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ツール・ド・フランスを走るヘスス・エラダ、スペイン選手権で勝利目前で起きた悲劇

新型コロナウイルスの第2波が猛威を振るうなか、スペインでは8月下旬にロードレースの国内選手権が開催された。その男子エリートにはスペインチャンピオンに輝いたルイスレオン・サンチェス選手はじめツール・ド・フランスで活躍する選手たちも出場。そのなかでも注目は勝利目前にヘスス・エラダ選手を襲った悲劇だった。
スペイン選手権の様子をスペイン在住の對馬由佳理がレポートする。

アンダルシアの山岳地帯・ハエンが舞台

舞台となったハエンは、アンダルシアの山岳地帯。タイムトライアルはカソーラ(標高820m)という山間の村が、そしてロードレースはウベダ(標高751m)とバエサ(標高769m)がそれぞれスタート及びゴールとなりました。
今年のスペイン選手権の開催地が正式決定した時から、選手の間では「今年はハードなレースになる」とささやかれていましたが、その予想通り連日30度を超える高温と厳しい登り、そして町中の石畳に選手たちは苦しむことになりました。

男子ロードレースは、ゴール前150mで明暗が分かれる

ロードレースのスペインチャンピオンとなったルイス・レオン・サンチェス選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

8月23日に開催されたのはスペイン選手権の最後を飾る男子エリート及びUCIエリートクラスのロードレースには173人の選手が出走しました。レース距離は185km。最大で500mの標高差を5回上り、そして5回下ります。
スペイン国内に本拠地を持つカハルラル・セグロスRGAやエウスカルテル・エウスカディ、ブルゴスBH、そしてケルン・ファルマといったチームから10人以上の選手が出走したこの日のレース。その一方で多くのワールドツアーチーム所属の選手たちは単独での参加していたため、通常のレースとは全く異なる戦略を考える必要がありました。
そうした中で注目されたのが、今回4人の選手を送り込んだワールドツアーチームのチーム・コフィディスです。ルイス・アンヘル・マテ選手やフェルナンド・バルセロ選手等、実力のある選手たちがエースのヘスス・エラーダ選手をアシストすることになりました。
レースは午前9時にウベダをスタート。レース中盤で6人ほどの逃げ集団が形成されますが、メイン集団はカハ・ルラル・セグロス・RGAやエウスカルテル・エウスカディがしっかりとコントロールしており、大きなタイム差を生むまでには至りません。
レースが本格的に動いたのはゴールまで30km の地点でした。逃げ集団がなくなると、メイン集団にいたワールドツアーチーム所属のダニエル・ナバーロ選手(イスラエル・スタートアップ・ネイションズ)やイバン・ガルシア選手(バーレーン・マクラーレン)、そしてゴルカ・イザギーレ選手(アスタナ)が次々とアタックを仕掛けます。
この状況を最もうまくコントロールしているように見えたのが、チーム・コフィディスでした。ルイス・マテ選手が集団から抜け出そうとする選手たちを引き戻し、バルセロ選手は集団から抜け出したガルシア選手とイザギーレ選手を捉えた上に、強力なアタックでゴールまで残り4㎞の地点で一旦先頭に躍り出ます。
その時、第2集団にいたヘスス・エラダ選手がアタック。そして一気に先頭のバルセロ選手まで抜き去り、ゴールまで独走態勢に入ろうとしました。
しかし、この動きに反応したルイス・レオン・サンチェス選手(アスタナ)が即座にエラダ選手の後を追います。ゴールまで残り2㎞の地点で、先行していたのはエラダ選手の方でした。
そして、最後の石畳の区間が終わったゴール前150メートル地点で、自転車にトラブルが発生したヘスス・エラーダ選手が急に減速。その結果、サンチェス選手がそのままゴールし、今年のスペインチャンピオンとなりました。

ゴール後、歓喜の表情を見せるサンチェス選手。対照的にコフィディスのチーム内には悔しさが広がります。
トップから1分後、自転車を押して15位でゴールするヘスス・エラダ選手(写真中央)。Photo by Yukari TSUSHIMA.ゴール後、残念そうな表情のコフィディスの選手たち。Photo by Yukari TSUSHIMA.

新スペインチャンピオン「ルイスレオン・サンチェス」コメント

今年初めてスペインチャンピオンに輝いたサンチェス選手がレースを振り返ります。

「チームメートのゴルカとオスカー・ロドリゲス選手が自分を勝たせるために働いてくれたら、どうしても今日は優勝したかった。ラスト2㎞はとにかくゴール前ぎりぎりまでヘスス・エラーダ選手の後ろについっていくしか、自分が勝つ方法はないと思っていた。」
スペインチャンピオン・ジャージの重さと、ロードレースの難しさを十分に感じさせるレースの幕引きとなりました。

RFEC(スペイン王立自転車連盟)Twitterより

女子エリートのレースはマビィ・ガルシア選手が完全制覇

ロードレース優勝時のマビィ・ガルシア選手。與那嶺恵理選手のチームメイトだ Photo by Yukari TSUSHIMA.

今年のスペイン選手権で女子のレースを完全制覇したのが、アレ・BTCリュブリャナ所属のマビィ・ガルシア選手でした。
まず、初日のタイムトライアルでは2位の選手に 1 分46秒の大差をつけて圧勝します。この日のタイムトライアルのコースは、後半にひたすら上りが続くうえに、ゴール直前にはひときわ厳しい石畳の上り坂もある、本当にタフなものでした。
しかし、ガルシア選手はこうした難しいコースでも、実力を十分に発揮します。「今回のスペイン選手権のコースは、私向きのコースだと思っていました。でも、実は私のメーターが壊れていたので、ゴールまであと何キロあるのか全然わからない状態でずっと走っていたんです。」とレース後に語ったガルシア選手が、まずは今年のタイムトライアルのスペインチャンピオン・ジャージを手にしました。
翌日開催されたロードレースの距離は104km。女子のエリート及びアンダー23カテゴリーの選手94人が出走しました。
このコースでは、最大で400mの標高差を4回上って下ることになります。また、バエサのゴール地点の前後3㎞程は非常に荒れた石畳の道が続きます。
スタート前には、このレースに5選手が出走したモービースターが、レースの主導権をとることが予想されていました。しかし、実際にはレース中盤でガルシア選手とアナ・サンエステバン選手(セラティジットWNT)のワールドツアーチーム所属の2人が抜け出すと、徐々にメイン集団とのタイム差が開きます。
レース中盤で集団から飛び出したガルシア選手(写真右)とサンエステバン選手(写真左)。Photo by Yukari TSUSHIMA.

レース終盤にはこの2選手の一騎打ちとなりましたが、ゴール前9km地点でガルシア選手がアタックし、そのままゴールまで独走。2位のサンエステバン選手に2分以上のタイム差をつけて優勝しました。ロードレースでもスペインチャンピオンに輝いたガルシア選手がレース後に語ります。
「今までスペイン選手権では何度も表彰台には上がったんだけど、スペインチャンピオンにはずっと縁がなくて。だから、今日は優勝できてとてもうれしいです」当初の目標通りのタイムトライアルとロードレースの完全制覇に、笑顔を見せていました。
ちなみに、この女子ロードレースの完走者は19人。この日のコースの厳しさを十分に示す数字になりました。

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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