
シマノ、MTB電動ワイヤレス変速を拡充「DEORE XT」に新シリーズ、「DEORE」もワイヤレス化|SHIMANO

Bicycle Club編集部
- 2025年06月19日
シマノは2025年6月19日、マウンテンバイク(MTB)用コンポーネントの電動ワイヤレス変速システム「Di2」のラインアップを大幅に拡大すると発表した。主力モデル「DEORE XT」に最新技術を投入した「M8200シリーズ」を、普及価格帯の「DEORE」には新たにワイヤレス対応の「M6200シリーズ」を追加。これにより、トレイルライドを楽しむ愛好家から本格的なレースユーザーまで、より幅広い層が最先端の変速技術を享受できるようになる。
信頼の「DEORE XT」が進化、タフさと高性能を両立
1982年の初代登場以来、MTBコンポーネントの代名詞として高い信頼を得てきた「DEORE XT」。今回発表された「M8200シリーズ」は、同社のフラッグシップモデル「XTR」で培われた技術とデザイン思想を継承し、過酷なトレイルライドの状況にも耐えうるタフな設計が特徴だ。
新設計のワイヤレスDi2プラットフォームは、より高速かつ正確な変速を実現。特にリアディレーラーには、障害物との衝突を巧みに回避する薄型の「SHIMANO SHADOW ESテクノロジー」を採用。万が一、岩や木の根などにヒットした場合でも、衝撃を吸収し自動で元の位置に復帰する「オートマチックインパクトリカバリー機能」を搭載し、走行中のトラブルリスクを低減する。ケージ素材にはXTRのカーボンに対し堅牢なアルミを採用しつつも、性能に妥協はない。
ブレーキシステムも進化。レバーには、自然な操作感をもたらす「ERGO FLOWテクノロジー」や、スムーズで素早いパワー伝達を可能にする「SERVOWAVE」機構を搭載。新配合の低粘度ミネラルオイルと改良されたキャリパー設計により、幅広い温度環境で安定した制動力を発揮する。エンデューロ/トレイル向けの4ピストンキャリパーと、クロスカントリー(XC)向けの2ピストンキャリパーを用意し、多様なライディングスタイルに対応する。
その他、剛性と軽量性のバランスを追求したクランクセットや、負荷がかかった状態でもスムーズな変速が可能な12速カセットスプロケット、耐久性とメンテナンス性を向上させたホイールやハブもラインアップ。ライダーの好みに応じて細かく設定変更が可能なシフトスイッチなど、システム全体で高い操作性とカスタマイズ性を実現している。
ワイヤレス リアディレーラー「RD-M8250」
価格:70,752円(税込)


障害物との衝突を巧みに回避する薄型の「SHIMANO SHADOW ESテクノロジー」を採用。衝撃時には自動で位置を復帰する「オートマチックインパクトリカバリー機能」も搭載する。堅牢なアルミケージ構造で、オンボードバッテリーは取り外し充電可能。ロングケージ(SGS、平均重量449g)は10-51Tカセットに、ミッドケージ(GS、同446g)は9-45Tカセットに対応する。
カセットスプロケット「CS-M8200-12」
価格:23,983円(税込)


負荷がかかった状態でもスムーズな変速を実現する「HYPERGLIDE+」テクノロジーと、確実な固定力の「MICRO SPLINE」を採用。ロー側2枚のギアをアルミ製、残り10枚をスチール製とすることで耐久性と軽量性を両立。歯数構成は9-45T(平均重量426g)と10-51T(同463g)の2種類。
クランクセット「FC-M8200」
価格:23,764円(税込)

剛性と軽量性の最適なバランスを追求した中空構造の「HOLLOWTECH II」を採用。Qファクター176mm、チェーンライン55mmで、トレイル、エンデューロ、クロスカントリー(XC)に対応。クランクアーム長は160mmから175mmまで4種類。平均重量はクランクアーム長170mmでチェーンリング32T装着時で588g。

ダイレクトマウント方式のチェーンリング「SM-CRM86」(税込9,818円)は28Tから36Tまでラインアップ。
Di2シフトスイッチ「SW-M8250-R/IR」
価格:25,369円(税込)


