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ジャパンバイクテクニーク2019の栄光は誰に!?【ホビービルダーの続・鉄バカ日記】

ついに日本初開催された、フレームビルダーによるハンドメイドバイク頂上決戦。古くて新しいスチールの、最先端ハンドメイドバイクが一堂に会した。美しく、壊れず、そして速く。日本のツーリング新時代を切り拓くバイクとは?

技術、性能、美学を追求するコンクールマシン

その昔、フランスでは自転車製造技術の向上を目的とした、コンクールマシンというレースが開催されていた。スチールバイク全盛の時代、軽さと速さを追求したバイクは幾多の伝説を生み、「コンクールマシンで勝利する」ことがブランドの誉れだった。

いっぽう、日本のハンドメイドバイク界は、今どうなっているのか。競輪で培ってきた高い製造技術、そして独特の風土から生まれたツーリング文化をもちながらも、どこか一部のコアファンだけの楽しみとして影を潜めている。そこに一石を投じたのがこの「ジャパンバイクテクニーク(以下JBT)」だ。

日本初、現代ハンドメイドバイクの歴史的レース

京都のランドナー専門ショップ「アイズバイシクル」の土屋郁夫さんが発端となり、長野県で開催された初の日本版コンクールマシン、JBT。ビルダーの技術力はもちろん、パーツアッセンブルのセンスや独創性、走行性能を競いながら、現代ツーリングの可能性を再発見しようという画期的レースだ。

ジャパンバイクテクニーク

2019年6月15~16日に開催された記念すべき第1回は、国内ブランド17チームがエントリー。チームにはフレームをみずから製作するワークス、ショップなど外部製作でアッセンブルするコンストラクター、趣味で製作するプライベーターがある。編集部トモヒロも参加した。

多角的視点で評価されるバイクたち

前日は発起人の土屋さんによる挨拶、各チームのプレゼンテーション、そして審査が行われた。審査員には自転車業界に長年携わってきた重鎮5人が選ばれ、事前に提出する仕様書、プレゼンテーション、目視による実車判断、走行会の記録、輪行のスピードなどの総合得点で勝負を決める。

発起人、アイズバイシクルの土屋郁夫さん。本場フランスのコンクールマシンに出場した経験があり、今回は自身のブランド「グランボア」でオープン参加。

JBTには、モデルの山下晃和さんも駆け付けた。山下さんもオーダーメイドしたハンドメイドバイクで旅を楽しむサイクリストだ。

それぞれのコンセプトを語るチームプレゼン

スピードについては現行のカーボンバイクにはかなわないかもしれないが、ツーリングという、ある意味一般ライダーにとっていちばん身近な環境下での速さ、乗りやすさを競うさまは見ものだ。プレゼンは各チーム15分ずつで、設計やコンセプト、オリジナリティを熱く語った。

バイシクルクラブの連載でもおなじみ、日本を代表するハンドメイド工房ケルビムの今野真一さんも参加。ショーモデルも得意とするブランドだけに、注目が集まる。

サイクルスポーツもマキノ製バイクで参加(写真上)し、スタイリッシュかつ現代的スペックの一台で会場を沸かす。また、プロビルダーに混じり、ホビービルドしたカーボンバイクで参加したという服部さん(写真下、チーム名:ナガラ)。想像を超えるクオリティと熱いプレゼンに注目が集まった。

審査員は渡部裕雄氏、渋谷良二氏、佐橋毅氏、長谷部雅幸氏、松本敦氏の5人。どのプレゼンでもさまざまな質問を投げかけ、鋭い視線でバイクを評価。

重量、仕様、工作などを多角的に評価されるバイク

車検では仕様書を確認し、バッグなどを装着した走行状態で重量を実測する。10.00kgを基準とし、軽ければ加点、重ければ減点される。

プレゼンテーションが行われた長野県・高山村YOU游ランドでは、ステージを囲むようにして各チームのバイクが展示された。

展示バイクに食い入るギャラリーの姿も。レースとはいえオープンな環境で、ビルダーとのコミュニケーションを楽しんでいる人もいた。

想像を超える展開が続出した走行会

6月15日の早朝4:00。高山村YOU游ランドからライダーたちが一斉にスタートした。天候はあいにくの雨だったものの、それがリアルな旅っぽい雰囲気を醸し出していて、現場の空気は妙な盛り上がりを見せていた。コースは長野県高山村をスタート・ゴールとする周回75kmのコースで、前半はほぼ上り、さらに後半には16kmのダート林道を含むという、かなりハードなコースだ。

