EDDY MERCK(エディメルクス)・ストラーダ|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年04月20日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は40年の時を経て再び蘇ったまさに原点ともいえるモデル、EDDY MERCKX・STRADA(エディメルクス・ストラーダ)を、ベテランライダーの管洋介がテスト! その乗り味とは?
メルクスのスピリットが息づくスチールバイク
「ストラーダ」
通算525勝をあげたレジェンドの名を冠したエディメルクス。その原点となったのが1980年に構えた工房だ。そこで誕生したモデルこそがストラーダだ。メルクスによりレースの頂点に立ったスチールバイクと同等の品質をもちながら、より多くの人が手にできる低価格で発売した。40年の時を経て再び蘇ったストラーダには、メルクスが自身のブランドに注いだ情熱が込められている。
伝統的なスチールパイプを使用したシンプルなシルエットが魅力のストラーダ。トリプルバテッドのオリジナルブレンドチューブは、軽量化に貢献するティグ溶接で組み上げられる。対してフロントフォークは、高弾性UDカーボンを使用することで、走りの質を高めている。
ヘッドチューブもフォークに合わせて上下異径のテーパードヘッドを採用するなど、クラシカルなシルエットにも最新のテクノロジーを盛り込んでいる。
エディメルクスはスチールからアルミ、そしてカーボンへとロードバイクの素材が進化していくなかで、常に最先端のレーシングバイクを送り出してきたブランドだ。つまり現代に再販されるスチールバイクも、ただの懐古的なバイクではなく、40年にわたって蓄積してきた経験と技術が反映された最新スペックが与えられているということだ。
ハンドメイドの要素が強いスチールバイクは、どうしてもコストが高くなりがちで、ときにカーボンバイクよりも高価になることがあるが、ストラーダはアルテグラコンポーネントの完成車で30万円を切る価格を実現した。
高嶺の花であったレーシングバイクの性能を、より広い対象へと届けるものであった元祖ストラーダの精神は引き継がれたといえる。ロードバイクの楽しみ方が多様化した現在、ストラーダの守備範囲はレースライクな走りだけでなく、ロングライドやツーリングまで広がっている。
アクセントとなるキャンディレッドメタリックのライン上には創業者エディ・メルクスのサインがあしらわれる。使用するパイプはオリジナルプレミアムブレンドのトリプルバテッドだ。
スチールパイプをティグ溶接で組み上げるストラーダ。パイプ径の太さを維持したまま溶接される、クラシカルなエンド部分の処理も美しい。
トラディショナルなシルエットのスチールロードだが、フロントフォークはカーボン製でテーパードヘッドを採用。必要な部分に現代のテクノロジーを盛り込むことで、走りの質を高めている。ケーブルのルーティングは伝統的な外装式でメンテナンス性にも優れる。
伝統的なツインステーを採用している。これにより横剛性と振動吸収性を両立した。
エディメルクス
ストラーダ
29万7000円(完成車/税抜)
■フレーム:メルクスプレミアムスチールブレンド ■フォーク:メルクスUD HMカーボン ■コンポーネント:シマノ・アルテグラ ■ハンドル、ステム、シートポスト:デダ・ZERO2 ■サドル:セライタリア・XR ■ホイール:フルクラム・レーシング600 ■タイヤ:ヴィットリア・ルビノプロ700×25C ■サイズ:XS、S、M ■カラー:ホワイト×キャンディレッドメタリック ■試乗車重量:8.8kg(S/ペダルレス)
人車一体の乗り味を具現化したスチールバイク
管洋介がインプレッション
これぞロードバイクといえるスチールのシンプルなホリゾンダルフレーム。ティグ溶接で滑らかなディテールがより引き立てられる。細部を見ればテーパーヘッドを採用してカーボンフォークへと滑らかにつながっていくフォルムで、現代ロードバイクの特色をしっかりと組み込んでいる。伝統と現代の技術を融合したバイクといえるだろう。
後方に腰を据えられるシートアングルから構えられるその踏み心地は、トルクキャッチがマイルドで、バイクのBBウイップに引き込まれるようにトルクが流れ、次のひと踏みへきれいな波が続くようにペダリングが整っていく。
そして、おだやかなステアリングでコーナーに進入すると、芯の通ったフレームらしい安定の高さでラインをキープできる。コーナーからの脱出はバイクがライダーのトルクの掛け方に合わせてくれるので、無理なくしなやかに立ちまわってくれる。
スチールロードにはカーボンやアルミとは異なる独特の世界観がある。それはけっして懐古的ではなく、実際の乗り味に表される優秀さだ。エディ・メルクスが実際に活躍した時代の素材を用いて、現代の味付けを施したのがこのストラーダ。人車一体となった高級感あふれる乗り心地が楽しめるだろう。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴23年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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