3T・STRADA DUE TEAM【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2019年08月21日
走れるサイクルジャーナリスト・ハシケンによる100kmインプレッション連載。
気になる最新のフラッグシップモデル1台を徹底的に掘り下げて紹介。
今月は、ワンバイ(1×)モデルをリリースするブランドとしても知られる3Tに
ランナップされるエアロロードモデル「ストラーダデュエ」の特徴を明らかにする。
1961年、歴史と芸術の街トリノで生まれた3T。イタリア語でTecno Tubo Torinoの名のとおり、チューブ加工を専業とするハンドルやステムなどのパーツメーカーとして知名度を上げてきた。
3Tのロゴをあしらった至極シンプルなデザインは美しくファンも多い。そして、各時代のトップレーサーたちに愛用され続け、マルコ・パンターニ、ファビアン・カンチェラーラなどレジェンドライダーたちの勝利に貢献し、レース機材としての信頼性も高い。
そんな3Tの60年近い歴史のなかで革新となったのが、サーヴェロの開発者であったジェラルド・ブレーメン氏の参画だった。
2016年、氏はブランド初となるロードバイク「エクスプローロ」を開発。空力性能に優れつつあらゆるフィールドを走破する「エアロオールロード」コンセプトは3Tの新たな挑戦になった。
この「エクスプローロ」に続き発表されたモデルが、フロントシングルギヤをトピックに掲げたエアロロード「ストラーダ」だ。そして、ロードレースの競技自転車としてエポックメイキングなシングルギヤを搭載し、UCIプロチームの「アクアブルースポート」によって、2018シーズンはレースの世界で使われた。今回は、2019モデル「ストラーダ デュエ」をインプレッションする。
予想をいい意味で裏切る加速性能と期待どおりの脚を休められる巡航性能
空力性能を追求したエアロダイナミクスフレームと内装化されたディスクブレーキの融合。フレームブランドとしての歩みは3年ではあるものの、ロードバイクのトレンドをくみつつ、そこに時代の一歩先をゆくフロントシングルギヤ化を融合した3Tバイク。
今回インプレッションを行なったテストバイクは「ストラーダ」のダブルギヤ仕様のDUE(デュエ=ダブル)スラム・フォースeタップでアッセンブルされた完成車仕様(70万円/税抜)だ。
ダウンチューブの左右両サイドにまたがるようにデザインされた3Tロゴが主張するエアロフレームはスタイリッシュで、どこか無機質なステルス戦闘機をほうふつとさせる。
ハンドル、ステム、シートポストに加え、新型ホイール「3T・ディスカスC 45」(カタログ完成車スペックはディスカスC35仕様)を履かせ、トータルバイクとしてのきわめて美しいスタイリングが印象的だ。
ひとたびバイクを走らせると、伸びやかな加速感が全身を駆け抜ける。ダンシングでペダルを踏み込めば、バイクへのトルクの伝達がスムーズで、スマートなルックスを裏切らないキレのよい加速性能を体感できる。
クライマー御用達のような超軽量モデルではないため、ゼロ発進時の反応性や加速性への期待感は薄かったが、みごとに裏切られた結果になった。追い風に乗ったような加速感を味わってほしい。
生み出された推進力は、芯のある剛性感のあるフロントフォークが受け止めて前へ前へとリードしてくれる。フレームバランスのよさを証明している。
時速40km前後の高速巡航性能は期待どおりで、ときどきトルクを抜きながら脚を休めつつ高速クルージングを楽しめた。
独自の「スクエアロ」形状は一般的なカムテール形状をベースとしており、コンパクトなリア設計と合わせて最先端のエアロダイナミクス性能を追求している。空気の抜けのよさを感じつつ、気づいたときには起伏のあるアップダウンの連続するエアロフォームでさっそうと駆け抜けていた。
そして、テストライドが終盤に差し掛かっても、加速や巡航性能に鈍りを感じずに走り続けられた。BB剛性はニュートラルでパワフルに踏み込んでも脚が削られるような硬さを感じない。エンデュランスライドにも対応していることを実感できた。
コクピットまわりは汎用性の高い3Tのハンドルとステムで構成し、ケーブルはトップチューブ上部に設けたフリップトップに集約することで複雑な構造を回避。ポジション調整の手軽さを実現している。今回のライド中にもハンドルの高さや角度を微調整しながらベストなポジションを探せた。
ディスクブレーキ搭載による左右の剛性コントロールが煮詰められており、安定したライントレースを約束してくれる。ディスクブレーキならではの高いコントロール性能の恩恵を享受できた。
そのスタイリングやニュース性の高いトピックが先行しがちな3Tバイクだが、今回のインプレッションで最先端エアロロードとしてのたしかな高性能とポジショニング調整といったユーザビリティの高さを実感できた。
INFO
スリーティー・ストラーダ デュエ チーム
完成車価格:70万円(税抜)
■フレーム:ストラーダデュエチーム
■フォーク:3T・ファンディチーム
■ハンドル:3T・スーパーエルゴ チーム ステルス
■ステム:3T・アプト チーム ステルス
■コンポーネント:スラム・フォース eタップ
■ホイール:3T・ディスカスC35プロ
■タイヤ:ピレリ・Pゼロヴェロ700×25c
■サイズ:S、M、L
■重量:8.0kg
※上記は完成車スペックであり、試乗車スペックとは一部のコンポーネントが異なる。
GEOMETRY
テクノロジー詳細!
快適性を重視しながらエアロダイナミクス性能を追求
3T初のエアロロードであるストラーダ。エアロダイナミクス性能を追求した独自設計や
ディスクブレーキ機構との融合、独自のギア構成など3Tが誇るテクノロジーに迫る。
コンフォートエブリウェア(どこでも快適)をテーマに開発されたストラーダ。走破性と快適性を高める30mmタイヤの装着時にエアロダイナミクス性能が最適化されるように設計。ホイールはフレームに限界まで近づけることで、バイク全体の整流効果を高める狙いがある。
フレーム素材には、ユニディレクショナルカーボンを用い、モノコック工法によって成型される。強度と軽さのバランスに優れ、フレーム重量1005g(Mサイズ)を実現した。
スクエアロと呼ばれる独自のエアロチューブ形状を採用し、空力性能と剛性と軽さを両立。また、フラットマウントディスクブレーキ(12mmスルーアクスル)に対応するスクエアロ形状のフロントフォーク重量は395gに仕上がっている。
ディスクブレーキ専用設計フレームとし、コンポーネントはシマノ、スラム、カンパニョーロに対応。空力性能と剛性の両面で信頼できるシンテース製の12mmスルーアクスルを採用する。
ボトルケージの取り付け位置も空力性能やシーンによって最適化できるように選択肢を用意するなど、エアロダイナミクス性能を徹底して追求している。
ディスクブレーキ専用設計の左右非対称フロントフォーク
エアロダイナミクスを追求したスクエアロダウンチューブ
シェイプアップしつつテーパードヘッド形状で剛性向上を狙う
エアロ性能と反応性を両立するコンパクトなリア形状
ケーブル内装化により空力性能も向上
BB385EVOを採用しBB剛性を向上
最大タイヤ幅30mm対応のワイドクリアランスを確保
ストレージを設けられる専用シートポスト
横剛性を高めた3T新型エアロホイール
守備範囲を広げつつ幅広いシーンに対応
IMPRESSION RIDER
ハシケン
問::株式会社あさひ ホールセール事業部 http://3t-bike.jp/
ハシケンのロードバイクエクスプローラーの記事はコチラから。
(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年9月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)
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