Wilier Triestina・FILANTE SLR【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2021年02月10日
走れるスポーツバイクジャーナリスト、ハシケンによる100kmインプレッション連載。
気になる最新のトップモデル1台を徹底的に掘り下げて紹介。
今月は、イタリア老舗ブランドから新たに誕生した注目モデル「フィランテSLR」の全貌を明らかにする
軽さとエアロをまとった老舗イタリアンブランドのニューフェイス
群雄割拠のイタリアンバイクにおいて、いぶし銀の輝きで変わらぬ存在感を示すブランドがある。イタリア北東部のアドリア海に面したトリエステ市の紋章に由来する三叉の槍をマークとするウィリエール・トリエスティーナだ。
バッサーノの商人ピエトロ・ダル・モリン氏が始めた自転車工房「スチールホース」の設立まで含めると、その歴史は1906年にさかのぼる。コルナゴ、ピナレロ、デローザという名門ブランドが相次いで誕生した1950年代より、はるか半世紀前に始まった老舗ブランドだ。
1940年代には、ジロやツールを制覇しイタリア随一のレーシングブランドとして躍進。かつては伝説のクライマー、マルコ・パンターニがラルプ・デュエズを駆け上がり、近年はランプレなどUCIプロチームのサポートを積極的に行ってきた。
2020年のツール・ド・フランスでは、アスタナプロチームとトタル・ディレクトエネルジーの2チームが活躍。軽量モデル「ゼロSLR」に乗ったアスタナによってステージ2勝をあげたことは記憶に新しい。
そんな躍進を続けるウィリエールから2021モデルとして新たに登場したモデルがフィランテSLRだ。エアロロードのチェントシリーズと軽量ロードのゼロシリーズを融合させたような、まったく新しい軽量エアロロードだ。
ケーブルフル内装を実現し、電動変速&ディスクブレーキ専用設計のフレームは、エアロチュービングながらフレーム重量880g(マットブラック)の軽さを実現しているという。
今月は、この最新の注目モデルのテクノロジーからライドフィールまでを徹底的に紹介していくことにする。
TECHNOLOGY
軽さと空力性能を融合して誕生したフィランテSLR。ウィリエール初となる
ディスクブレーキ専用設計のエアロロードを構築するテクノロジーに迫る
エアフローを最適化する意欲的な設計と軽さを融合
フィランテSLRはやや角のとれたカムテール形状を特徴とするエアロチューブを採用し、電動変速専用、ディスクブレーキ専用設計により、最先端のトレンドをくんだ軽量エアロロードらしいフレームに仕上がっている。
フレーム素材には、軽量モデルのゼロSLRで初めて採用された独自開発のハスモッドカーボンを使用。そこにL.C.P(リキッド・クリスタル・ポリマー)こと液晶ポリマー技術を投入し、軽さと振動吸収性を高めている。フレーム重量は880g、フォーク重量335gとなりエアロロードとしての軽さも高レベルにある。
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