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佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【前編】

音系ルアーと呼ばれるソウルズ流ポッパー!

ポッパーとはなんぞや?

この問いに対する回答はひとまず置くとして、佐藤偉知郎が主宰するソウルズでは、大口径のカップを備えるGTフィッシング用ポッパーと区別し、「音」と「泡」を出すカップ付きのキャスティングプラグを「音系ルアー」と呼んでいる。「音と泡を出すダイビングペンシル」と捉えてもよいだろう。

クロマグロをメインターゲットに追いかけている佐藤は過去、幾度となく大口径のGTポッパーでクロマグロにトライした。しかし、手応えはなく、ルアーローテーションのなかに組み込まれることはなかった。

「釣れなかった、というのはもちろんですが、何を投げても喰ってくるような熱いナブラで試したときに、追ってきたマグロがUターンしてしまう経験を何度もしました。自分のなかでこれはダメだな、という結論に達しましたね」

しかし、ルアーの出す「音」と「泡」には注目していた。

「水は匂いと音をすごく遠くまで伝えますよね? たとえばサメは何㎞も先から血の匂いを嗅ぎつけてくると言われています。音も同様で空気中とは比較にならないほど伝達されるのでは?と思っています。効き目は嘘か真か、という話ではありますが、ロシアの巻き網船が使っている集魚装置では、魚種によって周波数が決まっています。

ある魚がベイトフィッシュを食べるときの捕食音をベースにしているらしいです。どれほどの効果が出るかは別として、さまざまな文献や資料からみても魚が音に対して反応するということは間違いがないと思うんです」

ナブラを目の前によく聞いていると、さまざまな音が出ていることが分かる、と佐藤。それはジャバジャバであったり、ジュボッであったり。最初からマグロに追われているベイトのナブラもあれば、最初はシイラやワラサに追われている小型のベイトフィッシュのナブラがあって、これにマグロが気づいてナブラになる、ということもある。

いずれにしろ、こうした複雑な音を聞いているなかで、ダイビングペンシルとは異なり、またGTポッパーとも異なる、いわゆる第三のルアー、という存在が佐藤の頭に浮かんだ、という。

「ある一定の周波数にマグロは反応してくるのでは? というぼんやりとした考えがありました。いわゆる水がらみ系のダイビングペンシルとは異なる、ルアーをベイトとして認識させる要素として、一定の周波数の音と泡を出すことを目的に作ったダイビングペンシルが、エアマティックです」

いまから12~3年前にリリースされたエアマティック。これが近年、ソウルズから毎年のようにリリースされている音系ルアーの元祖だ。

「アクションを加えると音を出すだけでなく、泡をひくということも重要だと考えています。下から見えやすくなると同時に、リアルに見えるよう演出してくれていると思います。シイラがベイトを食べるときは背中を出しながらバシャッと出てくる。

その音、その泡に似せることができれば、水面下20m、30mから見て、ルアーをより本物と認識してくれるかな、と考えました。さらに状況次第では泡がブラインドにもなってくれると思う。生き物としての複合的な音と泡を出すことができるダイビングペンシルはそれまでにないルアーであり、マイナス要素がないな、と考えました」

エアマティックは十分な実績を叩き出した。一般のアングラーからも多くの支持を得た。佐藤はエアマティックから派生する、その先のルアーを10年以上に渡ってずっと考え続けてきた。結果、エアマティックに続く一連の音系ルアーたちが、答えとして生まれてきた。

▲モグラッパースリムで仕留めた70㎏クラス。誘い出しパターンでの「音系ルアー」の実力は、今シーズンもいかんなく発揮されている。(写真提供:佐藤偉知郎)
▲ポッパーとひと口でくくることが出来ない、オリジナリティ溢れる発想から生まれているソウルズの「音系ルアー」たち。

エアマティックに続いた音系ルアーたち

エアマティックに続いたのがコムソーだ。

リリース当時は、シイラがメインベイトとして注目され始めた時期と重なる。コムソーの兄弟ルアー、シーラーマンはフラット面を持つボディが特徴の、泳ぎよりもフラッシングを武器とするダイビングペンシル。これにカップをつけて音と泡の要素をプラスしたのがコムソーだ。

