CERVELO・S5 DISC【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

走れるサイクルジャーナリスト・ハシケンが、気になる最新のフラッグシップ
モデル1台を徹底的に掘り下げて紹介する100kmインプレッション連載。
今月は、5年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたサーヴェロの
エアロロードバイク「S5 ディスク」の全貌を明らかにする。

サーヴェロというブランドにはエアロダイナミクスの追求が宿命付けられている。1995年の創業以来、空力性能に優れる数々の名機を生み出し、ロードカテゴリーが細分化された今も、エアロロードのSシリーズは揺るぎなきブランドの看板である。そのSシリーズのフラッグシップモデルであるS5が5年の時を経てフルモデルチェンジを果たした。最先端の研究施設「サーヴェロラボ」で開発が行われ、時流のディスク専用設計と独自の最先端エアロテクノロジーを融合。2011モデルの初代から数えて第3世代へと進化した新型モデルには、前作からのテクノロジーを踏襲しつつも、V字ステムに代表される革新的な技術が詰まり、大きく変貌を遂げている。

2019シーズンは、トム・デュムランやマイケル・マシューズといったタレントがそろう強豪ワールドチーム「チームサンウェブ」に供給。レースシーンの話題をさらうことが予想される。

今月は、イタリア語で「頭脳」を意味する単語とフランス語の「自転車」を掛け合わせたカナディアンブランドが生み出した今注目のエアロロード「S5ディスク」を100kmインプレッションとともに徹底紹介していこう。

TECHNOLOGY
テクノロジー詳細!
前面からの空力を刷新しつつフレーム剛性も大幅に向上

サーヴェロがもつ最先端エアロダイナミクスの叡智を集結させたS5ディスク。
ディスクブレーキ専用設計となった次世代エアロロードのテクノロジーに迫る

リアリティを追求したCFD解析
ライダーありきの空力性能を実現

「サーヴェロラボ」で、長年つちかってきた独自のCFD解析技術は、最終的にライダーを含めたうえで空気の流れをシミュレーションする。フロントエリアからリアエリアへと4つのエリアに区分し、各エリアごとにエアロダイナミクスを最適化し、1台の性能として統合していく

セッティングの微調整も可能
空力に優れるV字型ステムエアロコクピット

AB08エアロバーとV字型CS28は前方からの整流効果を向上させる画期的なシステムを実現。また、ヘッドスペーサーやバーとステム間の各種スペーサーにより、ステム高を5mm単位で30mm伸長可能。別途、ハンドルバーの高さも2.5mm上げることができる。さらに、バー角度も0°、2.5°、5°の3段階の調整機能が付く

P5Xから受け継ぐ最先端機構
ヒンジ型エアロフォークを採用

まだいくつかのバイクメーカーのTTバイクでしか見ることがないヒンジ型エアロフォークを採用。サーヴェロのTTバイクであるP5Xから受け継ぐ最先端テクノロジーでもある。一般的なフォークコラムを廃することで、空間を生み出すことができ、ケーブル類の内装が容易になっている

サイズごとにフォークを
設計理想のトレイル値へと導く

ヒンジ型エアロフォークは、サイズごとに金型を設計。トレイル値を統一するためサイズごとにオフセットを変更するこだわりが特長だ。結果として、どのサイズでも同じコントロール性能を実現。スルーアクスルは、レバーを90°回転させるだけで、ロック &リリースができるR.A.T(ラピットアクスルテクノロジー)タイプを採用

ホイールラインに沿わせ乱流を抑制
フレーム全体で空力性能を高める設計

クリアランスを小さくするためダウンチューブを近づける「ドロップド・ダウンチューブ」テクノロジーを採用。さらに、リアホイール側は、シートチューブをホイールラインに沿わせる「シートチューブ・カットアウト」により、ホイールによる空気の乱れを最小限に抑えることに成功

ボトルとの完全融合を実現する
シェイプド・フォー・ボトルズ

カムテールデザインを基本にする独自の「スクオーバル・マックス」ダウンチューブは、BB側に向けて末広がり設計とし、ボトル装着時にも優れた空力性能を約束。この「シェイプド・フォー・ボトルズ」技術は、ボトルをチューブ背面へ隠すことを可能にする。また、ボトルケージ台座の位置も調整可能

インテグレーテッド機構で
トップチューブの整流効果を向上

刷新された独自のSP 20エアロシートポストは、押し子で固定し、トップチューブからスムーズなラインを描くインテグレーテッドシステムにより一体化を実現。シートチューブアングルは73度でサイズ間共通

パワー伝達性をさらに高める
左右非対称BBライト

BB剛性を25%も向上させたBBまわりは高いパワー伝達性を実現。左右非対称BBを特徴とするBBライトを採用。チェーンステー側の剛性を高めつつ、フレームの軽量化にも貢献するプレスフィットBBシステムだ

