eスポーツ世界王者がプロ自転車選手に!オズボーンがドゥクーニンク・クイックステップ入り!
福光俊介
- 2021年08月31日
ロードレース・UCIワールドチームのドゥクーニンク・クイックステップは、2020年に初開催されたUCI自転車eスポーツ世界選手権の男子王者で、先の東京五輪ではボート競技・軽量級ダブルスカルで銀メダルを獲得したジェイソン・オズボーン(ドイツ)が加入したことを発表した。今後はボートから自転車に本格転向し、ロードレースで世界に挑戦する。
東京オリンピックではボート競技で銀メダルを獲得
オズボーンはドイツ中西部・マインツ出身の27歳。2013年にボート競技・4人スカルで世界選手権銀メダルを獲得したのを皮切りに、これまで同大会では軽量級シングルスカル、軽量級ダブルスカルと合わせて3つのメダルを獲得。東京五輪では軽量級ダブルスカルで五輪初メダルとなる銀メダルを獲得した。
また、ボート競技と並行して自転車競技にも取り組み、個人タイムトライアルで2018年のドイツ選手権8位、2019年の同大会では6位に入っていた。そして、2020年12月にはUCI自転車eスポーツ世界選手権で初代王者に。ZWIFTを活用し、50kmで争われたレースで優勝。“現実世界”のロードレースにおけるトップライダーも多数出場したレースで、世界の頂点に立った。
東京五輪までボート競技に機軸を置いてきたが、ドゥクーニンク・クイックステップとの契約を機にロードレースへとシフトする意向であることも表明。ZWIFTで見せた能力を実際のレースで生かしていく。
UCI(国際自転車競技連合)サイクリングeスポーツ世界選手権では名だたるプロ自転車選手を差し置いて優勝し、世界チャンピオンとなった PHOTO:Zwift公式Youtubeより
ジェイソン・オズボーン コメント
「私にとってドゥクーニンク・クイックステップでスタジエール(研修生)になることは多くのことを意味します。本当はすぐにでもサイクリングに移行したかったのですが、ボート競技のために100%のコミットができませんでした。オリンピックを成功させた今、サイクリングに集中していきます。世界で最も成功しているドゥクーニンク・クイックステップでのデビューは私にとって最高の機会です。多くの素晴らしいライダーがチームから輩出され、何年にもわたって育成にも寄与してきました。
サイクリングはボートでのトレーニングの一部でした。2012年にロードバイクをはじめて購入して以来、多くの基本トレーニングに用いてきました。その後、何年にもわたって情熱を傾け、レースにも取り組み、能力アップにも挑戦してきました。得意なのはタイムトライアルですが、短い上りでパワーを必要とする丘陵コースも好みです。その動きはボートで必要とするのに似ています。今後学ぶべきことが多いのは分かっていますが、一歩ずつ、自分に何ができるか見ていきたいと思います」
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。