鉄×ディスク×電動のモダンツーリングバイク【ホビーボルダーの続・鉄バカ日記】

強烈なコアファンに支持されていた人気連載を期間限定配信!
編集部員みずからフレームビルドに挑戦し、日本初のビルダー界レース「JBT」出場を目指す!
身長160cm台の日本人が乗りやすいモダンスチールツーリングバイク、いよいよ完成か!?

前回の記事では、チェーンステーとシートステーを曲げ、電動コンポ・Xシフターの直付け工作をなんとかかたちにした。あとは仕上げて組付けるだけ!といきたいところだが、JBT(ジャパンバイクテクニーク)のルールにはある課題が課せられている。刻一刻と締め切りが迫るなか、はたしてバイクを無事に完成させ、出場することはできるのか?

ちなみに前回の記事、そして今回の記事はJBT本番3日~2日前に起こった出来事を編集して掲載している。いかにギリギリで(いろんな意味で)本番を迎えていたか……結果はともかく、まずバイク完成までの道のりを見ていこう。

まんじゅうとモダンな積載問題

第1回めの記事でも書いたように、JBTでは「まんじゅう」を運ばなくてはいけないというルールがある。正確にいうと、後半の林道コース手前でパックに入った温泉まんじゅうを各ライダーが渡され、それを崩さずに運ばなくてはいけないというルールだ。

公式HPにアップされた「まんじゅう」。10個入りから2個を抜いた8個入りの状態で渡される。ツーリングバイクとしての積載力を試すためのルールで、本場フランスのコンクールマシンでは大量の本を運んだりすることもあるのだとか。

運ぶといっても、当然サイクルバッグに入れるわけだから、崩れることなんてないでしょ?と考えていたのだが、聞けばこの林道コースはかなり路面が荒れているらしく、試走した実行委員会のスタッフは「まんじゅうが飛んでなくなりました」という。おいおいマジか。ちなみに、バックパックなど身に付けるバッグはNGというルールもあり、バイクに付けたバッグに収めなければいけないようだ。

モダンバイクなら大型シートバッグか?

JBTの審査基準では、軽さも大きなポイントになる。まんじゅうが崩れない、すなわちガタガタと衝撃が走るようなものではないバッグで軽い……となると、真っ先に浮かぶのが大型シートバッグだ。

近年流行っているこの大型シートバッグなら、補助ストラップによってある程度固定されているとはいえ、基本的にサドルレールからぶら下がる構造なので、下から突き上げられる衝撃はほぼないといえる。いかにもモダンだし名案だ!と考えたのだが、JBTという舞台にふさわしいのか?という疑問が頭をよぎる。

王道キャラダイスへの憧れ

そもそもスチールで作って、ラグだの何だの言っておきながら、そこだけ「軽いから」というのもどうかと考え直し、気になっていたツーリングバッグを使うことにした。そう、超ド定番アイテム「キャラダイス」だ。

1932年創業の老舗バッグメーカー、キャラダイス。水の侵入を防ぎながらも通気性を確保した独自素材、ワックスドコットンダックを採用したサドルバッグシリーズが人気。今回は容量9Lのバーレイを採用した。

編集部ニシヤマもヘビーユーザーで、「いつか使ってみたい」とつねづね思っていたキャラダイス。もっとも、今回はオレが走るわけではないのだが。このバーレイを使い、それに合う専用リアキャリアを作ってみよう。

初めてのキャリア製作

これまでロード、ミニベロと11台製作してきたが、キャリア製作はじつは初めて。取材でなんとなく流れは知っていたので、ステンレスパイプを曲げながら見様見真似で製作してみた。

サドル位置やステーの角度、キャラダイスのフォルム、後ろ三角のデザインなどを考慮しながら、イメージを膨らませる。着脱しやすい設計にしたいので、キャラダイスの純正サドルラックの取り付けループを利用し、引っ掛けるだけで装着できるようにしてみた。

シートステーを曲げたときの冶具を再利用し、左右対称に曲げてベースを作る。バッグが後ろにずれないよう、後端をやや上向きに曲げているのがポイント。ステーはシートチューブと並行になるようロウ付けし、ステー先端はワッシャーを加工した。素材はすべてステンレスなので、銀ロウでロウ付けしている。

リアキャリア製作はチャレンジ的意味合いも大きいが、じつは走行性の面でも有効だと思っている。取材で大型シートバッグを使うことが多々あるのだが、容量いっぱいまで荷物を詰めて走ると、固定されていない(ぶら下がっている)せいでダンシング時に後ろが振られやすく、個人的に乗りづらいと思うことがあったからだ(バイシクルクラブでいうところも2軸で乗るライダーの場合。おそらく1軸で乗るライダーはあまり気にならないかも?)。ある程度の荷物があるときは、荷物がぐらつかないように固定する=キャリアを装備するか、もしくはフロントに荷物を振り分けて、重量バランスを適正化するのが望ましい。ツーリングバイクが当たり前だった時代、キャリア装着が当たり前だった時代なら言わずもがなの話なのかもしれないが、ロードバイク主軸の現代においては、こうした問題も改めて見直す価値があるのではないだろうか。

