ARGON18・GALLIUM SERIES【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2019年01月19日
アルゴン18・ガリウム シリーズ
COMPARISON
新旧モデル徹底比較
伝統の継承と進化を止めない誕生から14年のロングセラー
長年にわたってアルゴン18のオールラウンドモデルとして君臨しているガリウムプロ。
当時からのコアテクノロジーを継承しながら最新モデルへと、
どのようなスートリーを歩んできたのだろうか。
ガリウムの登場は2005年にまでさかのぼる。その後、軽量オールラウンドモデルとしてモデルチェンジを重ね、2014モデルで現行のモールドに初めて3Dヘッドシステム(旧型)を採用した。
そして、2015年のツール・ド・フランスで「ボーラアルゴン18」の主力バイクとして使われることに。ガリウムプロは世界のロードレースシーンで一躍注目を浴びることになる。
さらに、2018モデルでは、カーボン素材と積層を見直し、フレーム単体790gの軽量フレームとなった。当時、「アスタナ・プロサイクリグ」所属のファビオ・アルによって初のツールのステージ優勝(2017年)を達成するなど、サクセスストーリーを歩んでいる。
ガリウムは、ヘッド剛性を損なわない3Dヘッドシステム、フレームの役割を上下で明確化するHDSテクノロジー、BB下がりが低めのジオメトリーを採用するAFS(アルゴン・フィット・システム)など、基本コンセプトを継承しながら、時代に即して正常進化させている点が特徴といえる。
2018モデルからは、リムブレーキ仕様に加えて、ディスクブレーキ仕様もラインナップしている。
2019モデルのSPEC
左 /プロレベルのパワーを速やかに推進力へと変換するボリュームのあるチェーンステーは前作から継承される 中 /アルゴン・フィット・システム(AFS)は同ブランドの基本思想だ 右/前作モデルとは基本設計は継承しながらも、細部の形状をリファインになる。ヘッドチューブ背面やBB周辺、フォーク形状などに変更点が確認される。カーボンの積層も変更している
SECOND GRADE IMPRESSION
ガリウムプロの設計を継承したガリウム ディスクをインプレッション
IMPRESSION
フラッグシップの性能を継ぐ万能レーシングモデル
トルクのかかりから、伸びを感じながら推進力を得ていくガリウム・ディスクは、上位モデルのガリウムプロ・ディスクときわめてフィーリングが似ていた(最終的に、ホイールをボーラワンに統一してインプレッションを行っている)。
ガリウム・ディスクも上位モデル同様のモールドとテクノロジーを採用しているため当然といえば当然でもある。使用するカーボンブレードをややダウングレードすることで、コストパフォーマンスを高めているが、ガリウムらしいシャープなハンドリングと低重心で安定したライドフィールは約束されている。
フラッグシップ機に差額14万円の価値を見出すかどうかはユーザー次第だが、多くのホビーレーサーがガリウムディスクで満足できる性能を有していることは確認できた。
緩斜面の登坂は、パワフルなダンシングでスピードを殺さずに走り抜けることができ、高速域での巡航も得意なので、苦手とするシチュエーションを感じにくいオールラウンドレーサーいえるだろう。
ヘッド剛性を損なうことなく幅広いポジション調整幅をもつ3Dヘッドシステムは快適なポジションを提供してくれる。ホビーレースからロングライドまで1台で楽しみたい人にもオススメだ。
INFO
アルゴンエイティーン/ガリウム ディスク
■31万円(フレームセット/税抜)
■フレーム:ガリウムカーボン
■フォーク:ガリウムカーボン
■付属:シートポスト、ヘッドパーツ、3Dシステムスペーサー
■サイズ:XXS(44-46)、XS(47-50)、S(51-53)、M(54-56)
■フレーム単体重量:893g(M・スモールパーツ込)
■カラー:グレー/ブラックグロス
■試乗車参考実測重量:7.73㎏(Mサイズ・ペダルなし)
ストレート形状のフロントフォーク設計は、ガリウムプロディスクと同様
ガリウムプロ・ディスクと同様のモールドを採用し、ヘッドチューブとダウンチューブの多角面形状によりフレーム剛性を高める
細めのストレートタイプのシートステーがコンフォート性能も引き出す
CONCLUSION
結論
伝統の継承と進化を止めない誕生から14年のロングセラー
カナディアンレーサー「アルゴン18」にラインナップされるガリウムシリーズ。
ここ数年で、一躍知名度を上げてきたプロスペックの
オールラウンドモデルの持つ魅力とその価値を総括する。
ガリウムはじめ、アルゴン18のモデルにはヘリウムやクリプトンなど元素名を冠するバイクが多い。そして、アルゴン18も、スチールパイプの溶接に使うアルゴンガスと元素番号18に由来する。そんなアルゴン18のキーマンであるジュルベー・リー氏は「速さと同時に、扱いやすいハンドリング性能を持つこと、ライディングスタイルに合わせて最適な位置に調整できることも重要だ」(ホームページより)と、話している。
まさに、ガリウムプロは、その言葉を体現しており、クセのない操縦性や安定感は、上りでも下りでもシーンを問わずストレスのないライドフィールを実現していた。
2015年からツールにもバイクを送り込み、世界中で知られるようになったが、決してビジネスライクではなく、あくまで「オプティマルバイク(最適化されたバイク)」の追求が第一にあるのだ。
きらびやかで先進的なテクノロジーを搭載しているわけではないガリウムプロ・ディスクは、一見すると地味な印象すら受けるが、同時にピュアレーサーとしての自信を持っているように感じる。その感覚は、一度乗ってみると確信へと変わってくる。ワイヤー類の完全内装化やコクピットまわりのインテグレーションが進む現代のトレンドにおいて、やや進化が遅れているようにも思えるが、そこには実戦を重視した設計思想がある。機能美を宿したカナディアンピュアレーサーだ。
ガリウム プロ ディスク
41万円(フレームセット/税抜)
今回インプレッションを行ったアスタナカラーのガリウムプロディスクの別カラーバージョン。光沢感あるブラックベースにホワイトグロスカラーでデザイン。フレーム単体880gのディスクブレーキ仕様モデルだ。専用シートポスト付属
ガリウム プロ
38万円(フレームセット/税抜)
フレーム単体790gを実現したアルゴン18史上最軽量オールラウンドモデル。3DヘッドシステムやHDSテクノロジーを採用。パーツカスタマイズの汎用性が高く、実戦レースを求めるレーサー向けの1台。リムブレーキ仕様のカラーは3色展開
ガリウム
28万円(フレームセット/税抜)
フラッグシップ機のガリウムプロと同形状のモールドを使用。基本性能を引き継ぎつつ、カーボングレードを変更してハイコストパフォーマンスを実現したセカンドグレードモデル。フレームからオリジナルのバイクを一台組み上げる際にオススメの一台
IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス総合優勝、ツールド北海道の市民ステージ優勝、国内UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg
TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太 ウエア協力:サンボルト
問:日直商会 http://nichinao.jp
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