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ウランが山岳TTで圧倒、ノーマルバイクのアラフィリップが2位|ツール・ド・スイス

UCIワールドツアー、ツール・ド・スイスの第7ステージが現地612日に行われた。この日は23.2kmの山岳個人タイムトライアルで争われ、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)が2位に40秒差をつける圧倒的強さで攻略。今シーズン初勝利となるステージ優勝を挙げた。個人総合首位のリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)はも4位とまとめて、リーダージャージをキープ。残る1日へと駒を進めた。

ひとり別次元のタイムで走破したウラン、3年ぶりの勝利

今大会2回目の個人タイムトライアルステージは、23.2kmの山岳コース。スタートしてすぐに1級山岳オーバーアルプパスへアタック。ほぼ中間地点にあたる11.9km地点で頂上を迎えて、それからはフィニッシュめがけてのダウンヒル。独走力はもとより、登坂力と下りのテクニックも問われるユニークなタイムトライアルとなった。

特殊なステージとあって、選手たちはTTバイクに限らず、ノーマルバイクをチョイスするケースも多く見られた。

まずはヨナス・ルッチ(EFエデュケーション・NIPPO、ドイツ)の3737秒が基準タイムになって、有力選手たちがスタートするタイミングを迎えた。しばらくして、セーアン・クラーウアナスン(チームDSM、デンマーク)がトップタイムを31秒更新すると、続々と好記録が生まれる。

©︎ TdS

この大会が長期休養からの復帰戦であるトム・デュムラン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)は、1級山岳頂上に設けられた中間計測ポイントでクラーウアナスンのタイムを5秒上回ると、下りでも加速してフィニッシュでは8秒更新。この時点でトップに立ち、復活をアピール。さらにジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)も中間計測からトップに立つと、下りもこなしてさらに2秒トップタイムを短縮。その後はクライマーを中心に中間計測までは好ペースも、下りで乗り切れずマーダーまで届かない状況が続いた。

©︎ TdS

個人総合で上位の選手たちが登場すると、ウランが流れを大きく変えた。快調に上りをこなすと、中間計測でマーダーを28秒リード。十分なタイム差を得ると、下りでもさらにスピードを乗せて、勢いが衰えることなくフィニッシュまでやってきた。フィニッシュタイムは362秒。マーダーを54秒上回って、この時点でトップに立った。

©︎ Tim de Waele/Getty Images

さらには、ノーマルバイクでスタートしたジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)も好走。終始ウランまでは届かずも、上りに加えて得意のダウンヒルもこなして、40秒差で2番時計を記録。

最終走者のカラパスもリーダージャージのキープにかけて前半から飛ばす。こちらもウランからは遅れたものの、中間計測での49秒差から下りでのタイム差拡大を最小限にとどめて、フィニッシュでは54秒差とまずまず。

©︎ TdS

この結果、ひとり異次元のタイムで走ったウランのステージ優勝が決定。個人では2018年シーズン以来の勝利を挙げた。2位にはアラフィリップ、3位にマーダーと続き、カラパスも4位とまとめた。これにより、カラパスがリーダージャージを守った一方、2位以下でシャッフルが発生。ウランが17秒差の2位に浮上し、アラフィリップも39秒差の3位にランクアップした。

残すはあと1ステージ。アンダーマットを発着とする159.5kmは、この日のTTでも上った1級山岳オーバーアルプパス(登坂距離10.8km、平均勾配5.5%)をスタートしてすぐに登坂。一度下って2つ目の1級山岳ルコマニョパス(16.5km5.3%)へと向かってゆく。その後は長い下りと緩やかな上りを経て、最後にそびえるは超級山岳ゴッタルドパス(13.0km6.8%)。この上りで総合争いはクライマックスを迎える。頂上到達後は10kmほどの下りと平坦区間を走ってフィニッシュへ。8日間の戦いに終止符が打たれる。

ステージ優勝 リゴベルト・ウラン コメント

©︎ GettyImages

「この大会で勝つのは2007年以来。毎年難易度の高いステージが設けられていて、今日も上りと下りだけの特別なステージだった。それでも勝つことができ、個人的にもチームとしても特別な1日になった。

今年は子供の誕生もあって特別なシーズンだ。小さな問題もあってレースを回避したこともあったが、ツール・ド・フランスへの準備は整っていて、今大会でもハードなレースをこなして仕上げは順調だ。調子が良いので、あと1日もチャレンジしてみる」

個人総合首位 リチャル・カラパス コメント

Photo: INEOS Grenadiers

「リーダージャージをキープできて本当にうれしい。タイムトライアルは予想通りタフだったが、結果には満足している。

リゴ(ウラン)とのタイム差はまったく安全圏ではない。明日はさらに厳しい1日になるが、チームは強力なので心配はしていない。きっと美しい戦いになると思う。彼ら(EFエデュケーション・NIPPO)は彼らの、私たちは私たちの戦術で走り、それがすべての結果につながるはずだ」

ツール・ド・スイス2021 第7ステージ結果

ステージ結果

1 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)36’02”
2 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’40”
3 ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)+0’54”
4 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)ST
5 トム・デュムラン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+0’56”
6 マッティア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)+0’58”
7 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(チーム クベカ・アソス、イタリア)+1’00”
8 ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)ST
9 セーアン・クラーウアナスン(チームDSM、デンマーク)+1’04”
10 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)+1’05”

個人総合成績

1 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)20:37’27”
2 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+0’17”
3 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’39”
4 マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’07”
5 ヤコブ・フルサン(アスタナ・プレミアテック、デンマーク)+1’11”
6 マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネイション、カナダ)+3’10”
7 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(チーム クベカ・アソス、イタリア)+3’16”
8 サム・オーメン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+3’39”
9 ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+3’43”
10 エステバン・チャベス(チーム バイクエクスチェンジ、コロンビア)+4’29”

ポイント賞

シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)

山岳賞

アントニオ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)

ヤングライダー賞

アンドレアス・レックネスン(チームDSM、ノルウェー)

チーム総合成績

ドゥクーニンク・クイックステップ

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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