CANNONDALE・SUPERSIX EVO HI-MOD DISC【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2019年09月18日
走れるサイクルジャーナリスト・ハシケンによる100kmインプレッション連載。
気になる最新のフラッグシップモデル1台を徹底的に掘り下げて紹介。
今月は4年ぶりにフルモデルチェンジを果たした
キャノンデールのスーパーシックスエボをピックアップ。
近年のロード史において誰もが認める名機、スーパーシックスエボが4年ぶりにフルモデルチェンジを図った。丸型チューブを用いたホリゾンタル設計の軽量フレームが、ディスクブレーキ化、エアロ化という最新のトレンドにどう向き合うのか……。
ふたを開けてみれば、“空力の王道”ともいえるカムテールチューブの採用、専用エアロパーツをアッセンブルしたシステムインテグレーションの推進、そしてディスクブレーキとの融合。
すでに高い重量剛性比や走りのバランスでは完成の域にあっただけに、トレンドに流されてしまったのか!?
しかも、ルックスも大きく変化。スタイリッシュさを追求して前作までの面影は潜め、文字通りのフルモデルチェンジとなっている。はたして、2011年に誕生して以来、数々の実績を残してきたエボは今回どのような走りへと変わっているのか?
新型エボには前作同様にプロ仕様のハイモッドグレードとスタンダードモッドグレードを展開。ハイモッドシリーズは全モデルがディスクブレーキモデルのみの展開になっている。
ここでは、第3世代という新たなステージへと踏み出した新型スーパーシックスエボに搭載されるテクノロジーをチェックしつつ、インプレッションをお届けする。
不朽の名機をしのぐ抜群の伸びやかさ没個性への不安は歓喜へ
ブランドの顔であるスーパーシックスエボが、いよいよ第3世代へとフルモデルチェンジを果たした。
最新のトレンドを貪欲に採用した新型モデルを実走派ライター・ハシケンが、
100km乗り込んで徹底インプレッション。
この変化をどう受け入れたらいいだろうか。世界中のメーカーが軽量オールラウンドモデルにもエアロ化を推し進めるなかで、これまでトラディショナルなスタイリングを特徴としてきたスーパーシックスエボは、軽量オールラウンダーの最後の砦として期待をしていたところがあった。それだけに、ある種の衝撃と複雑な気持ちが交錯する新型エボとの初対面となった。さっそく、そんな完全に生まれ変わったエボの実力をしっかりと確かめることにした。
ゼロスタートからペダルへの入力を高めていくと、まずはその踏み抜きやすさに驚かされる。エアロ化とディスクブレーキ化を果たしても、高剛性だけに振らずに、しっかりと前作までのエボらしい機敏な加速感を残している。
さらに、そこからの背中を押されるような伸びやかさは、たまらなく快感だ。初速をポジティブに感じやすい超軽量な足まわりではないにも関わらず、この好印象には驚きを隠せない。
完全にスピードに乗る前でもスムーズな入力を得られるため、ダンシングで軽やかに加速できた。超軽量な前作(リムブレーキタイプ)と比較しても性能は劣らない。最新のハイエンドディスクブレーキモデルのなかで、間違いなくトップレベルの反応性だ。
意気揚々と中速域までスピードを乗せると、エアロフレームで武装した新型の進化が発揮され出した。推進力を増幅するかのように伸びを感じられ、トルクをかけ続けなくてもスピードが乗っていく走りは特筆ものだ。これが空力性能を高めた成果なのか、足まわりの効果なのかは判断がつかないが、とにかく乗っていて気持ちよさを感じられた。
クライミング性能も、低速域での反応性の高さを生かして、前作同様のダイレクトなレスポンスを感じながら坂を滑走していく印象だ。アグレッシブというより「流れるように速く進む」という表現がマッチするかもしれない。
今回のテストは、起伏のあるロングコースでレースを想定してしっかりと攻めたが、最後まで脚が売り切れる様子がなく走り抜けられた。けっしてフレーム剛性は低くはないが、軽さとバランスのよさが、進みのよさを引き出している。
新型はあらゆる部分でエアロダイナミクスを追求しているものの、直進安定性に優れる傾向にあるライバルメーカーの生粋のエアロロード(キャノンデールでいえばシステムシックス)よりもバイクのコントロール性が高く、タイトなコーナーやラインチェンジなどライダーの意のままに機敏に反応してくれる。ライダー自身が操作している感覚。これこそ、初代スーパーシックスエボから継承されてきたニュートラルでバランスのいいライドフィールだ。
ルックスは大きな変貌をとげてはいるが、ベースとなる部分は前作まで培ってきた万能ロードとしての走行性能を引き継いでいることを確認できた。
乗ってみれば、ライバルメーカーの後追い、没個性化などはまったくもって失礼な評価であることを身にしみて感じることになるだろう。キャノンデールのプライドをかけた最新鋭のピュアレーシングマシン。私の想像を超えるところにその性能は到達していた。
INFO
スーパーシックス エボ ハイモッド デュラエースDI2
完成車価格:105万円(税別)
■フレーム:バリステック ハイモッドカーボン
■フォーク:バリステック ハイモッドカーボン
■ハンドル:ホログラムシステムバー
■ステム:ホログラム ノット
■コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2
■ブレーキ:シマノ・デュラエース ディスク
■クランク:ホログラムSiSL2+パワー2マックス
■ホイール:ホログラム45SLノット
■タイヤ:ヴィットリア・コルサ(25c)
■サイズ:48、51、54、56、58
■重量:7.3㎏(ペダルレス/本誌実測)
GEOMETRY
テクノロジー詳細!
長年培った万能性能に最新トレンドを融合空力性能を向上させた軽量モデル
第3世代へと進化を遂げたスーパーシックスエボ。
トラディショナルなフレーム設計から本格的なエアロ設計へと舵を切った新型モデルには、
どのようなテクノロジーが凝縮されているのだろうか。
フレームにカムテール形状を採用することで、従来の丸型チューブと比較して最大30%の空気抵抗の削減を実現。しかも、重量増することなく剛性も維持する。
さらに、新開発のノット(KNOT)ステムやエアロシェイプされた27ノットセーブシートポストを採用することでトータルインテグレーションを高め、時速48・3km走行時に前作比30Wのパワーセーブに成功している。
空力性能を突き詰める一方で、フレームとフォークとシートポストを含むシステムウェイトでは、前作ハイモッドディスクに比べて19gの軽量化を達成している(56サイズ比較)。
新型セーブリアステーやシートバインダーの恩恵をさずかり、柔軟性は18%もフレームとフォークとシートポストを含むシ向上。
このほか、わずかにスタックを長く、リーチを短く設計することで、幅広く小柄なライダーにもフィットするジオメトリーを実現。
完成車には25mm幅のタイヤがセットアップされているが、左右6mmずつのクリアランスを残しており、最大30mm幅(リムモデルでは最大28mm幅)のタイヤに対応する。ボトルケージポジションも用途に応じて選択できるなど細やかな設計にも気が配られている。
ハンドル角度の微調整が可能なエアロハンドル&ステム
前面投影面積を意識し刷新されたフロントフェイス
カムテール形状のエアロフォークはイングレーションを推進
ホイールセンサーがライドデータを収集
カムテールチューブを採用し30%もの空気抵抗の削減を実現
リアのコンパクト化がもたらす空力抵抗の削減と快適性の向上
エアロとコンフォートを両立する新型ノットシートポスト
ボトムブラケットはPF30A規格を採用
ハイモッドに標準装備されるパワー2マックス
IMPRESSION RIDER
ハシケン
問:キャノンデールジャパン canondale.com
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