FELT(フェルト)・FR30ディスク|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年06月29日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回はFR30にコントロール性に優れたディスクブレーキと、足まわりの剛性を高めるスルーアクスルを採用した、FELT・FR30 DISC(フェルト・FR30ディスク)を管洋介がテスト。その乗り心地は?
カーボンと同じゴールを目指す
アルミディスクブレーキロード「FR30ディスク」
オールラウンドピュアレーサーの理想型として超級山岳のクライミングとダウンヒル、ヨーロッパのクラシックレースにおける石畳のハードな路面など、あらゆる条件下での最速を追求するフェルトのFRシリーズ。
2017年にそれまでのFシリーズから一新され誕生し、空力性能も追求したFR FRDアルティメイトをフラッグシップとするラインナップを構築している。
そんな上位のカーボンモデルと同じコンセプトで開発されるのがFR以下のモデル名に2桁の数字が割り振られるアルミフレームのバイクだ。待望のディスクブレーキを採用し2020年モデルで誕生したのがFR30ディスクだ。
カーボンフレームと同様にコンピューターによる解析とプロトタイプのテストを繰り返す開発プロセスを採用。その結果導き出されたのが、Fシリーズでは過剰だったリアトライアングルの剛性をあえて落とし、フロントトライアングルの剛性を高める設計だった。各チューブに積極的にハイドロフォーミング成型などの高度な加工技術を導入することで、優れた加速性能を保ちつつ、振動吸収性と路面追従性を高めたのが、スーパーライトアロイフレームだ。
リムブレーキモデルのFR30は2017年からラインナップされるロングセラーバイクで性能にも定評がある。ここにコントロール性に優れたディスクブレーキと、足まわりの剛性を高めるスルーアクスルを採用したことで、さらに魅力を増したのがFR30ディスクというわけだ。
昨今のレースバイクはカーボン全盛だが、硬さや反応性のよさなど、アルミ素材の特徴を生かしたバイクも再評価されている。またカーボンと比較して圧倒的にコストパフォーマンスに優れるのも大きな魅力といえよう。
アルミフレームの可能性を、フェルトのもつ最新の開発プロセスで大きく高めたモデルがFR30ディスクなのだ。
ディスクブレーキ化に合わせてスルーアクスルを採用。ホイールを高精度で固定することにより、より正確な変速操作やコーナーでの安定性向上など大きな効果がある。
BBはメンテナンス性と信頼性に優れたスレッドタイプを採用。
フレームサイズごとにヘッドチューブ下側のベアリング径を変えることで、剛性バランスを最適化している。テストバイクの51サイズでは1-1/4”が使用される。フロントフォークはコラムも含めてカーボン製で軽量化に貢献した。
シートステーとトップチューブを連結したデザインに加えて、ブレーキブリッジを廃したことにより振動吸収性と路面追従性を高めた。上下方向に扁平したシートステーは、肉厚も薄く作られている。タイヤは28Cまで対応。
フェルト
FR 30 ディスク
20万8000円(完成車/税抜)
■フレーム:スーパーライトカスタムバテッドアルミ ■フォーク:UHCアドバンスドカーボンモノコック ■コンポーネント:シマノ・105 ■ハンドル:デボックス・エルゴノミックロードデザイン ■ステム:デボックス ■シートポスト:デボックス・UHCパフォーマンスカーボン ■サドル:デボックス・ミグ ■ホイール:デボックス・ロードRSL1.9(リム)、デボックス・RSL3D(ハブ) ■タイヤ:ヴィットリア・ルビノIV G+700×25C ■サイズ:47、51、54、56 ■カラー:ミッドナイトブルーフェード ■試乗車重量:8.8kg(51 /ペダルなし)
ダイレクト感のある走りが楽しめるレーシングバイク
管洋介がインプレッション
アルミ素材特有のトルク伝達性のよさは、高剛性カーボンバイクの抜ける軽さとは違った踏み心地ではっきりとしたもの。ペダリングの心地よさを感じながら、407mmと短めに設定されたチェーンステーでダイレクトな駆動を楽しむことのできるこのバイクは、コストパフォーマンスに注目がいきがちだが、じつにレーシングテイストだ。
やや低重心のBBとペダルに体重をかけやすいシート角、ハンドリングのいいトレイル量でまとめられたジオメトリーは、コーナーの進入から立ち上がりまで驚くほど容易に理想のラインを描くことができる。あらゆるバイクコントロールにおいて、気後れせずにメリハリのあるライディングが楽しめるだろう。
また、上りにおいてもシッティング、ダンシングともにテンポのいい駆動感が大きくライダーの走りをフォローしてくれる。この価格帯のバイクでは、ホイールにまでコストをかけるのは難しく、必要最低限のグレードが装着される。
言い換えるならばホイールを目的に合わせた高性能なものにバージョンアップすることで、さらにパフォーマンスアップできる余地があるということ。全体的な評価としては、ライダーのレベルとともにステップアップしていける、よき相棒となれる一台といえる。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴24年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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問:ライトウェイプロダクツジャパン www.riteway-jp.com
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