150gからリリースされたが、より大型、より小型サイズを求める声が上がった。最大はシイラを意識した180g、265㎜のボディサイズとなる。シイラを意識したこのサイズ感がシーラーマンの大きな特徴でもある。

続いて登場したのは、東北エリアのクロマグロゲームではエポックメイキングとなったモグラッパー。登場は2018年だ。

発売されたときは、馴染みのないタイプのルアーでもあったせいか、アングラーも様子見の傾向が強く、動き出しは鈍かった、という。しかし、佐藤自身はテスト釣行を通して十分な手応えを感じていたので、いずれ支持が広がるだろうと予想していた。

予想は的中! 実績が実績を呼び、大ヒットルアーとして定着。その高い人気は現在も続いている。モグラッパーじゃなければ釣れない、そんな声がそこかしこで聞かれるくらいの高評価を得ているルアーだ。

「モグラッパーは、現在のソウルズの音系ルアーの基本になっているルアーです。エアマティックのサウンドを引き継ぎながら、より広範囲に、細かい泡を出します。エアマティックに比べ、カップが少し大型化し、斜め下方に切れ込むような形状となっています。これがミノーのリップのような働きをして、リップレスミノーのような泳ぎを演出しています」

モグラッパー人気の理由は、多くのマグロがヒットしたという実績もさることながら、マグロを惹きつける動きそのものを目で確認しやすい点にもある。モグラッパーは動かしたときに魅惑的なサウンドを出し、泡をひいてその煌めきをボディーの周囲にまとう。喰う瞬間を目撃しやすく、アタックの仕方も派手。ゲーム性が高く面白さがあるルアーだ。

「アングラーサイドから見て、動かしてここで喰ってくるというのが分かりやすいルアーなんです。喰ってくる瞬間が見えるのは、抜群の面白さだと思います」

モグラッパーに続くモグラッパースリムは、ロングジャークに対応できるモグラッパーとして作られた。

「クロマグロに特化した場合、アクションをつけるための移動距離はそれほど長くないほうがいい。どちらかといえば、移動距離が短く暴れ気味の動きを出し、泡を出して音を出す。これが理想形。とくにナブラのなかでアクションさせるには、長い距離引かないと動かないルアーより、短い距離で動いてくれるルアーのほうがヒット率が高くなります」

単純な話、50㎝引いて動くルアーなら5mのなかで10回アピールできる。しかし1m引かないと動かないルアーであれば5回しかアピールできない。モグラッパーはショートに引くことが基本となっているし、これまでのソウルズのルアー全体に共通する使い方の基本だ。

しかし、GT、ヒラマサなどを狙う場合は、ロングジャークでの使用が基本となっている。ロングジャークでもクロマグロをヒットさせやすく、GT、ヒラマサにも対応しやすい。それがモグラッパースリムというわけだ。

「モグラッパーをロングダイブさせるのは難しい。できないわけではないが難しい。ロングジャークでモグラッパーを使った人の中には、このルアーはダメだな、と思う人がいたかもしれない。

しかし、ショートで引くことを基本と考えているモグラッパーをロングジャークで使ってもヒラマサ、GTはヒットしてくる。それならより使いやすく、と考えて作ったのがモグラッパースリムです」

※文中敬称略

▲いずれもプロトモデルだが、下のモグラッパーではカップの切れ込みが下方に向き、ミノーのリップの役目を果たしていることが分かる。泳ぎが生まれる源のひとつだ。
▲すべての「音系ルアー」の元祖となっているエアマティック。発売は10年以上前。すでにキーワードとしての「音」と「泡」に着眼していたことが分かる。
▲現在のソウルズ「音系ルアー」の基本となっているモグラッパー(写真奥)。その実績は竜飛エリアに通っている人ほど知っている。写真手前はモグラッパーをロングジャークでも使いやすくした派生モデル、モグラッパースリム。

佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【後編】はこちら>>>

佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【後編】

佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【後編】

2022年01月19日

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SALT WORLD 編集部

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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。

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