佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【後編】
SALT WORLD 編集部
- 2022年01月19日
佐藤偉知郎が考える「音系ルアー」の本質【前編】はこちら>>>
近年、佐藤偉知郎が主宰するソウルズがリリースし続けているルアーをポッパーと呼ぶか、ペンシルと呼ぶか、人それぞれであろう。佐藤自身は「音系ルアー」と呼び、いずれにも属する? いや、いずれにも属さないルアーとしてカテゴライズしている。後編では、その音系ルアーについてさらに深く掘り下げていきたい。
進化の歩みを止めないソウルズ音系ルアー
シークローラーも音系ルアーの元祖、エアマティックの発する音、泡を引き継いでいるモデルだ。
「シークローラーはテストの段階で凄い釣れた。でも、モノにならない、というか売れないな、と思って一年間寝かせていたルアーです」
水平浮きを特徴としているため、どのような引き方をしてもほとんど水面に飛び出すことがない。波、風の向きもほとんど問わない。音を出し、泡をひきながら身震いして泳ぐ。ミノーのような動きを特徴とするルアーだ。
ただ一点、欠点がある。飛行姿勢が悪く、完璧にフォローの風でなければキャストが難しいのだ。売れない、と佐藤が判断した理由だ。ウッドルアーを水平浮きにするとフロント重心になる。当然、飛行姿勢は悪くなる。
「でも、マグラーズのよしかずにプロトモデルを貸したらボコボコ釣っちゃって。それを見たり、聞いたりした皆さんが欲しい、売ってくれとなって(笑)。それでリリースしたルアーなんです」
モグラッパー、モグラッパースリムと同様の泡、音を得ることができて泳ぎも最高。ストップ&ゴー、ロングジャーク、ただ引きでも泳いでくれる性能を持つ。キャスティングについての注意点にさえ気を付ければ、強力な武器となってくれる。
2020シーズンには間に合わないが、ソウルズからリリースが予定されている最新ルアーがダイナマイトドンドンだ。
「見かけは従来のGTポッパーに近いと思います。モグラッパーをベースに目指したのは、音と泡をより大きくできないか、ということ。よりアピール力を増す、ということです。誘い出しパターンでより効果を発揮することを考えたルアーです」
ちょっと見たところでは、一般的なGTポッパーのように受け取られるかもしれない。しかし、実際は異なる。クロマグロ狙いを前提にした時の、GTポッパーの必要のない部分を削っていった結果のルアーであり、ボディ形状であるという。
「泡とサウンド、泳ぎがGTポッパーとは異なります。ダイビングペンシルの役割も十分に果たします。最大の違いは音、音の質です。ここにはこだわっています」
方向性はこれまでの音系ルアー達と同じ。違いはアピール力がより大きくなっている点だ。2021年のマグロシーズンでの活躍が期待されるルアーのひとつだ。
シーンを切り拓き、新たなルアーをリリースし続ける
すべての音系ルアーに関し、共通した使い方のアドバイスがある。それは水にしっかり絡むスピードとタイミングを見つけることが大切ということ。ダイビングペンシルを使うようなイメージで引き方に注意するとよい。音と泡の出し方も自身でコントロールする意識が必要だ。
音と泡に引き寄せられたマグロがバイトしてくるのは、やはりステイの時。必ずステイの時間を作ることがすべてのルアーに共通する使い方のキモとなる。
「最低でも2~3秒は確実にステイしてほしい。いいところに入った! というときは3~5秒、状況に応じてより長時間ステイさせることもある。クロマグロに限定するなら、ロングジャークよりもショートジャーク。キハダ、GT、ヒラマサを狙う場合にはロングジャークでもいいですけどね」
音系ルアーが活躍している背景として、近年、竜飛エリアに限らず、東北エリア全体のクロマグロゲームにおいて、誘い出しでの誘いがメインパターンになることが多いことが指摘できる。ダイビングペンシルより大きなアピール力が求められている状況が土台にあるのだ。
「クロマグロゲームを前提に、これまでのルアーを進化させつつ前例のないルアー、前例のないヒットパターンを見つけていくのが、自分の使命だと思っています。2020シーズンも、誘い出しがメインパターンなのは変わらず、です。何もないところで練習していて喰ってきた、ということもある。自分としては改めて、これほど何もないところでやっていても喰ってくるんだ、と再認識するくらい。
いまの音系ルアーがあることが大前提なんですが、昔は捨てていたような状況でも喰ってくるところを見ていると、いま捨てている状況の中から新たなヒットパターンを見つけられる可能性があるとも思います。そうした可能性を拡げていく、見つけていくことがルアービルダーとしての今後の目標ですね」
アングラーとしてただ数を釣るのではなく、レコードフィッシュを追い求めるだけでもない。クロマグロゲームの新たな扉を開き続ける! そうした使命感を強く持ちながら、佐藤は今シーズンもフィールドで試行錯誤を繰り返している。(文中敬称略)
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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