V字型ステムとヒンジ型フロントフォーク、さらにはディスクブレーキが融合し、生まれ変わった第3世代のS5ディスク。自社のサーヴェロラボでのCFD解析と風洞実験によって刷新されたフレームは、革新的なテクノロジーによって性能が高まっている。空力性能はハンドルステムと統合されたフロントフォークにより、ブレーキホースとシフトケーブルのラインが改良され、前面投影面積の最小化はもちろんのことヘッドチューブのねじり剛性も13%向上。さらに、BB剛性は25%も高めてフレーム剛性を強化。

また、TTバイクのP5Xにも採用されるフレームとホイールラインを近づける「ドロップド・ダウンチューブ」と「シートチューブ・カットアウト」を採用し、極限のエアロダイナミクス性能を引き出す。

フレーム重量も前作から90gの軽量化の975g(56サイズ)へとスリム化を果たしている。
フレームサイズによる性能のバラつきを均一化するため、フォークのトレイル値を48mmに調整し、快適なコントロール性能を約束するジオメトリーも特徴だ。

スルーアクスルはT字のフック形状による安定した固定が可能なR.A.Tタイプを採用している。

GEOMETRY

INFO
サーヴェロ・S5ディスク
158万円(デュラエース Di2 R9170完成車/税抜)、59万円(フレームセット/税抜)
■フレーム:サーヴェロ・オールカーボン
■フォーク:サーヴェロ・オールカーボン
■ハンドルバー:サーヴェロ・AB08
■ステム:サーヴェロ・CS28 V-ステム
■ホイール:エンヴィ・SES ディスク 5.6
■タイヤ:コンチネンタル・GP4000SⅡ
■フレーム重量:975g(56サイズ)
■サイズ:48、51、54、56
■試乗車参考重量:7.30kg(51サイズ/編集部実測)

IMPRESSION

爆発的な加速と抜群の安定性が際立つエアロロードの申し子

想像を超えるかつてないコクピットまわりの機構は、大きなインパクトとともにわれわれの前に姿を現した。V字式の独自ステムとエアロバーを融合し整流効果を高めているという。たしかにエアロダイナミクスの観点から理にかなっており、従来のステム前方で受けていた乱流をスムーズにシートチューブへと伝えることが可能になっている。それにしても、奇抜というか、個性的というか……。

そんな第3世代のS5を1日かけてじっくりと乗り込んだ。なお、前作のS5に抱いていたイメージは、もたつきのない加速性能、しかもスピードが乗ってしまえば、抜群の直進安定性を発揮する、まさに群雄割拠のエアロロードのなかでも本格派というものだった。はたして、新生S5はどのように進化しているのだろうか。

やや高めのトルク感でペダルを踏み込むと、間髪入れずに鋭い加速感が発揮された。ライダーを背後からグッと力強く押し出す推進力は、バイク全体の剛性の高さを印象付けるものだ。前作もカッチリとした剛性感は印象的だったが、新型のほうが明らかに初速の印象がよい。重量感がなく、ねじれも感じない、スパーンとキレよくスピードが乗っていくのだ。
そして、速度の高まりと比例して、バイクの安定性が強まっていくフィーリングはS5らしさだ。一切の浮遊感が生まれることのない低重心で、トラクションが路面に十分に伝わってくれる。数あるエアロロードのなかでも、このしっかりと腰の据わったと言うべきバランスのよさは、琴線に触れる世界観だ。
抜群の安定性に支えられた高速巡航性は、今回の完成車スペックであるエンヴィとのマッチングの恩恵もあるだろう。ディスクブレーキ仕様になりエンド剛性が向上しただけでなく、トータルバイクとして完成度が高い。それにしても、ディスクロード化によって剛性レベルは再び右肩上がりの様相だ。

テストライド中盤は、走行コースをコーナーと起伏のあるシチュエーションへ移して行く。ここでも、重心の低さを感じる安定したコーナーリングから、剛性に支えれられた立ち上がりの鋭さが感じられ、レースバイクとしての高性能に関心させられるばかりだ。
ほめてばかりになってしまうが、登坂性能も悪くはない。スピードがガクッと落ちるシーンでは、フレームにウィップが少ない分、やや踏み負けて再加速が難しい印象ではあるが、この点は、ホイールチョイス次第で剛性バランスをチューニングできるだろう。ロードレース中での起伏には十分に対応してくれる登坂性能は及第点だろう。

テストライドも終盤に差し掛かり、新型S5の特性が整理されていった。第3世代へと進化したS5は性能バランスは前作から継承しつつ、剛性と安定性をさらに高めている印象だ。よりリニアな運動性能の獲得に成功している。そして、独自のV字ステムとエアロハンドルバーのコントロール性は、いたってノーマルでクセがないことに感心した。ライド序盤こそ、見ための構造が気になりコクピットまわりに視線を落とすことも多かったが、いつしかそんなことを忘れるほどニュートラルにライドを楽しんでいる自分がいた。

 

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、乗鞍ヒルクライムで上位に食い込む実力を持つ。UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太 ウエア協力:サンボルト
問:東商会 www.eastwood.co.jp

(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年4月号』)
「ハシケンのロードバイクエクスプローラー」の記事はコチラから。

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