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SPECIALIZED・S-WORKS TARMAC SL7【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

3年ぶりにフルモデルチェンジを果たした新型ターマック。
SL7は貪欲に空力性能を獲得しつつも軽さも手に入れた次世代レーシングマシンに生まれ変わった。
そのテクノロジーからライドフィールまでを徹底インプレッションする!

新型ターマック。それは次世代の軽量エアロマシンの理想形

史上最高のエアロロードとして評価されてきたヴェンジをみずからの手によってラインナップから消し去り、1台ですベてを制するバイクとして新型ターマックは開発された。オールラウンダーとしてのターマックに寄せられる期待は大きく、開発陣にとっては相当の覚悟があったに違いない。

カリフォルニアの本社で開発されたターマックSL7は、ヴェンジで手に入れた空力テクノロジーを生かして、軽さと空力性能を高次元で融合することを目指した。軽さと空力の融合。これ自体は、近年の万能型モデルの一般的な正常進化ともいえるが、その実力はいかに。

ターマックの歴史を紐解けば、その数々の栄光はライバルメーカーがうらやむほどの輝きだ。新型の発表からまもない今年のロード世界選手権でも、男子のジュリアン・アラフィリップと女子のアナン・ファンデン・ブレッヘンがともにアルカンシェルを獲得し、話題をさらった。発表以来ユーザーの話題を独占状態だ。

本連載では新型のテクノロジーや歴代モデルとの比較、さらには超軽量モデルとして誕生したエートスとの比較もまじえながら、ひとりのホビーレーサーとしての視点から評価を下したい。

 

TECHNOLOGY

ケーブルのフル内装化を果たしたターマックSL7。空力性能を向上させつつ、
軽さも実現した最先端のテクノロジーに迫っていく

ヴェンジのエアロ性能を融合しつつ塗装ずみで800gの軽さを実現

ヴェンジで培った空力テクノロジーを融合した新型ターマック。ディスクブレーキ専用設計となりケーブル完全内装化を果たした。

ハンドルはヴェンジで開発されたSワークス・エアロフライ2に新開発の専用ステムを採用し、ホイールはロヴァールのラピーデCLX(フロント51mm、リア60mm)のディープリムのパッケージで、UCI重量規定ジャストの完成車重量6.8kgの軽さを実現。

空力性能は、前作SL6比で距離40kmを走行した際に、平均で45秒速いとされる。エアロテクノロジーはスペシャライズドが自社開発した風洞実験室であるウィントンネルにより磨かれている。

高い空力性能を獲得した一方で、前作SL6同様に全体的にシャープなチューブ形状を特徴とし、シートチューブやシートステーはヴェンジに近い形状を取り入れる。

フレームサイズごとの性能を均一化する「ライダーファースト・エンジニアード」も引き続き導入。フレーム設計には独自のカーボン工法技術であるファクト12rカーボンを採用し、塗装ずみ重量で800g(56サイズ)の軽さを手にし、SL6ディスクブレーキモデルと比較して軽量化も推し進めている。コンポーネントは電動式、機械式の双方に対応する。

このほか、BB構造はその整備性の高さから見直されているスレッド式へと変更されている。

高い空力性能を実現する一切のムダがないフォルム

空力性能を左右する前面からのフォルムには一切のムダがなく、くびれ形状のヘッドチューブと合わせて高いエアロ性能を最大限に引き出す。シフトケーブルやブレーキホースはハンドル内部からステム下部を通りフレームに内装される

ポジション調整も容易なエアロフライ2ハンドル

Sワークス・エアロフライ2ハンドルと新型ターマック専用ステムを組み合わせたコクピット。ハンドルトップは滑り止めデザインが施される。ハンドル角やステムの取り付け高さの調整も容易だ

圧入式からスレッドへ変更し異音解消と汎用性を拡大

シェイプされたBBエリアは、ウィップを生かす動力性能を高める狙いが読み取れる。BBは独自の圧入タイプのOSBBからネジ切りのスレッドタイプへ変更。圧入タイプの欠点である異音リスクや汎用性の低さを解消している

独自のソフトウエアを駆使しライドクオリティー追求

最高峰カーボン工法のファクト12rカーボンを採用し、独自ソフトテクノロジー、フリーフォイルチューブシェイプラボラトリーや有限要素解析を経て空力性能、剛性、ライドクオリティを犠牲にせずフレーム重量800gを達成。チューブ各所にカムテール形状を採用しつつもダウンチューブは丸みを帯びた形状が特徴

空力を意識したリアトライアングル32Cタイヤに対応するクリアランス

ホイールラインに沿わせたシートチューブに、シートステーの位置を下げたコンパクトなリアトライアングルを構築する。最大32C のタイヤが入るタイヤクリアランスを確保し、荒れたロードコンディションへの適応性を持つ

