アルが衝撃の引退宣言! ブエルタ・ア・エスパーニャ開幕直前情報を現地からお届け
Bicycle Club編集部
- 2021年08月13日
8月12日、スペイン・ブルゴスで14日からのブエルタ・ア・エスパーニャ開幕に先立ち、出走するチームのプレゼンテーションが開催された。同日午後ファビオ・アル(チーム クベカ・アソス)が、今回のブエルタが彼にとって現役最後のレースとなることを発表し、多くのブエルタ関係者が驚かせた。ここではチーム・プレゼンテーションで聞いたコメントを、スペイン在住の對馬由佳理が届する。
今季限りでの引退を表明したファビオ・アル
今年のブエルタのチームプレゼンテーションが始まる約5時間前、チーム クベカ・アソスが発表したのが、今年限りでファビオ・アルが現役を引退するというニュースだった。
この日のチームプレゼンテーション終了後、アルが報道陣に今回の引退発表について、自ら説明した。
まず最初に「決して簡単な決断ではなかった。このブエルタ・ア・エスパーニャは、僕の自転車選手としてのキャリアで最後のレースになる」とはっきりと表明した。
報道陣から「なぜ、今引退するのか」という質問に対しては、「多くの人に僕から伝えたいことは「もう、僕は次の人生を考えるべきときが来たんだ。自転車から離れて、自分の人生を取り戻して、家族と一緒にいる時間もほしいので」と語った。
一応引退宣言はしたものの、これから3週間のレースに挑むアル。プロサイクリスト人生の集大成として、今年のブエルタをいかに戦うのかが注目されている。
優勝候補筆頭のログリッチをアシストするユンボ・ヴィスマのクス
今年のブエルタは優勝候補が数多くいることも話題の一つとなっている。
リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)、エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)、アダム・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ)ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)などの名前が上がる中、最も本命視されているのがプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ)だ。
12日のチームプレゼンテーションのあと、チーム ユンボ・ヴィスマのロベルト・ヘーシンクとセップ・クスの2人が報道陣の質問に応えた。それぞれ個別に報道陣の質問に応えていたのだが、2人の口から偶然同じ言葉が飛び出した。それは「今回のブエルタで、僕らはいいチームを組むことができたんだ」というものである。
アシスト人のチームに対する自信と信頼は、優勝候補の大本命にとって大きな支えになることは想像に難くない。チーム ユンボ・ヴィスマの強さを目の当たりにした瞬間となった。
地元スペイン選手に聞いた今年のブエルタのコースの印象は?
また、今年のブエルタのコースを選手たちはどのように分析しているのだろうか。まず、2人のスペイン人選手に今年の印象を聞いてみた。
フェルナンド・バルセロ(コフィディス)
今年で3回目のブエルタ出走となるフェルナンド・バルセロ(コフィディス)
「まず、今日のブルゴスからすごく暑いですもんね(笑)。ブルゴスはめったにここまで気温上がらないんです。北のブルゴスでこんなに暑いんだから、バレンシアとかアンダルシア行ったら、もっと暑くなるでしょうね。とはいえ、こうしたことは選手みんな同じ条件なので、僕はあまり気ににしないようにはしてますが」と語った。
また最終日のタイムトライアルにつて、「コースを見ると、今年は最終日のタイムトライアルで一気に状況が変わる可能性があります。だから、もしも僕のチームで誰かが表彰台争いをすることになったら、選手みんな最後まで気を抜けないレースになることは確かでしょうね」ともコメントしている。
ベテランのルイス・アンヘル・マテ(エウスカルテル・エウスカディ)
今年で10回目のブエルタ出走となるベテランのルイス・アンヘル・マテ(エウスカルテル・エウスカディ)
「僕としては今年のブエルタのコースは好きなタイプのコースなんです。平坦コースはもちろん、山岳コースも超級山岳のコースだけじゃなくて、中級山岳のコースもありますし。今までのブエルタと比較すると、今年はコースのバラエティが豊かだな、と思いますね。きっと日本で見ている方にも『スペインてこんなにいろんな景色があるんだ』と楽しんでいただける3週間になると思いますよ」と話した。
また彼の地元アンダルシアが舞台となる2週目については、「とてもハードなコースです。最初の休養日前のアルト・デ・ベレフィケの上りゴールは、今年のブエルタの中でもっとも厳しいステージの一つです。第10ステージと第11ステージは、大逃げを決めた選手がステージを勝つ可能性がありますね。また第12ステージのゴール地点のコルドバは歴史があり、ほんとに美しい街なので、ぜひ日本でみている方にも楽しんでいただきたいですね。」と話した。
地の利を活かしたい、スタート地点が地元のブルゴスBH
じつは今年のコースがバラエテイ豊かであること、つまり平坦コースも中級山岳も超級山岳も比較的バランスよく組み込まれていることを指摘する人物がもう1人いる。今回のブエルタにも出走している、ブルゴスBHのフリオ・アンドレス・イスキエルド総監督だ。今年のブエルタはこのチームの地元であるブルゴスがスタート地点となっている。
まず、今年のコースについてイスキエルド監督
「中級山岳も超級山岳も両方組み込まれているコースですね。平坦基調のステージも少なくないですし。本当にオールラウンドな選手でなければ、今年のブエルタで総合優勝できないでしょうね。ワールドツアーのチームと比較すると、ブルゴスBHは本当に小さなチームです。でも、つねに前に出て攻撃するのがこのチームの持ち味ですし、最初の3ステージはこのチームの庭みたいなところを走りますからね。ブエルタ・ブルゴスで転倒したベテランのダニ・ナバロも回復して戦列に復帰できましたし、他のチームを驚かす可能性はあると思います」とその自信を語った。
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