
大前翔が圧巻の独走V、RXがワンツー達成!阿部花梨は無敵の5連勝!|東日本ロードクラシックDay1

せいちゃん
- 2025年04月27日
4月26日(土)、全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)主催による伝統の一戦「第59回 JBCF 東日本ロードクラシック DAY1」が、新緑と山桜が美しい群馬県利根郡みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンターで開催された。大会初日は時折吹き付ける強い北風と、季節が1ヶ月逆戻りしたかのような肌寒い気温の中、各カテゴリーで白熱したレースが繰り広げられた。Jエリートツアーの最高峰カテゴリーE1では大前翔(Roppongi Express)が終盤に圧巻の独走劇を見せ優勝。Jフェミニンツアーでは阿部花梨(イナーメ信濃山形)が他を寄せ付けない走りで真岡芳賀ロードレースからの連勝を「5」に伸ばした。
【E1】 大前がビッグエスケープ! 18周目からの独走で栄冠掴む
大会初日のメインレース、JエリートツアーのE1は午後1時30分にスタート。130名がエントリーし、119名の精鋭たちがスタートラインに並んだ。注目は、前週の西日本ロードクラシックでリーダージャージを獲得した奥田和人(VC福岡)と、チームランキングトップを走るVC福岡勢。横塚浩平ら強力な布陣でレースに臨んだ。レースは1周6kmのコースを21周する126km。午後になりさらに強まった北風が選手たちを苦しめる。
序盤はVC福岡が集団をコントロールする展開が続いた。アタックと吸収が繰り返され、集団の人数は周回ごとに絞られていく。中司大輔(Team Kermis Cross)や若手の阿蘇来夢(ブラウ・ブリッツェン)らが積極的に動く場面もあったが、決定的な逃げはなかなか決まらない。VC福岡の横塚も動きを見せるが、集団はこれを許さず、レースは中盤まで比較的大きな集団のまま進んだ。
レースが大きく動いたのは終盤の18周目。大前翔(Roppongi Express)と、櫻庭悠真(MGM GROMA RACING TEAM)が集団からアタック。この動きにリ・クアンシェン(ボンシャンスACA、台湾)なども反応するが、大前がペースアップ。力強いペダリングで櫻庭を引き離し、独走態勢を築いた。
元プロ選手でもある大前は、厳しい風をものともせず、後続との差をみるみる広げていく。集団も追走を試みるが、その差は縮まるどころか、最大で1分15秒まで拡大。大前は最後まで安定した走りを見せ、後続に大差をつけてフィニッシュラインへ。「まさか逃げ切れるとは思ってなくて。ペースアップしたら1人になったので、どこまで行けるかなと思って踏み始めた。最後は足がガクガクだったけど、望みをかけて最後まで踏ん張れました」と、会心の勝利を振り返った。
後続集団のゴールスプリントでは、チームメイトの高岡亮寛が力を見せつけ2位に入り、Roppongi Expressが昨年に続きワンツーフィニッシュを達成。「去年は高岡さんと木村(裕己)さんでワンツーして、僕は全然集団からも遅れてゴールだった。その悔しさがあって、雪辱を果たせたかな」と、大前はチームでの勝利を喜んだ。3位には、集団スプリントで初のE1レースとなった17歳の住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING)が入り、そのポテンシャルの高さを示した。なお、Jエリートツアーリーダーの奥田は集団内でレースを終え、13位でリーダージャージを守った。
【女子F】阿部、最終周回アタックで石川を振り切り盤石の5連勝
Jフェミニンツアーでは、先月に行われた真岡芳賀ロードレースから無傷の4連勝中でツアーリーダーの阿部花梨(イナーメ信濃山形)がその強さを見せつけ、連勝記録を「5」に伸ばした。レースは13周78kmで行われた。
序盤は鈴木友佳子(MIVRO)が単独で逃げ、一時は40秒以上のリードを奪う積極的な走りを見せた。しかし、阿部、パラリンピック金メダリストの杉浦佳子(TEAM EMMA Cycling)、前週の西日本ロードで阿部と競り合った山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)、ジュニア強化指定選手の石川七海(八千代松陰高等学校)らを含む追走集団が徐々に差を詰め、残り4周で鈴木を吸収した。
集団が一つになると、すかさず阿部がアタック。この動きに反応できたのは石川のみで、レースは2人のマッチレースとなった。2人は後続集団との差を1分以上に広げ、勝負は最終周回へ持ち越された。
