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勝ったはずの世界チャンピオンアラフィリップを襲った4つの不運、ログリッチがLBLでモニュメント初勝利

10月4日、本来ならば春のクラシックとして開催される「リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(以下略、LBL)」が開催された。

先日のツール・ド・フランスを走ったダディ・ポガチャル(UAEエミレーツ)、プリモッシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)というスロベニアの2巨頭に加え、前日に50㎞の驚異的な独走でビングパングツアーで優勝したマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が急遽参戦を表明。また、世界選手権で優勝したジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、世界チャンピオンとして初のアルカンシェルを着て走るなど、ジロ・デ・イタリアに引けをとらない注目レースとなった。
レースは結果的にゴールは5人のスプリント争い、そこで両手を挙げた世界チャンピオンアラフィリプが勝利を飾るはずだった。ところが、最終的にはログリッチに差し込まれ、さらに斜行により降着という思わぬ展開が待っていた。ここでは世界チャンピオンアラフィリップを襲った4つの不運を追っていこう。

アルカンシェルを着て初めてのレースを迎えたアラフィリップ

のこぎりのように繰り返すアップダウン

LBLはベルギー東部のワロン地方のリエージュからバストーニュへの往復を走るレース。長い峠はないものの、短くキツイ坂が繰り返されるコース256㎞を走るレースだ。

レースは序盤に逃げが決まり、イニーゴ・エロセギ(モビスターチーム)、コービー・ホーセンス(ロット・スーダル)、アレクサンダー・カンプ(トレック・セガフレード)、ミヒャエル・シェアー(CCCチーム)、オマー・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップ・ネイション)、ジーノ・マーダー(NTTプロサイクリング)など12人が先行した。メイン集団はイネオス・グレナディアズなどがコントロールしながら追いかける展開となった。この先行グループは徐々に人数を減らし、集団に吸収されていくことになる。

アルカンシェルが乗り切った2つの不運、落車とシューズ交換

メイン集団で快調に走るアラフィリップだが、この日は不運続きとなる。まず、残り86㎞地点で、アラフィリップはマルク・ヒルシ(チームサンウェブ)、ワレン・バルギル(アルケア・サムシック)、ルイ・コスタ(UAEエミレーツ)といったメンバーとともに落車に巻き込まれ、ここではケガもなく無事集団に復帰する。ただ、そのあとでシューズがおかしいことに気付き、残り約60㎞地点でサポートカーを使って走りながらシューズを交換する。ここでも無事に集団に復帰するという神業を披露し、難を逃れることができた。

シューズを交換したアラフィリップが集団に戻ると、ドゥクーニンク・クイックステップが中心に再び集団をけん引し、先行していたマーダーが残り50㎞で、さらにシェアーが36㎞地点で吸収、レースが振り出しに戻した。ただ、このとき集団に残っていたたのはわずか50人、いかにペースが速かったかがわかる。
このあと、残り24㎞のフォルジュコートではミヒャエル・アルバジーニ(ミッチェルトン・スコット)さらに元世界チャンピオンでLBLで勝利した経験のあるルイ・コスタ(UAEエミレーツ)、スペインチャンピオンのルイスレオン・サンチェス(アスタナプロサイクリング)がアタックを仕掛けるが、アラフィリップがすかさずチェックし、その好調さを見せつけた。

世界選を彷彿される5人のメンバーでゴール勝負

さらに残り14.5㎞地点のコート・ド・ラ・ロシュ・オー・フォコンではトム・デュムラン(ユンボ・ヴィズマ)のペースアップをきっかけに集団が分裂し、結果的にアラフィリップ、ログリッチ、ポガチャル、ヒルシという世界選手権上位メンバーが抜け出し、そしてマテイ・モホリッチが10秒差、さらにマチュー・ファンデルプールを含む12人が追いかける展開となる。

ガッツポーズのアラフィリップ、その隙にログリッチに差し込まれる不運

そして、迎えたゴールスプリントでは後続との距離を測りながらけん制しながら勝負となった。そして、残り500mでモホリッチが先頭4人に追い抜いたところから勝負は始まり、最後はアラフィリップが両手を天に上げ、ガッツポーズして勝ったかのように見えた。ところが、そうではなかった。アラフィリップの脇から黄色い影、ログリッチが差し込み勝利をさらっていったのだ。

これは想像ではあるが、アラフィリップはヒルシとポガチャルは見ていたが、進路をずらしていたログリッチの存在を見失っていたと思われる。そのためガッツポーズを決めてしまうという不運を呼んだ。

ダメ押しは斜行により降格という不運で5位に降着

さらに、アラフィリップに不運は襲い掛かる。じつはゴール争いのなかで後続のヒルシとポガチャルを気にするあまり斜行し、アラフィリップの後輪はヒルシの前輪をヒット、ヒルシは体制を崩してビンディングを外すほどだった。その結果、ゴール後のコミッセールパネルの発表でアラフィリップは斜行とみなされ、2位ではなく5位と降着となった。

「私は自分の責任で間違いを犯しました。自分の斜行でほかのライダーに問題を起こしたことは認識しています。それについてはお詫びしますが、それは故意じゃなかったことを強く言いたいです」とアラフィリップはレース後にコメント。斜行についてはアラフィリップ自身がしたことで、むしろヒルシが落車しなかったから不運とは言えないかもしれない。ただ、差し込まれた上に、さらに降格という不運にみまわれたアラフィリプ。初のアルカンシェルを着て走ったレースは、①落車、②シューズの破損、③斜行、④ログリッチに差し込まれるという、不運の4連続で、かなり苦いものとなってしまった。

ツール・ド・フランスでは詰めの甘さを露呈したスロベニアチャンピオン、ログリッチが初のLBL、そしてモニュメントで勝利した。

ラスト1㎞動画

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 結果

1 プリモシュ・ログリッチ (チームユンボ・ヴィズ) 6:32’02”
2 マルク・ヒルシ (チームサンウェブ) +0″
3 タデイ・ポガチャル (UAEエミレーツ) +0″
4 マテイ・モホリッチ (バーレーン・マクラーレン) +0″
5 ジュリアン・アラフィリップ (ドゥクーニンク・クイックステップ)+0″
6 マチュー・ファンデルプール (アルペシン-フェニックス) 14″

リエージュ~バストーニュ~リエージュのルート

ダイジェスト動画

大会公式サイト
https://www.liege-bastogne-liege.be/en/

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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