東京五輪男子チームパシュート、デンマークがトップ、ガンナ擁するイタリアが2位で予選通過
福光俊介
- 2021年08月02日
各競技で熱戦が続いている東京五輪。自転車競技は8月2日からトラック種目がスタート。この日は男女のチームパシュートの予選が行われ、ロードレースとの兼任選手も多数出場。従来の五輪記録を5チームが塗り替えた男子は、世界記録を持つデンマークが1位。フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)を擁するイタリアも僅差で2位とした。
デンマークが3分45秒台の五輪新記録
ロードTT世界チャンプ擁するイタリアを予選で上回る
トラック競技は、UCI(国際自転車競技連合)が指定する国際大会の順位をポイント化し、その合計で上位となった国が出場権を獲得。チームパシュートには8チームが出場する。
この種目は1チーム4人編成で、250mのトラックを16周する4000mで争われる。予選は1チームずつ出走し、タイムを計測。そこでの順位をもとに、1回戦からは2チームがホームとバックに分かれて先着を目指す。なお、フィニッシュ時に有効となるのは3人目の前輪先端がフィニッシュラインを通過した際のタイムとなる。
トラック競技においては中距離種目に位置付けられ、その特性上ロードレースとの兼任選手も多い。すでにロードシーンで大活躍しているガンナのほか、スイスからはシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO)、マウロ・シュミット(チーム クベカ・ネクストハッシュ)、イタリアからはシモーネ・コンソンニ(コフィディス)、デンマークからはラッセノーマン・ハンセン(チーム クベカ・ネクストハッシュ)、イーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ)が出走した。
第1出走のカナダ、続くドイツと、前回のリオ大会でイギリスがマークした五輪記録3分50秒265に肉薄。さらに、4番目に出走したイタリアがその水準を一気に引き上げた。
スタートから飛ばすと、1000m過ぎにはカナダのタイムを1秒以上リード。2000m過ぎでは3秒近く上回る。特にガンナが前後半ともに牽引する長く牽引。フィニッシュタイムは、五輪新記録となる3分45秒895をマーク。
ニュージーランドも3分46秒079で続くと、世界記録を持つデンマークがさらに記録を更新。序盤からイタリアのペースを1秒以上上回ると、一時は2秒近いリードを確保。後半は少しペースが落ちたものの、それでも3分45秒014でフィニッシュし、樹立されたばかりの五輪記録をさらに更新。
7番目に登場したオーストラリアは、前半にアレクサンダー・ポーターがハンドル破損で落車するアクシデント。他種目の終了を待って際出走するが、タイムは3分48秒448。最終出走だったイギリスも、最後の1周で隊列を乱して3分47秒507にとどまる。両チームとも従来の五輪記録を更新しながらも、デンマークとイタリアに水を開けられる結果となった。
これにより、予選はデンマークが1位。イタリアが2位となった。翌3日に行われる1回戦は、レギュレーションにより予選1位が同4位と、同2位が3位との対戦に。デンマークはイギリスと、イタリアはニュージーランドと対戦。両レースの勝者が優勝決定戦へ、残る6チームのうちタイム上位2チームが3位決定戦を行う。
東京五輪トラック 男子チームパシュート予選 結果
1 デンマーク 3分45秒014(平均スピード63.996km)五輪新記録
2 イタリア 3分45秒895(63.746km)
3 ニュージーランド 3分46秒079(63.695km)
4 イギリス 3分47秒507(63.295km)
5 オーストラリア 3分48秒448(63.034km)
6 カナダ 3分50秒455(62.485km)
7 ドイツ 3分50秒830(62.384km)
8 スイス 3分51秒514(62.199km)
1回戦組み合わせ
カナダ(予選6位)-ドイツ(7位)
オーストラリア(5位)-スイス(8位)
イタリア(2位)-ニュージーランド(3位)※
デンマーク(1位)-イギリス(4位)※
※印のレース勝者が優勝決定戦へ。その他6チームのうちタイム上位2チームが3位決定戦へ、続く上位2チームが5位・6位決定戦へ、残る2チームが7位・8位決定戦へと進出する。
女子はドイツが世界記録でトップ
男子に先だって行われた女子チームパシュート予選は、ドイツが従来の世界記録を3秒近く上回る4分7秒307で1位となった。
こちらも8チームが出場。フランス、イタリアとまずまずの記録を出したのち、ドイツが3番目に登場。スタートから飛ばすと、一糸乱れぬ隊列で4000mを走破。前回のリオ大会でイギリスが残した4分10秒236を大幅に塗り替えた。
その後、7番目に出走したアメリカが後半乱れながらも4分10秒138、連覇を目指すイギリスが後半にペースを落としながらも4分9秒022をマークし、両チームもこれまでの世界記録を上回る好タイムで予選を終えた。
東京五輪トラック 女子チームパシュート予選 結果
1 ドイツ 4分7秒307(平均スピード58.227km)世界新記録
2 イギリス 4分9秒022(57.826km)
3 アメリカ 4分10秒118(57.573km)
4 イタリア 4分11秒666(57.219km)
5 フランス 4分12秒502(57.029km)
6 ニュージーランド 4分12秒536(57.022km)
7 オーストラリア 4分13秒571(56.789km)
8 カナダ 4分15秒832(56.287km)
1回戦組み合わせ
ニュージーランド(予選6位)-オーストラリア(7位)
フランス(5位)-カナダ(8位)
イギリス(2位)-アメリカ(3位)※
ドイツ(1位)-イタリア(4位)※
※印のレース勝者が優勝決定戦へ。その他6チームのうちタイム上位2チームが3位決定戦へ、続く上位2チームが5位・6位決定戦へ、残る2チームが7位・8位決定戦へと進出する。
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。