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パワーデータから解析! Jプロツアー宇都宮ブリッツェン阿部嵩之、広島での勝利を解説

9月26日、27日、広島中央森林公園を舞台に、Jプロツアー第10、11戦「広島森林公園ロードレース」が開催される。ここでは同じ広島中央森林公園で8月30日に開催された、前回大会で優勝した阿部嵩之選手(宇都宮ブリッツェン)のパワーデータに注目。「なぜ勝てたのか?」をコーチを務めるピークス・コーチング・グループの中田尚志さんが解説する。

アシストだった阿部選手はエースになれるのか?

Jプロツアーは日本国内のプロロード・リーグです。春先からのコロナウイルス感染拡大を受け休止を余儀なくされましたが、7月後半から感染防止対策を行いながら再開されています。

再開後は、主催者の開催への努力に応えるようにほぼ全ての国内プロチームが集結し、熱戦を繰り広げている。

ハイレベルな戦いが続く中、どうやって阿部嵩之選手がJプロツアー第9戦「第54回JBCF西日本ロードクラシック広島大会」で優勝したのか? そのパワーデータを見ていきましょう。

西日本ロードDay2は阿部嵩之が勝利!猛暑の影響で短縮レースに|Jプロツアー第9戦

オールラウンドな阿部選手のパワープロファイル

阿部嵩之選手(宇都宮ブリッツェン)は、平坦・上り・下り・スプリントなど全てにバランスの取れた選手です。下記は彼のパワープロファイル(各時間のマックスパワーを体重で割ったもの)です。5秒から20分まで全てが高いレベルで揃っているのが見て取れます。

宇都宮ブリッツェンでの彼の役割の多くはアシストです。本来エースで走れるパワーはありますが、タレント揃いのチームであること、度重なる怪我、アシストとしての仕事そのものが評価されていることもありアシスト職人としてチームの勝利に貢献してきました。

今年はケガが寛解したこともあり、彼から送られてくるパワーデータは例年以上の数値を示しており、どこかでエースになれるチャンスが来るのではと私も期待していました。

アシストを命じられた選手がエースになる方法はひとつ。アシストとして集団から飛び出し最後まで逃げ切る事です。逃げ切ればチームはその選手に勝負を委ねるからです。

レース前には「逃げれば逃げるほどエースも楽ができる。またもし逃げ切れれば自身がエースになれる。だから前で苦しむことには大きな価値がある」と話しました。

広島中央森林公園での阿部選手のレースとパワーデータ

図はレースでのパワーデータです。広島はテクニカルな下りを含むアップダウンを繰り返しつつ最後に通称三段坂と言われる展望台への登りをこなすバランスの取れたコース・レイアウトです。

実際のデータを見るとパワー・心拍・スピード全てが激しく変化しているのが見て取れます。

https://home.trainingpeaks.com/athlete/workout/5BMJM3RJRYPWBTI4FEYTRMETSU

このデータを解析ソフトで見たのが下図です。

走行中のパワーを無酸素(赤色)、有酸素(青色)に分けてあります。レース中絶え間なくFTPを超える無酸素のパワーを繰り返し出しているのが分かります。

さらに細かくデータを見ていきましょう

パワー(黄色)グレー(標高)紫(dFRC)です。

dFRCとは、FTPを超えて動き続けれることが出来るエネルギー量を表します。いうなれば「どれぐらい足が残っているか?」を示してくれる便利な指標です。

スタート後、すぐのアップダウンでアタックしていることが見て取れます。メンバーが良かったこともあり三段坂では逃げを確定するためにかなり踏んでいることが分かります。

そこから残り9周3時間に及ぶ逃げが始まりました。

3時間に及ぶ逃げ

一旦逃げが決まった後は、後方の動きを確認しつつ消耗しすぎないようにペースを維持します。この時の阿部選手のパワーはAVG232W NP292Wです。NPはノーマライズド・パワーと呼ばれるもので「もし一定ペースで走ったら何ワットになるか?」を表します。

アップダウンの激しい広島のコースをもし一定のペースで逃げたら292Wになったことを表します。トレーニングしていない人なら2分も維持できないパワーですが、阿部選手にとってはテンポ(FTPの76-90%)の運動強度で数時間走ることができます。

レース最後の攻防

この日果敢にアタックをかけたトマ・ルバ選手(キナンサイクリングチーム) ©︎KINAN Cycling Team / Midori SHIMIZU
この日の広島はメーター読みで気温35℃に達し、後方の集団も人数を減らして行きました。ラスト4周で差は3分以上に達しこの日の勝負は阿部選手に託されることになりました。

三段坂の麓まで来た先頭集団は上りが強くスプリント勝負を嫌うトマ・ルバ選手(キナンサイクリングチーム)がアタックの応酬をかけます。

その度に反応した阿部選手パワーは28秒630W、14秒620W、32秒564Wでした。度重なるアタックでdFRCは6kJで下がりますが、オールアウトせずに凌ぎきって3名でのゴールスプリントを迎えます。

虚を突いて狙ったゴールスプリントで1112W

阿部選手は3名の中で最もスプリントがありますが、長時間逃げた後のゴールスプリントは、どれぐらい足を残していたか?相手が諦めるタイミングをつかめるか? そして疲労した中でどれだけ気持ちが強いか? が勝利への大きなファクターになります。

もちろん勝利できるだけのパワーも必要です。

逃げの道中、わざと苦しい顔をして三味線を弾いたという阿部選手は、マークし合う他の2名の虚を突いてスプリントを開始。大きくラインを外すことで追従させないようにしてスプリントをモノにしました(6秒間平均765W、マックス1,112W)。

こうしてJプロツアーの勝利は阿部選手自身もいつ以来か記憶にないというぐらいの久しぶりの勝利を挙げました。

コーチング開始後に誕生した「息子に勝利を見せてあげたい」という願いは今回叶いました。

勝利の後、オンラインミーティングをした際にお子さんが「パパ勝った〜!」と話してくれたのにはとても感動しました。

パワーデータを取ることで大切なのは取り続けたデータを活用することです。コーチングを始めて過去4年間取り続けたデータは34歳の今年最高の数値を記録しています。

再び上がりだした彼のパワーがどこまで上がっていくのか私も楽しみです。

すべての選手がそれぞれに思いを持って挑むJプロツアーは9月26日の広島から3週間連続で行われ、10月11日の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップでフィナーレを迎えます。

JBCF公式WEBサイト
https://jbcfroad.jp/

阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)

https://www.blitzen.co.jp/team/blitzen/abe_takayuki/

1986年生まれ 北海道出身。2014年より宇都宮ブリッツェンに在籍。数々の賞歴と共に徹底してチームの勝利に貢献する走りと温和な性格でチーム内外から慕われる選手。

中田尚志 ピークス・コーチンググループ・ジャパン

https://peakscoachinggroup.jp/
ピークス・コーチング・グループ・ジャパン代表。パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しハンター・アレンの元でパワートレーニングを学ぶ。

中田尚志の著書「ロードバイクのパワートレーニング」

こちらからご購入できます

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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