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シャンプッサンが間隙をついてプロ初勝利、総合上位陣は大シャッフル|ブエルタ第20ステージ

スペインで開催されているグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャの第20ステージが現地94日に行われた。202.2kmの山岳コースを走ったレースは展開がめまぐるしく変わる大激戦。ステージ優勝は、トップを走っていた個人総合上位陣の間隙を縫ってアタックしたクレモン・シャンプッサン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)が逃げ切り。プロ初勝利をグランツールで挙げた。個人総合では上位選手が山岳区間で分裂したことで順位が大きくシャッフル。プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)がマイヨロホを守った一方で、3位でスタートしたミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)がリタイアするなど、最終日前日に波乱が待っていた。

シャンプッサンが大金星、総合勢も激変で最終日へ

開幕から19日間駆け抜けてきたブエルタ。残すところステージは2つになった。第20ステージは、大西洋沿いのリゾート地サンシェンショからカストロ・デ・エルヴィリェまでの202.2km。コースは後半の約100km5つのカテゴリー山岳が詰め込まれ、そのレイアウトは主催者にして“ミニ・リエージュ~バストーニュ~リエージュ”。クラシックレースを想起させるようなタフな上りが連続するコースが、大会最終日前日に用意された。そして何より、今大会最後のロードレースステージ。最終・第21ステージが個人タイムトライアルで争われることから、TTを苦手にする選手や、総合系ライダーであれば上位のポジションを固めたい選手たちにとっては最後のチャンス。この日だけで最大28ポイント獲得できる山岳賞争いも大詰めだ。

そんなレースは、出走を取りやめたアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)とオイエル・ラスカノ(カハルラル・セグロスRGA、スペイン)をのぞいた143人がコースへ。リアルスタートからアタックの応酬となる中、7km地点で数人が集団から抜け出すことに成功。その選手たちをめがけた追走も発生し、その後メンバーの入れ替わりがありながら最大16人に先頭グループが形成される。やがてメイン集団もこれを容認するムードとなり、中間地点では最大1030秒差にまで広がった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

ステージの後半パートに入ってカテゴリー山岳の上りが始まると、逃げメンバーの中から山岳賞のモンターニャを着るマイケル・ストーラー(チームDSM、オーストラリア)が積極的に前線へ。頂上では山岳ポイントの加算を続け、3連続で1位通過。カテゴリー山岳を2つ残した段階で、最終目的地までの完走を条件に山岳賞獲得を確定させた。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

かたや、メイン集団は山岳区間に入ってイネオス・グレナディアーズがペースを上げて、先頭との差を着々と縮小させていく。この流れから、個人総合6位でスタートしたアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がアタック。すかさずマイヨロホのログリッチらが反応し、あっという間に個人総合上位の選手たちだけに絞り込まれる。さらに同10位のダビ・デラクルス(UAEチームエミレーツ、スペイン)、同5位のエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)とアタックするが、ここは精鋭たちがきっちり対処。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

その直後、大きな局面が訪れた。フィニッシュまで約60kmを残した段階でイェーツが再度のアタック。これにログリッチ、同2位エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)、同4位ジャック・ヘイグ(オーストラリア)と同8位のジーノ・マーダー(スイス)のバーレーン・ヴィクトリアス勢がすぐについたが、上りの緩斜面でのペースアップにグループが自然分裂したような格好となり、ロペスやベルナルが後方に取り残されてしまった。これで流れをつかんだのがバーレーン・ヴィクトリアスの2人。ヘイグの総合順位アップの可能性が出てきたことから、マーダーが牽引役を務めてそのまま先を急ぐ選択。後方待機のメンバーは、チームメートが前を走っている選手がほとんどだったことも関係してペースが上がらず、総合順位をキープしたいロペスだけが引っ張る状況になってしまった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

こうなると、マイヨロホグループは後続の選手たちとの差を広げる一方。マーダーが長く引くバーレーン・ヴィクトリアスはこの展開を受けて、逃げに入っていたマーク・パデュン(ウクライナ)を下げて牽引役にすると、逃げからこぼれた選手たちを一気にキャッチ。10人近い人数のパックに膨らんだこともあり、事実上のメイン集団へと代わっていく。一方、ロペスらのグループはペースが上がらず、ダウンヒルで追ってきた選手たちが続々と合流。モビスターのアシスト陣がペーシングを担ったが、ログリッチらとのタイム差が広がるにつれてロペスが戦意を喪失。次第にこのグループからも遅れだしてしまい、最後は自らリタイアをすることを決めてしまった。