機械式で培われた確かな操作感を提供する「SHIMANO RAPID ESテクノロジー」を搭載。明確なクリック感でワイヤレス変速を行う。長押しでの多段変速や、カスタマイズ可能な3つ目のスイッチボタンも備える。I-SPEC EV仕様(平均重量97g)とクランプバンド仕様(同104g)を用意。
ブレーキレバー「BL-M8200」
価格:12,880 円(税込、片側)


自然なブレーキング動作を実現する「ERGO FLOWテクノロジー」と、スムーズでコントローラブルな制動を可能にする「SERVO WAVE」機構を搭載。新配合の低粘度ミネラルオイルに対応し、リーチアジャスト機構も備える。耐久性の高いアルミ製。平均重量は114g。
ブレーキキャリパー
BR-M8220:14,263円(税込)
BR-M8200:11,445円(税込)
BR-MT805:10,958円(税込)


エンデューロ/トレイル向けの「BR-M8220」(平均重量140g)は対向4ピストンで強力な制動力を発揮。XC向けの「BR-M8200」(ポストマウント、同103g)と「BR-MT805」(フラットマウント、同106g)は軽量な2ピストン構造。いずれも低粘度ミネラルオイルに対応し、安定したピストン動作を実現。
ホイール「WH-M8200」
価格:39,768円(税込、フロント)、51,653円(税込、リア)


内幅30mmのアルミ製フックドリムを採用したチューブレス対応ホイール。ステンレス製Jベンドスポーク(28H)を使用し、エンゲージメント角度3.5度で素早い反応性を実現。27.5インチ(フロント平均重量877g、リア同997g)と29インチ(フロント同931g、リア同1052g)をラインアップ。
ハブ「HB-M8210-B(フロント)」「FH-M8210-B(リア)」
価格:12,058円(税込、フロント)、28,057円(税込、リア)


ベアリングとシールを更新し、メンテナンス性とシール性能を向上。水やゴミの侵入を防ぎつつ、転がり抵抗を低減。改良されたダイレクトエンゲージメントフリーハブは3.5度のエンゲージメント角を特徴とする。
「DEORE」もワイヤレスへ、最新技術をより身近に
さらにシマノは、より幅広いライダー層に向けて「DEORE M6200シリーズ」を発表。XTRやDEORE XTで採用された最新のワイヤレス変速技術を、手頃な価格帯で提供する。
新しいワイヤレスリアディレーラーは、上位機種同様の「SHIMANO SHADOW ESテクノロジー」や「オートマチックインパクトリカバリー機能」を備え、堅牢なスチールケージを採用。シフトスイッチも、明確なクリック感とカスタマイズ可能なボタンを備える。
特筆すべきは、現在販売中の12速機械式DEORE(M6100シリーズ)との互換性だ。リアディレーラーとシフトスイッチを交換するだけで、手持ちのMTBをワイヤレス電動変速にアップグレードできるため、導入のハードルを大きく下げる。
ワイヤレスリアディレーラー「RD-M6250-SGS」
価格:58,847円(税込)

上位機種譲りの「SHIMANO SHADOW ESテクノロジー」と「オートマチックインパクトリカバリー機能」を搭載。堅牢なスチールケージ構造で、取り外し可能なオンボードバッテリー、デュアルスプリングチェーンスタビライザーも備える。10-51Tカセットに対応するロングケージ仕様。
Di2シフトスイッチ「SW-M6250-R/IR」
価格:18,823円(税込)


「SHIMANO RAPID FIRE ESテクノロジー」による正確なワイヤレス変速と明確なクリック感を実現。長押しでの多段変速やカスタマイズ可能な3つ目のスイッチボタンも搭載。I-SPEC EV仕様とクランプバンド仕様を用意。
今回のラインアップ拡充により、シマノはMTB市場における電動ワイヤレス技術の普及を一層加速させる構えだ。同社は「マウンテンバイクの可能性をさらに探求し続け、多くのライダーに信頼性の高い変速、堅牢なドライブトレイン、洗練されたブレーキシステムを提供していく」としている。初心者からベテランまで、あらゆるレベルのライダーが、より快適で直感的なライディング体験を得られることになりそうだ。
問:シマノ https://bike.shimano.com/ja-JP/home.html
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