最後の上り区間、阿部が満を持して再びアタック。これまで食らいついていた石川もこのアタックには対応できず、阿部が独走状態に。そのまま力強くフィニッシュラインを駆け抜け、勝利の証として5本の指を広げた。「珍しく長い距離だったので後半勝負だと思って、勝負どころを見極めて自分から仕掛けられたので、展開的には良かった。でも高校生の石川選手が強くて、最後は一杯一杯でした」とレースを振り返ったが、その走りは盤石だった。
最後まで粘り強く走った石川が16秒差の2位。後続の集団スプリントでは、水谷彩奈(チームフィンズ)が制し3位に入った。
【E2/E3/マスターズ】 各クラスの勝者決まる
その他のクラスでは、E2クラスタ(14周回84km)で中谷研斗(慶應義塾大学)が最終周回のアタックを成功させ優勝。E3クラスタ(6周回36km)ではウィリアムス飛(ALDINA)、マスターズクラスタ(同)では遠藤優(Roppongi Express)が集団スプリントを制し、それぞれ優勝を飾った。
強風という厳しいコンディションの中、各クラスでドラマチックなレースが展開された東日本ロードクラシックDAY1。翌日のDAY2では、Jプロツアー(JPT)とJユースツアー(JYT)カテゴリーのレースが行われる。さらなる熱戦に期待が高まる。
リザルト
E1(126km)
1位 大前翔(Roppongi Express) 3h12m30s
2位 高岡亮寛(Roppongi Express) +43s
3位 住田悠人(AVENTURA VICTORIA RACING)
4位 浜田雅史(Promotion x Athletes CYCLING)
5位 長島慧明(AX Cycling Team) +44s
6位 阿蘇来夢(ブラウ・ブリッツェン) +45s
7位 新藤大翔(EQADS) +47s
8位 福岡育美(Promotion x Athletes CYCLING)
9位 リ・クアンシェン(ボンシャンスACA、台湾)
10位 押見怜(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
E2(84km)
1位 中谷研斗(慶應義塾大学) 2h11m22s
2位 岩佐昭一(サイクルフリーダム・レーシング) +3s
3位 山口文太(カンピオーネ)
4位 工藤健太(栃木県立宇都宮商業高等学校)
5位 成毛千尋(ALDINA)
6位 竹内蓮翔(BMレーシングZUNOW)
7位 船戸瑛太(カンピオーネ)
8位 山本昂広(SUBARU Cycling Team)
9位 山崎多真(MiNERVA-asahi) +4s
10位 松島煌和(COWGUMMA)
E3(42km)
1位 ウィリアムス飛(ALDINA) 1h04m23s
2位 荒木景虎(埼玉ユース自転車競技部)
3位 橋本貫志(北海道苫小牧東高等学校)
4位 石田航太(群馬グリフィンレーシングチーム)
5位 岩崎大雅(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)
6位 高橋星夏(Vite Jambe)
7位 重田恵杜(Team CUORE)
8位 新藤想真(cyclers SNEL JET)
9位 村山浩司(Team Kermis Cross)
10位 青木誠(AX Cycling Team)
F(78km)
1位 阿部花梨(イナーメ信濃山形) 2h19m22s
2位 石川七海(八千代松陰高等学校) +16s
3位 水谷彩奈(チームフィンズ) +1m39s
4位 雨谷千紗子(Gufo Cycle Works) +1m40s
5位 山下歩希(弱虫ペダルサイクリングチーム)
6位 黒川真理子(AutoBahnGotemba)
7位 林優希(なるしまフレンド)
8位 古谷桜子(湾岸サイクリング・ユナイテッド) +1m41s
9位 林口幸恵(Gufo Cycle Works)
10位 鈴木友佳子(MIVRO) +1m42s
M(42km)
1位 遠藤優(Roppongi Express) 1h08m16s
2位 中里聡史(Gufo Cycle Works)
3位 半澤雄高(Roppongi Express)
4位 西川尚吾(Honda栃木)
5位 山本敦(SBC Vertex Racing Team)
6位 井上健志(チームGINRIN熊本)
7位 石塚将人(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
8位 丸渕聖悟(FAST LANE Racing)
9位 中前元久(バルバレーシングクラブカナザワ)
10位 渡辺拓也(SBC Vertex Racing Team)
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている