バーチャルで標高8848m、エベレスティングで強豪レーサー松木健治が日本人記録
Bicycle Club編集部
- 2021年01月17日
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2019年のニセコクラシック140km総合優勝やツール・ド・おきなわ市民210km2位などの実績を誇る強豪市民レーサー・松木健治さん(VC VELOCE)が1月17日、オンラインサイクリングサービス・ズイフトでエベレスティングに挑戦し、9時間15分台の好記録で達成した。エベレスティング公式サイトのHALL OF FAMEによると、日本人のオンライン達成者ではナンバーワンの記録だ。
「新型コロナ感染拡大のステイホーム期間に何かに挑戦したい」と決意
松木健治さんはJプロツアーで走った経験をもつほか、2019年のニセコクラシックで総合トップでフィニッシュ、40-44歳の部で優勝しているツワモノだ。このほかツール・ド・おきなわ市民210でも常に上位を維持している。写真は2019年ニセコクラシックにて(撮影:野原肇)。
松木さんがエベレスティングの挑戦を決めたのは、先週のこと。
「緊急事態宣言発令中なので屋外で練習仲間と走るのも厳しい。何かに挑戦しようと思って、自分もエベレスティングをやってみようと思った」という。
コースはズイフトで人気のアルプ・デュ・ズイフト(距離12.2km、獲得標高1036m、平均勾配8.5 %)を選択。アルプ・デュ・ズイフトへの最短ルート「ROAD TO SKY」でスタートした。
エベレスティングには「同じ坂を同じルートで上り下りし、1回のアクティビティでエベレストの標高と同じ獲得標高(8848m)を達成する」というルールがあるので、アルプ・デュ・ズイフトを9回上りきれば達成できることになる。
補給はご飯とパン。途中でTKG(卵かけご飯)も投入!
正面に工業用扇風機とサーキュレーター、写真には写っていないが側面にも扇風機を置いて身体の正面と背中から冷却し、オーバーヒート対策は万全。キッカークライムで勾配変化を再現し、ライド中にポジションを変えられたのも効果的だったという
前日にも170kmライドしていたという松木さん。今回の挑戦にあたって「上りのターゲットパワーは、前日の疲労も考慮して190Wぐらい。なんとなく12時間ぐらいで達成できたらいいな」と思っていたそうだ。
しかし、走り出すと思いのほか走れそうだったため、ターゲットパワーを220Wに変更。松木さんの体重は57kgとのことなので、体重の4倍弱。エンデュランス系の挑戦としてはかなり高いパワーだ。
「ズイフトでのエベレスティングは、下りを完全に休憩に充てられるのが実走と違うところ。12分ほどあるので、しっかり補給できた」
と松木さん。
補給は、ご飯とパンが中心。ジャムパンなどの甘いパンだけでなく、甘くないご飯をとることで飽きが来ないようにしつつ、身体が受け付けるよう配慮したという。卵かけご飯を作って食べたりもしたそうだ。
SNSで仲間とつながることでつらい局面を乗り切った
実際には上り口まで10分ほど走っているほか、途中でズイフト内でバイクを変えたため、正味9時間ちょうどぐらいでエベレスティングを達成したという。
順調に獲得標高を稼いでいた松木さんだったが、中盤にさしかかると終わりがなかなか見えないことに精神的に参り始めたという。現在松木さんは家族と離れて関東地方に単身赴任中で、一人でいる孤独感もつらかったとか。
そんな状況を救ったのがSNSだった。
「ツイッターやチームのライングループにエベレスティングの様子を投稿し、自転車仲間からのメッセージにずいぶん救われた」
と松木さん。おかげで終盤は脚も回り始めてペースも上がってきたという。
スタートから9時間15分でエベレスティングを達成。実際はアプローチの時間も10分あるので実質のエベレスティングに要した時間は9時間ちょうどぐらいだったという。
「次はリアルで挑戦したい」
今回エベレスティングに初挑戦して「途中はどうなるかと思ったけれど、やってみると意外となんとかなると感じた」と松木さん。「ズイフトでのエベレスティングは、下りを完全に休めるというメリットがあるので、今度はより過酷な実走でのエベレスティングにも挑戦したい」と目標を語った。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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