オフショアゲームの進化とともに変化! 大型魚狙いのオフショアポッパーの歴史【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2022年01月16日
日本で海のルアーフィッシングが始まった頃、まだ専用道具が少なかった時代に、先駆者たちはオフショアの世界でポッパーを試し始めた。そして釣果が出ることが分かり、さらにGTに挑戦するようになりポッパーもどんどん新しいものが誕生した。そこから長い歳月を経て現在、他のターゲットにも応用するようになった。そんなポッパーの歴史の始まりから現在までをオフショアフィッシング創成期からシーンを見てきたサンスイ・稲垣実さんに話を伺った。
オフショア創成期の頃は使えるものを探した時代
今から30年以上前、オフショアでのルアー釣りに目を付けたアングラーたちは、より大きい魚を獲ろうと、釣り方、そして道具を試行錯誤していた。今のように簡単に情報が得られない時代、海外の本を読み漁り、海外の道具に目を付け、そしてそれを日本のフィールドで試すということを繰り返していた。
その後、時代とともにラインがナイロンからPEラインへと変わったことで、ロッド、リールが大きく進化した。
そして日本のソルトウォータールアーの歴史とともに、使用するプラグ類はもちろん進化してきた。今や大型の魚、GT、ヒラマサ、キハダ、マグロ狙いでダイビングペンシルを用いた誘いが一般的だが、このスタイルが生まれたのは、日本のオフショアプラッキングの歴史から見れば最近のこと。
さらに近年の大型魚狙いでのポッパーブームへと繋がっていく。そんな歴史を長く見てきたサンスイの稲垣実さんが、今回は日本での大型魚狙いのポッパーについて私物を用いて、その歴史とポッパーの効果などを話してくれた。
「31 年前、自分がプロショップ・サンスイに入社した頃、ソルトウォーター系のポッパーとして置いてあったのが、ギブスのポラリスでした。この時、ギブス・ペンシルポッパーという名前で発売されていたものもありました。
ポッパーと一言で言ってもペンシルポッパーも含まれるのか、スプラッシュ系のポッパーなのかによって話は変わってきますが、スプラッシュ系のポッパーで古いものといえば、ポラリスと言えるでしょう」
そのポラリスの後にハワイアンルアーの「ピリー」が注目された。このモデルは、発泡材が入っており、ストップ&ゴーができるもので、皆がオフショアで使うようになった。この後に、カガミピリーというモデルも登場した。当時、これらのルアーを使用して、相模湾でシイラキャスティングをやり始めたという。日本における、オフショアゲームが始まった頃だ。
GTをやるためのポッパーの進化
「その後、もっと大きいのはないかということになった。そこで名前は憶えていないが、ピリーにママピリー的な名前の大きいものもあった。これをGTフィッシングに使い始めました。
この頃、フィッシャーマンの鈴木文雄さんとはすでに交流があり、石垣島で鈴木文雄さんが使っていたのは、アーボガストのスクーダーだったと記憶しています。
ただ、このモデルでGTを釣っていたけど、製品のバラつきもあった。そこで鈴木さんがリメイクやチューニングをして形にしたものが、初代のフィッシャーマン・クレイジースイマーでした。これは、ポッピングだけでなくスイミングポッパーとして作られたもので、その後、このモデルの長いものということでクレイジースイマーロングというものが登場しました。これらで鈴木さんは、GTを相当な数、釣っていましたよ」
そしてそこから、どんどん大型のものが出てくるようになった。日本の大型魚狙いのポッパーの歴史は、GTフィッシングとともに進化が始まったといっても過言ではないだろう。
「フィッシャーマンは、その後ロングペンを発売。このモデルは、これまでに発売されていたペンシルとは違い、複合的な性能を備えているものとして発売されました。ポップ音も出せて、ドッグウォーキングもこなす性能として、自分のGTの釣りでも良い思いをさせてもらいました。
そしてこの複合的なルアー性能というものが、今のキハダ狙いでのポッピングに繋がっているのではないかと思っています。ちなみに自分は、このルアーで過去にキハダを釣ったこともあります」
多くのビルダーが試行錯誤し開発、発売
そしてその後くらいから、大型魚狙いのポッパーを製作する国内のビルダーも現れるようになってきたという。スカジットデザインズの皆川哲さんもその一人。ガラポップ、ズミガラポップを作り、さらに少し後にガラポップの太く大きいサイズも発売させた。
またズミガラポップの発売後、皆川さんは、ピリーの存在を知っていたこともあってか、レジンで作ったクリアベイトも登場させたという。
「当時は、ウッドルアーはコーティングが悪く、そこで壊れないように厚く塗ると動きが悪くなってしまうということがあった。また、当時はまだナイロン時代であったため、フッキングを入れてもナイロンの伸びで咥えたルアーをフックの場所までズラすことが出来ず、結果としてフッキングに至っていないということも多かった。レジンで作り、強度を備えつつ、GTが咥えた際に、滑らせてフッキングさせるように考えたのです」
また同時期、津留崎義孝さんが製作したGL工房のツルポップも登場。ヨーズリ時代にサーフェスクルーザーを作り、その後、GL工房としてGTを釣るためのルアーとしてツルポップをデザインし、発売させた。
「ちなみにこの頃、ポップ音を出しながら水中をダイブさせるという複合で使うというものは、まだ少なかったです。その複合的なルアーとして、今回の話の中では後発での発売になりますが、人気を誇ったのがスカジットデザインズのルアー、パンプキンですね」
またポッパー試行錯誤のこの時代、カーペンターの小西健滋さんがビルダーとしての最初のルアーとして完成させたのがシーフロッグだ。このモデルは、当時、かなり完成度が高いという評判があり、スイミング系ではないものの、飛距離が出て、音も泡もしっかりと出る、存在感が出るルアーだったという。
そこから、カーペンターはアバサ、直進性能を出したイラブッチャーなどを登場させた。
そしてその後、フィッシャーマンのポッパーは、ポップ音重視のビッグマウス、立ち上がりの早さを狙ったヒップアップテール、大型化したビッグヘッドモンスターと進化していった。
また貝田ルアーも、当時発売され、人気があったという。マナティー、グランツ、マナティービッグ、夏至南風などのモデルだ。
オフショアゲームの進化とともに変化! 大型魚狙いのオフショアポッパーの歴史【後編】はこちら>>>
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まとめ/本誌編集部
取材協力/サンスイ横浜店(稲垣実)
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TEL.045-316-5501
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PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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