ライトの点灯義務も課すため、あえて早朝スタートで始まるレース。1チーム欠場となり、16チームが暗い峠道を進んでいく。

各チームのメンバー構成はさまざまで、ビルダーとライダーを別に立てるところもあれば、ビルダーみずから走るチームもあり、展開は読めない。これまでにないレースだ。

我先にと先頭を争うものもいれば、なかには内装3段ギヤやシングルで走るというツワモノも。勝負はさておき「ツーリングなんだからゆったり走ればいい」という提案だが、レース中は「鬼キツかった(泣)」とのこと。

過酷な環境こそ燃えるリアルレース

横手山あたりで雨が上がり、気温はやや低いものの絶景を見ることもできた。晴れていればより最高の瞬間に出合えただろう。

頂上付近では残雪が見られ、下りで体が冷えてしまう場面も。かなり過酷な状況だったが、こうした展開もツーリングゆえといえる。

下山して林道コースに差し掛かる手前で、ライダーにまんじゅうが渡される。これは積載力も重要ということで、ゴールまでいかに無傷で運べるかという課題だ。

一見すると大した課題でないように思われるが、林道コースが想像以上にハードだったため、しっかりバッグに収納しておかないと、ほんとうにバッグから飛び出したり、中身が崩れたりしてしまうことがあった。これにはビルダーもライダーも盛り上がり、無事に崩れることなくゴールできたチームには「まんじゅう賞」が贈られた。

これがその林道コース(の一部)。岩がごろごろと転がるガレ場で、パンクが続出するだけでなく、ガード(ドロヨケ)やキャリアが破損してしまうチームもあったというから驚きだ。

ゴール後の輪行も勝敗を左右する

ハードなコースを走り抜き、全15チームが見事に完走した(オープン参加のグランボア含む)。ゴール後は、バイクを一度バラして輪行袋に収め、再度組み立てるという輪行タイムトライアルが行われた。ライダーの輪行スキルはもちろん、バイクがもつ輪行ギミックがさらなる加点を生んでいく。

じつはバイクの仕様には「輪行できること」というルールもあり、さらにその作業スピードによって加点がされる。

ダブルレッグスタンドを装備したタカギワイクルワークスは、輪行作業中も自立できる独自のギミックを搭載。審査員からも「これは便利だ!」と高評価。

レース終了後、地元のスタッフから配られた野沢菜と曲がり筍のタケノコ汁。疲れた体に染み入る、やさしい味だった。

ジャパンバイクテクニークの栄光やいかに

長い1日を制し、見事優勝に輝いたのは、吉祥寺の旅自転車専門ショップ、ベロクラフトのチーム(写真中央)。 2位はバイシクルクラブでも紹介したヒモダウンチューブのテンションシルク(写真右)、そして3位は見事なモダンツーリングバイクを製作したモンソン(写真左)だった。4位以下の順位は下記のとおりだ。また、その他各賞の受賞チームについてや、上位チームの獲得ポイント詳細は公式HPにアップされている。

ジャパンバイクテクニーク2019
結果ランキング

1位 ベロクラフト
2位 テンション シルク
3位 montosn

4位 オオマエジムショ
5位 サイクルスポーツ
6位 CHERUBIM
7位 NAGARA
8位 Panasonic Bike
9位 タカギサイクルワークス
10位 E’quipe c speed
11位 EMERALD BIKES(編集部トモヒロ)
12位 SHIBU
13位 YANAGI
14位 TCD

ちなみに、編集部トモヒロは11位という微妙な結果に……とはいえ、日本を代表するプロビルダーたちに交じって自分のバイクで出走できたことは、とても誇らしい経験になったと思う。幸いにも大きな破損やトラブルがなかったので、しっかり走り切れるフレームであったことは言えるのではないか。

トモヒロのジャパンバイクテクニーク号の製作レポートはこちらから。人知れずこだわったポイントなどを書いているので読んでみてほしい。

「ホビービルダーの続・鉄バカ日記」

次回開催に期待がかかる!

日本初のハンドメイドバイクレースとはいえ、ただ速さだけを求めるのが正解ではないJBT。ハンドメイドバイクはライダーやスタイルに合わせて作られるべきで、ツーリングが一般化した今だからこそ、その価値は見直されるべきなのかもしれない。ハンドメイドバイクの最先端を行くビルダーたちがいることを教えてくれたJBT。

次回開催は2021年を予定している。さらなるビルダーの熱き戦いが見られることを、そして、日本ハンドメイドバイク文化が発展していくことを強く祈っている。

 

ジャパンバイクテクニークについてはコチラから。

出典

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PROFILE

トモヒロ

Bicycle Club / DIY系自転車ビルダー

トモヒロ

メッセンジャー⇒自転車屋⇒BiCYCLE CLUB編集部⇒ホビービルダーという、自転車についてだけ遠距離パワー型のFUNQディレクター。休日の楽しみは娘と自転車で散歩、文房具屋巡り。

トモヒロの記事一覧

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