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コロナ後の自転車をにらみつつ 「英国の今後、コロナ後の自転車」【 #RideSolo】

5月9日に英国の運輸国務長官が自転車を積極的に生かす20億ポンド(約2600億円)規模の政策を発表し、世界中から注目を集めている。ここでは自転車ツーキニストの疋田智さんが、イギリスで起きている自転車政策についてお伝えする。

※メインカットはイメージ写真。PHOTO:Jack Young

回復したボリス・ジョンソン首相

いやはや首相のボリス・ジョンソン氏からしてコロナに倒れ、人工呼吸器をつけ、すんでのところで助かった英国である。これを書いている2020年の5月12日現在で死者数が3万2141人(米ジョンズ・ホプキンズ大学の統計による)。アメリカに次いで世界第2位だ。3万2千人がコロナで死亡したんですぞ。人口6600万人の国で。日本なら政権の2つや3つはとうに吹っ飛んでるな。
しかし、ボリスは意気軒昂だ。不思議な人なつっこさと人気があって、はやくも「コロナ後」を考えようとしている。さすがは歴史ある老獪な紳士たちの国で(いや、皮肉でも何でもなく感心してるんだけど)こんな感染症はいわば歴史のひとこまに過ぎない。では、どこから手を付ければいいか、何をどうすればいいか。すでにそこを考え始めてるわけだ。医療制度の改善は言うに及ばずだろう。本WEB的に注目するのは交通システム、中でも自転車の扱いのことなのだ。
ちょうど今月9日に、英国運輸国務長官から出された、今後のあり方についてのリリースがある。ここからちょっと引用してみよう

【Traffic Management Act 2004: network management in response to COVID-19】
https://www.gov.uk/government/publications/reallocating-road-space-in-response-to-covid-19-statutory-guidance-for-local-authorities/traffic-management-act-2004-network-management-in-response-to-covid-19

英国運輸国務長官から出されたリリースの序文にはこうある

英国運輸省のポスターはサイクリングとウォーキングを推奨している

「コロナウイルスの危機は、英国市民の生活と健康、そして経済に深刻な影響をもたらしました」
うん、そのとおりだな。英国市民だけじゃない。日本でもそうだ。
「しかし、その結果、我々はきれいな空気と静かな通りを手にし、多くの都市の環境は大いに変わりました」……ふーむ、ポジティブだ。これは素直に感心するんだが、もちろん英国にとっての今回のコロナ禍は日本にとってどころじゃない。なにしろ世界ワースト2位の巨大インパクトだったんだから。
ところが、その危機をポジティブに活かそうというのが、今回のリリースなのである。性格がネガティブな(?)日本人にはちょっと真似ができないと思ってしまうよ。
英国運輸省グラント・シャップス長官は、現状のデータをつらつら見るに、こうした話を続ける。
「今回のコロナ禍で、我々の国では何百万人もの人たちがサイクリングやウォーキングの有用性を再発見しました。特にいくつかの場所では、自転車に乗っている人の数が7割も増えたのです」
そして、同時に次のことを指摘する。
「公共交通機関の能力が低下する(混んだ地下鉄などに乗ることができなくなる)と、私たちの都市の道路は、自転車なしでは対処できなくなるでしょう。
歩行者はより多くのスペース(ソーシャルディスタンスのことだ)を必要とするでしょうし、道路の構造を根本的に変更しなくてはならなくなったのです」
ふむ、そこまで踏み込むか。
その上で、では、自転車を有効に活かすためにはどうすればいいか、だ。

英国運輸省が並べるプランは次の通り

英国ではコロナウイルス感染症対策として新たな道路標示を追加した

  • ポップアップサイクル設備を設置せよ

    ……これは道路を物理的に分離するために柔軟なプラスティックなどを使い、自転車レーンを作れという話。長期的には「路面表示だけの自転車レーン」から「物理的に分離した自転車レーン」に移行しようというのだ。