ジャンクションAが一体化するエアロスタイルのシートポスト

新型ターマック専用シートポストは、オーソドックスな臼式の内蔵シートクランプを採用。シートポスト上部にはDI2のジャンクションAが配置される一体構造が特長。DI2以外の場合もスッキリとした形状を実現

 

100km IMPRESSION

新型ターマックSL7を北アルプスの山麓とクライマーの聖地、乗鞍で心ゆくまで走らせた。
すでに各メディアやユーザーから称賛の嵐の大注目バイク。
そのライドフィールはいかに!? 真の価値を確かめたい

乗鞍で輝く軽やかな登坂力時代に先見性を示した次世代のオールラウンダー

ここまで山麓でおよそ60kmほど走ったのち、クライマーの聖地、乗鞍でヒルクライム性能をジャッジすることにした。まず、レース時を想定した時速20km近いスピード域でトルクをかけたときの反応を確認する。

踏み続けても脚にくるイメージがいっさいなく、高負荷で踏んでも高いケイデンスをキープしやすい。踏む意識を持たずとも積極的にペダルが回転してくれるポジティブな感覚を得られた。

軽さ、ラピーデCLXの適度な慣性も相まって登坂も速い。ここが、歴代モデルやライバルモデルと決定的に違う性能差だろう。

乗鞍のコース中盤以降は急峻なコーナーが連続する。ダンシングに切り替えると、バイクの高い安定性も光りだす。バイクの軸をとらえやすくペダルに荷重を乗せてバイクを軽やかに左右に振ったダンシングがしやすい。

リムブレーキ時代の先代ターマックウルトラライトに感じたピンヒールのようなエッジの利いた立ちまわりではなく、路面をしっかりとらえている感じが強い。いい意味で生粋のクライマーモデルではない。オールランダーとしての立ち位置をヒシヒシと感じた。

正直、急勾配の軽快さはラピーデCLXよりもアルピニストのほうが物理的には気持ちいいはずだ。しかし、今回、ラピーデCLXをチョイスする完成車パッケージの意図は十分に理解できた。脚を引っ張るどころか、加速を助長してくれ、ダンシング時のもっさり感も薄い。フレームとホイールのマッチングのよさを随所に感じた。

新型ターマックSL7はヴェンジとの融合と表現がされるが、現在持てる技術を結集してスペシャライズドが示すオールラウンドレーサーの理想を形にした作品だ。

今回のライドでは、真のオールラウンドレーサーの姿をターマックSL7に見たようだ。想像よりも圧倒的にペダリングがしやすく扱いやすいフラッグシップ万能モデルの誕生といえよう。

最後に、「近年、フラッグシップモデルのメーカー間の性能差がなくなってきた」という意見は間違いではないと思う。いっぽうで、大勢から突出して抜けだすモデルがいくつか登場しているのも事実。そのひとつが今回のターマックSL7だ。

しかも「エアロだけの時代は終わりだ。レーシングバイクたるもの真の意味で万能であれ」とでも言いたげなヴェンジからターマックへの一本化。ターマックSL7の存在は、その先見性を誇示するには十分なインパクトだった。

さらに付け加えれば、ターマックSL7に続いて発表された超軽量なエートスは、エアロロード化一択の時代に風穴をあけ新時代を提案するバイクといえる。ターマックSL7とエートス。これほどインパクトを残すニューモデルの登場は近年記憶にない。

 

SPECIFICATION

SPECIALIZED/S-WORKS TARMAC SL7 DURA ACE DI2

価格:132万円(税抜)
■フレーム:Sワークス・ターマックSL7 ファクト12rカーボン
■フォーク:Sワークス・ファクトカーボン
■ハンドルバー:Sワークス・エアロフライ2
■コンポーネント:シマノ・9150電動デュラエース
■ブレーキ:シマノ・9170デュラエース油圧式ディスクブレーキ
■ホイール:ロヴァール・ラピーデCLX(フロント51mm、リア60mm)
■タイヤ:スペシャライズド・ターボコットン(26mm)
■サイズ:44、49、52、54、56、58
■カラー:フローレッド/レッドティント/ターマックブラック/ホワイト、カーボン/カラーランシルバーグリーン
■試乗車実測重量:6.8kg(52サイズ・ペダルなし)

GEOMETRY

問:スペシャライズド・ジャパン  www.specialized.com

 

ハシケンのロードバイクエクスプローラーの記事はコチラから。

「ハシケンのロードバイクエクスプローラー」一覧

出典

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PROFILE

ハシケン

Bicycle Club / スポーツジャーナリスト

ハシケン

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

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ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

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