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性能の尺度【革命を起こしたいと君は言う……】

ごちゃまぜの規格

自転車の世界では表記がインチであったり、ミリであったりとしばし混乱を招いている。むろん製作者にとっても大問題だ。

そもそも一般的なスチールフレームのパイプ径はインチが基準なのにも関わらず、多くの寸法はメートル法で表記するし、タイヤ表記もバラバラだ。自転車は各国で発展したものだ。だから多くの国の規格が混在しており、混乱することも少なからずある。「三連勝」を作った今野義は親戚だ。義さんと話すと終始インチ単位で話を進めてくる。「追込み選手でトップが21インチだったら、まぁ前半は22インチハーフくらいだろう」など。混乱しそうだったのでメモを取りながらの会話となる。

0.5インチ(約12mm)を最小単位として寸法を決めるのは、ある意味大雑把でもあり困惑もしたが、大きな気づきがあった。

メートル法の落とし穴

メートル法とはそもそも地球の直径の100万分の1を基準としている。人間の生活空間から出てきた基準ではない。

その数字だけでは大まかな規則性が見えにくい。現在もなお建築などで尺寛法やインチが使われているのも納得できる。

一尺が30.3cmほどで、×6が「一間」。畳のサイズが6尺×3尺で住宅の基本単位となり、これをベースに家を設計する。

京都の街並みの美しさは知られるところだが、京間の単位で敷地割も行われていることはあまり知られていない。結果美しさだけでなく機能性にも貢献しているという。メートル法で全体の規則性を生み出すのは非常に難しく、京都の街並みとくらべると現在の街作りは後退していると私は思う。

自転車設計のプロポーション

私の設計するフレームで成績や選手とのフィーリングのよかった図面はデスクに貼るようにしている。毎日眺めなんらかの規則性を見つけるためだ。

自転車作りはライダーの体型や脚力に合わせることが重要だ。各人にとって適正な寸法が存在し、さまざまな寸法となる。しかし、なんらかのバランスや規則性があれば設計のヒントとなる。

そこで図面の単位をインチに変えてみた。するとミリ表記では見えてこないものが見えてきた。ミリでの表記よりも全体のプロポーションやバランスの比率が直感的にわかるようになったのだ。

数々のタイトルを取った名車を生み出してきた今野義の頭の中をかいま見ることができた瞬間だった。

尺度

われわれは日夜、長さ、角度、肉厚を測ることが仕事なのではないかと思えるほど、工房で「ものさし」とにらめっこしている。趣味では古今東西の「ものさし」を収集し、尺度の違いを楽しんでいるありさまだ。

根本的な尺度を変えることによって今まで見えなかったことが見えてくるからおもしろい。

自転車にとってライダーが求める性能の尺度は人それぞれ。その尺度を見きわめ自転車を作り、その規則性を生み出したいと強く願っている。この思想に最も近い自転車作りができるのは、ハンドメイドビルダーだけではなかろうか。

メートルからインチに表記変更した競輪フレームの寸法表。より直感的に全体のバランスがとらえられるように思えるのは私だけだろうか

Cherubim Master Builder
今野真一

東京・町田にある工房「今野製作所」のマスタービルダー。ハンドメイドの人気ブランド「ケルビム」を率いるカリスマ。北米ハンドメイド自転車ショーなどで数々のグランプリを獲得。人気を不動のものにしている
今野製作所(CHERUBIM)

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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