結局セルフ塗装というオチ

キャリアの製作まで完了したら、いよいよ塗装。しかし、この段階で本番3日前なので、いつもは依頼している塗装屋にお願いすることなど当然できず……お得意のセルフ塗装をすることにした。

今回、チーム名をエメラルドバイクスにしたため、安直だがキレイなエメラルドグリーンにしたいと考えていた。ネットで探して、イメージに合う缶スプレーを買ってくる。

まずはサンドブラストで下地処理をしてからプラサフを吹き、続いてシルバーを吹く。ラグの縁が潰れないように、また塗料がダレないように吹くのはなかなか難しい(実際はけっこう失敗して、ペーパーで磨きなおしてから再塗装した。やはり素人にはむずかしい……)シルバーはメタリックが粗い、ギラギラした色で塗るのがポイントだ。

そして、その上からキャンディグリーンを吹く。メタリックグリーンではなくシルバー→キャンディグリーンにしたのは、そのほうが透明感のあるグリーンになるから。キャンディカラーを色ムラなく塗るのもむずかしいが、今回はなんとか塗り上げることができた。この後さらにクリアーを厚塗りし、さらに光沢感を出す。

塗りあがったフレームがこちら。デカールは間に合わずここでは貼っていないが、後でダウンチューブに貼る予定だ。こうして見ると、後ろ三角がぐにぐにと曲がっているのがよくわかる。

先ほどのキャリアを装着してみる。3点でしっかり固定され、安定感もばっちりだ。

みずから選んだイレギュラー組付け

ようやく組付けの段階にきた。ディスクブレーキに電動コンポ、というといかにもモダンなスペックに聞こえるが、今回使用するのはフツーじゃないパーツだ。

機械式を油圧式に変換するコンダクトブレーキ

ディスクブレーキにするなら油圧式!といわれるが、専用レバーをそろえなくてはいけないのがネック。だが、ジャイアントが展開しているコンダクトブレーキセットを使えば、機械式レバーで油圧式ディスクブレーキが使えるようになるのだ。

フラットマウント、160mmローター対応のジャイアント・コンダクトブレーキセット。ジャイアントのステム(別売り)と合わせて使う。

このコンダクトブレーキは、もともと機械式コンポを採用したミドルグレードのディスクブレーキロードで油圧式ディスクブレーキを使用するために搭載されていた特殊なパーツ。通常はジャイアントの取り扱いディーラーで購入・組み付けてもらうことができるのだが(ステム2200円~+コンダクトブレーキセット2万4000円+関連パーツ代+工賃)、今回は自己責任で導入することに。

ジャイアントのステムのクランプカバーをコンダクトブレーキに付け替え、ブレーキワイヤーを通す。コンダクトブレーキ(付け替えた部分)がリザーバタンクになっていて、機械式から油圧式に変換するという仕組みだ。キャリパーやブレーキホースを付けたらブリーディングし、組み付け完了。

リーズナブルな1×ドライブトレイン

リアディレイラーは信頼のシマノで、リーズナブルな105を採用した。クランクはシンプルかつ拡張性も期待できるワンバイエス・ジェイクランクとジェイスパイダーを採用。2回めの記事で考察したとおり歯数構成を39T×11-34tにしたため、ノーマルクランクのインナーを使用するつもりでPCD130を選択した。ワイドレシオのワンバイ仕様、さらに電動でありながらコストパフォーマンスは最高。これもXシフターだからこそ成せるパーツアッセンブルだろう。

パーツは実用性とコストを考えてアッセンブル。新型105、R7000シリーズのGSでワイドレシオに対応。シャドウテクノロジーにより悪路での走行性もお墨付きだ。
東京サンエスのオリジナルブランド、ワンバイエスの注目クランク。交換式スパイダー(スラム方式)によってPCDを変更できる。Qファクターの調整機能や豊富なクランク長も魅力。

Xシフター、キャリアも無事に装着。細かいポジション調整、動作確認をして作業完了だ。

エメラルドバイクス出場バイク完成

こうして、紆余曲折ありながらもなんとかお披露目となったトモヒロバイク。シンプルだが他にないシルエットのフレーム。クッション性と走行性をバランスした650B。優れた制動力とスッキリとしたハンドルまわりを実現したコンダクトブレーキ。幅広いギヤ比と操作性を両立した駆動系パーツ群。そして、オリジナルキャリア。初チャレンジばかりで苦労したが……エントリーNo.13として無事にJBT出場を果たせることになった。

次回はいよいよJBT当日の様子をレポートする。まさかのとんでもない展開が続出するとは、まだ誰も知らない……。

 

ジャパンバイクテクニークについてはコチラから。

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PROFILE

トモヒロ

DIY系フレームビルダー

トモヒロ

自転車についてだけ遠距離パワー型という元『BiCYCLE CLUB』編集部の新参Webディレクター。クロモリが好きすぎて、妻と愛娘の自転車まで自作してしまう鉄バカ。

自転車についてだけ遠距離パワー型という元『BiCYCLE CLUB』編集部の新参Webディレクター。クロモリが好きすぎて、妻と愛娘の自転車まで自作してしまう鉄バカ。

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