  • コーンとバリアを使って、歩行者とも分離せよ

    ……要するにクルマと自転車と歩行者を完全に分けよと言うことである。

  • 「通学路」指定を増やし、学校への歩行と自転車を奨励せよ

    ……日本の中学校で「自転車通学を禁止せよ」みたいな動きがあるのと真逆だ。

  • 速度制限時速20マイル(=約33.8㎞)以下の区間を増やせ

    ……要するにクルマのスピードを下げて安全な道路を作れという話。

  • 歩行者ゾーン、自転車ゾーンを作れ

    ……これは非常に重要で、クルマは大通りと街の中心部を結ぶネットワークのみにして、人が集まりそうな場所は歩行者と自転車のみに制限すべきだというのだ。

このほか、駐車場を自転車ラックに転用して駐輪場を確保せよ、とか、交差点のデザインを変更して自転車フレンドリーにせよ、などの提言が続く。

いずれも「コロナ後の交通を担う主役のひとつは間違いなく自転車だ」というポリシーに貫かれている。

英国では自転車になぜそこまでするか?

今さらながらだが、シャップス長官は自転車をはじめとする「アクティブな都市移動」の効用を次のように説明する。

  • 手ごろな価格であり
  • 健康にメリットをもたらし
  • 交通混雑を緩和し
  • 空気の質を改善し
  • 地元の経済的利益を持続させる

じつはこれらのポリシーはすべて2004年の交通管理法に定められている。今回のこのリリースは、この2004年の法律をもとに作られた。いわば「そもそも我が国はこういうポリシーでしたからね」ということで、国民に「自転車を思い出させる」ということを目指したのだ。

さあ一方の我が日本はどうなるのか?

おそらくコロナ後の日本(特に東京)も「以前のように地下鉄がつかえる街」ではなくなるんだろう。でも、クルマには限界がある。で、自転車。
だが、今のままで自転車を大量に通すことなど、日本では不可能だ。
自転車レーンの作り方は? クルマの制限? ゾーン規制をどうする? 目の前の事物を根本的に変更しなくてはならないのは、むしろ我々だ。
さあ、我々は今後どういう対処をすべきなのだろうか。

疋田智

NPO法人自転車活用推進研究会理事にして、元祖自転車ツーキニスト。著書に「新“道交法” BOOK(弊社刊、小林成基・疋田智共著)、「電動アシスト自転車を使いつく」など」

編集部では“RideSolo”(ライドソロ)をお薦めします

世界中で「ロックアウト(都市封鎖)していない自転車に乗れる国や地域」では、社会的距離をとるために「一人で走る“#RideSolo”(ライドソロ)」が、感染拡大を防ぎつつ健康的に欠かせない運動として自転車に乗る上でキーワードとなる。

この先、各国、地域ごとの事情。そして刻一刻と変化すると状況は変化する。さらにそれぞれ置かれた立場が異なるのでこの“ライドソロ”がいつまでベターな方法かはわからない。今現在(5月5日)、編集部では感染が広がりつつつある地域でできることは、集団ではなく、一人で安全に自転車に乗ることだと考えている。

ただし、これは自主的なもので、決して他人に強要したり非難するものではない。あくまでも安全で、健康的に自分たちが走り続けられる環境を維持するために、自分たちができる行動をしようというものだ。

いままでクルマ、自転車、そして歩行者の間は安全のため距離1.5mが求められてきた。そしてCOVID-19の感染拡大対策として、さらに人と人と社会的距離(SOCIAL DISTANCE)も求められる。そのキーワードが”#RideSolo”だ。

最後に、基本は健康で安全であること。住んでいる国や地域の自治体からの要請、指示に従うことが前提であることをあらかじめ付け加えさせていただきたい。編集部でもひきつづき#RideSoloをキーワードにヒントとなる情報をアップデートしていく。

※新型コロナウイルス(COVID-19)に関する最新情報は 厚生労働省 や 首相官邸、お住まいの各自治体など公的機関の情報でお確かめください。

参照
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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