ツール・ド・フランス開幕!チームプレゼンテーションに23チーム・184選手登壇
福光俊介
- 2021年06月25日
第108回目となるツール・ド・フランスのチームプレゼンテーションが、現地6月24日に開幕地であるフランス・ブレストで行われた。選手・関係者が集う大会関連のイベントとしては、これが皮切りに。出場23チーム・全184選手がステージへと登壇し、これから始まる3週間の長旅へ、健闘を誓った。
2連覇へ向けポガチャル「挑戦し甲斐がある」
東京2020五輪開催の関係で、通例より1週間前倒しで行われる今年のツール。それでも、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で2カ月遅れになった昨年の大会を乗り越えて、2年ぶりに本来の開催時期に戻ったといえよう。今年の開幕地は、フランス北西部・ブルターニュ地方の街ブレスト。同地での開幕は2008年以来、13年ぶりとなる。
チームプレゼンテーションの会場となったのは、眼下にブレスト港を眺めるパルク・ア・シェヌ(チェーン公園)。昨年のように会場の内と外を壁で隔てることはしなかったものの、入場できるのは大会関係者を示すパスを持つ者に限定。こぢんまりとしたプレゼン会場の一方で、場外の高台からは多くのファンがその様子を一目見ようと集まっていた。
昨年はコロナ対策の一環として2チームずつステージに上がって紹介を受ける形だったが、今年は1チームずつの登壇に戻った。自転車熱の高いブルターニュとあって、同地出身の選手が登場するとひときわ大きな歓声が響いた。また、今大会の注目選手は単独でステージへと招かれる粋な演出も。10チーム目で登場したイスラエル・スタートアップネイションの登壇時には、2年ぶりのツール期間となるクリストファー・フルーム(イギリス)が大きな拍手の中登場。ツール初出場だった2008年の開幕がブレストだったことに触れるとともに、「大けがを乗り越えてこの場に戻ってこれたことに本当に感激している」と喜んだ。
このほか、マイヨヴェール奪還を目指すペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)や、マイヨアルカンシエルを着るジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイック・ステップ)も単独でステージへ。長いトレーニング期間でかなり絞れた印象のプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)は、「信頼できるメンバーがそろい、良い戦いができると思う」とコメントした。
そして、大トリを務めたのはUAEチームエミレーツ。昨年の覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア)も、盛大な歓声とともにステージへと上がった。期待が膨らむ王座防衛に関しては、「挑戦し甲斐がある」と力強い一言。実績・実力ともに申し分のないチームメートを従えて戦う意志を表明した。
ニューキットのお披露目も
新スポンサーの獲得や、ニューデザインのジャージを導入したチームにとっては、このプレゼンテーションがお披露目の場ともなった。
チーム クベカ・ネクストハッシュ(旧 チーム クベカ・アソス)は、5年契約を結んだネクストハッシュ社の名を記した新たなレーシングキットで登場。ファッションブランドのバーバリーとのパートナーシップも結び、ブランドロゴがジャージに記されている。
トタル・ディレクトエネルジーは、スポンサー企業の名称変更にともないチーム トタルエナジーズとしての初陣に。レーシングキットも白・赤・青の3色を基調としたものに変わった。
バーレーン・ヴィクトリアスは、赤基調から白をベースとしたデザインへ。チェスにインスパイアされたというボーラ・ハンスグローエのキットは、黒と緑の市松模様に変わっている。チーム ユンボ・ヴィスマのジャージには、世界中のサポーターの名前が記されている。
また、アルペシン・フェニックスはエースのマチュー・ファンデルプール(オランダ)の祖父であるレイモン・プリドールを想起させる紫と琥珀色のニューキットでステージへ。ただ、これはチームプレゼンテーション限定での着用となり、実際のレースではいつも通りネイビーベースのジャージを用いる。なお、このニューキットはオンライン販売を行い、売り上げは若手選手の育成に役立てられるという。
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。