るためタナを絞りやすくなるんです」。
つまり、まだチャンスはあるということだ。
【この記事は2020年1月現在の情報です】
アブラボウズをゲットせよ! 水深700m超、限界を突破する深海ジギング【PART1】>>>
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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