【平松慶】千葉県外房で実感!ローカルアングラーの凄さ【PART1】
SALT WORLD 編集部
- 2022年01月09日
平松慶氏がホームグランドとしている玄界灘。しかし最近は近海のフィールドにも訪れている。
行く時はお店の休みの日。いわゆるサンデーアングラーと同じように釣行している。
そして、その釣行を組む難しさとともに、ローカルアングラーの術に脱帽したのであった。
一般的には週に一度しか釣りにいくことができないというアングラーも多いはず。
そんなアングラーたちの視点に立った際に見えてくる難しさと共に、実際に釣行に赴いた外房の魅力を平松氏に紹介していただこう。
貴重な休みを楽しむサンデーアングラーとの釣行
2019年秋は、ホームグラウンドである九州玄界灘の釣行を減らし、関東エリア周辺のフィールド選択をし、釣行スタイルをサンデーアングラーの仲間たちと同じにしてみた。
サンデーアングラー、いわゆる仕事が休みとなる週末を利用する人たち。その休みの一日はファミリーとの時間になり、余暇は一日。その決められた一日に釣りに行く。読者の皆さんは、こうしたスタンスで釣りを楽しんでいる方が大半だろう。さらにそれも難しく、隔週ペースという方もいると思う。私の周りは美容師さんであったり、車のディーラーさん、消防士さんと職種も様々で、週末の土日や祝日を使いにくい職種の方が多い。
そんな方たちと月に2度のスケジュールを組み、あそこは釣れてる、あっちはブリだ、これからの季節はあそこのヒラマサが良いなどと、決められた1日をいかに最高の釣りの日に出来るか、を目標に予定を組んでは釣行スケジュールを立てフィールドに向かってきた。
伊豆の御蔵島を秋に狙うのは久々であったが、台風通過直後で出船できなかった。伊豆南沖や真鶴周辺のヒラマサ狙いも悪天候で流れ、週イチの楽しみを成立させるだけでも、その大変さを実感した。
飛行機に乗り、現場に入り3日間の釣りを組んで2日間沖に出られれば、たくさんの課題がクリアーできる。「仕事としての釣り」であれば、そうでなくてはならない。スポンサーと予定を合わせ、確実に結果に結びつけ、与えられた課題を成立させ、その結果を渡す。スポンサーはそれを製品開発のプラスにし、製品にして利益を作り上げていく。これが、当たり前の流れであるが、一般アングラーにとってはそんなことはどうでもよい。どうでもよい、とは言い過ぎかもしれないが、それ以上に自分達が決められた休日に、自身が楽しめるスタイルを当てはめて釣りがしたい、ということが重要なのだ。
先日、ロケ時にソルトワールド編集部の方と話しながら、お互い出た意見が「私達が理解している常識と読者の方が求めることの差」について。そこに差があるのはダメだろう、という話になった。全員が初心者だとは思わない。しかし、中には初心者に近い方も読んでくれているかもしれない。そんな内容の記事で、専門用語を安易に載せ、分かる人だけへの伝達になってしまっていないかと……。これはQ&Aなどハウツー本の物書きだけでなく、私のような連載記事を書く者にとっても、意識を変えなければならないのではないかと考えさせられた。
ヒラマサという魚を狙うために多い月は2回も3回も遠征に向かう。「こんなに大きなヒラマサが釣れたから、よし書くぞ」となるのは嘘ではない。みていただきたい、釣り方を伝えたい、夢を与えたいという使命感すら持ち、毎回書かせてもらっているが、サンデーアングラーの美容師さんに言わせれば「それは平松さんの職種だからですよ。我々と合わせて釣行した内容も発表する義務がありますよ!」となるのが理解できる。「目線を合わせてくださいよ」なノリだ。それを理解し、私はワンデーで通える週イチアングラーをこの秋は徹底してみたのだ。
今回は秋に何度か通って感じた外房の魅力と外房へ通うアングラーについて、書き綴りたい。
サンデーアングラーだからこその難しさ
休日は、火曜日。私はお店の定休日。美容師さんも同じく美容室が定休日であり、あとは車のディーラーさん。平日しか堂々と休みが取れない職種の方で、週休2日で1日は家族サービス。週末の閉店間際に駆け込むようにお店に来店してくる。ジグの買い出しやアシストフック、リングなどの準備だ。またサワラが多く回り始めており、ジグのロスト以上にリーダーの補充も必要。土日でタックル準備をしておきたいのだ。
車のディーラーさんである花上青年は、不慣れなラインシステムを組んでは私からのダメ出し。完璧に組めるようになるまで練習してもらう。美容師さんはサワラで切られた同じカラーのガミーを追加し、月曜夜の集合時間を決めて挑む。
土日に船に乗れない人が平日にずれ込んだだけで、週末アングラーとやることは同じ。だから月曜夜に一台の車に乗り合い、港まで行って釣り座を確保して車中泊する。こんな流れだ。読者の方も頭の中でフムフムとイメージを自分の行動と重ねているのではないだろうか。
ちなみに釣行日、入りたいミヨシやトモは先行者に取られていた。しかしこれも早い者順の船宿ルールなので従わなくてはならない。自分達の釣り座をキープし、乗船時間までは車中で身体を休める。朝5時、乗船場に船が着く。どこからともなく乗船するアングラーが船にタックルを運び込み、乗合船の料金を払い乗船名簿に記入する。人のタックルをチラ見し、自分達の釣り座に荷物を置く。数回通えば、常連さんの顔もわかってくる。
「おはようございます」と川津勝浦港の新勝丸船長や常連の添田昌彦さんらにご挨拶。「最近、平松さん通うねぇ」。添田さんから声をかけられる。週イチを目標、しかしその「週イチ」のリスクは本当に大きい。海がダメになる事が秋は台風の絡みで多い。外房がダメだから伊豆へ、と急遽変更するのも難しいのだ。
「今週は、ここ!」と決め、腹をくくって週末準備。乗船前日に「明日の出船は中止」になれば、また翌週まで予定は組めない。だから一日(一回)の釣りに入る気合いが違う。気力、体力、集中力、根気、忍耐、想像力、思考欲、臨機応変な行動と、ものすごく備えておかなくてはならないのだ。
釣り座ひとつを決めるのも今日の風は北西だから、船はどちらからポイントに入るか?キャスティングスタイルのウエイトは?投げようか、しゃくり倒そうか?などなど。週イチに課せられた課題はとんでもなく大量にあり、そして莫大な判断が必要となる。私はしゃくることにした。ドテラ流しで船を表裏で流すので私はしゃくり続けることにした。
【この記事は2020年1月現在の情報です】
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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