短時間で大きく動いた総合勢をよそに、先頭はライアン・ギボンズ(UAEチームエミレーツ、南アフリカ)が下りで独走に持ち込んで逃げ続けた。約1分差で7人の追走グループが続き、2級山岳アルト・デ・プラドを越えて最後の登坂となる同じく2級のカストロ・デ・エルビリェへと入った。

全長9.7kmで平均勾配4.8%、上り始めで最大勾配16%となる峠を逃げ切りをかけたギボンズがトップで突き進む。追走グループでもアタックがかかって活性化したが、勢いではその上を行くログリッチらのメイン集団が迫り、急坂区間をクリアしたところで1つに。逃げ残りはギボンズただ1人となる。

そしてメイン集団では、個人総合上位陣の合流後は静かにレースを進めていたミケル・ビスカラ(エウスカルテル・エウスカディ、スペイン)が残り7kmで計ったようにアタック。これで集団メンバーのスイッチが入ると、イェーツもカウンターで攻撃。なかなか決定打が生まれないが、ログリッチ、マス、ヘイグはイェーツの動きに絞って対処。こうしているうちにギボンズとの差が縮まっていき、残り3.5kmでついに追いついた。

その後もアタックとチェックが連続し、ログリッチ、マス、ヘイグ、イェーツは牽制する時間も長くなっていく。このまま最終盤の急坂区間に入ったところで、4人が見合う間隙を縫ってアタックしたのがシャンプッサンだった。総合成績に関係しない選手とあって、4人はノーリアクション。そのまま逃げを許されたシャンプッサンは、最後の急坂も全身を使ったダンシングで上りきり、一番にフィニッシュラインを通過した。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

プロ2シーズン目、23歳のシャンプッサンは、これがプロ初勝利。フランス南部・ニースの出身で、ジュニア時代はマウンテンバイクで年代別のトップを走った経験を持つ。ロードに本格転向後は現チームの下部組織で鍛え、昨シーズン途中にトップチーム入りを果たしていた。かねがね将来を嘱望する声も挙がっていたフレンチライダーだが、昨年に続くブエルタ出場で大きな勝利をつかみ、いよいよトッププロへの道を加速していくことになる。

シャンプッサンの激走から6秒後、総合勢4人ではログリッチが先着となる2位フィニッシュ。その2秒後にイェーツ、マスと続いて、さらに4秒後にヘイグがやってきた。その後は逃げていた選手たちが続々と頂上へと到達。一時は精鋭グループの牽引役を務めたマーダーもステージ9位とまとめた。ベルナルら後方に残された総合系ライダーは、それから6分以上あとのフィニッシュだった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

大波乱のレースで、個人総合順位は大きくシャッフル。ログリッチとマスの順位は固かったが、うまく立ち回ったヘイグ、イェーツ、マーダーがそれぞれ3位・4位・5位へとジャンプアップ。最終の個人タイムトライアルを前に、総合表彰台がかかるヘイグとイェーツの差はちょうど1分。また、マーダーはヤングライダー賞のマイヨブランコをベルナルから奪うことに成功。同6位とワンランク下げたベルナルとのタイム差は324秒あり、同賞の形勢はおおよそ決まった印象だ。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

なお、新城幸也はトップから3417秒差の112位でフィニッシュ。15回目のグランツール完走が目の前までやってきた。バーレーン・ヴィクトリアスはチーム総合で1位とし、最終の表彰台を残る1ステージにかける。

大会はいよいよ最終日。最後を飾るのは、巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの33.8km個人タイムトライアル。パドロンを出発すると、しばし上り基調。15kmを過ぎたあたりから一転して下りとなって、部分的にテクニカルな箇所も通過する。そして残る9kmで再び上りに。締めは旧市街の敷石の道を抜けて、大聖堂の前でフィニッシュを迎える。このステージを終えた時点で個人総合トップの選手が、第76回ブエルタ・ア・エスパーニャの勝者となる。3連覇がかかるログリッチは十分なリードをもってスタートラインへ。このTTは晴れやかなウイニングライドとなるだろうか。

ステージ優勝 クレモン・シャンプッサン コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

「個人総合上位の選手たちに捕まった時は複雑な気持ちだった。急坂で彼らから遅れてしまったが、ジーノ・メーダーの動きに合わせながら何とか持ちこたえて、前へと追いつくことができた。フィニッシュまで1km以上残ったところで牽制しているのが見えたので、思い切ってアタックした。結果的に十分なリードを得られたのは本当に幸運だった。

ステージ優勝は意外だった。3週間を通して浮き沈みがあり、昨日は体調が悪かった。今日逃げでレースを進められたこと自体予想外で、リリアン・カルメジャーヌとスタン・デウルフと一緒に走れたことも状況をよくした。彼らが私を助けてくれたことに感謝している。トップライダーに先着した事実で恩返しできるのもとてもうれしい」

マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

「スーパーハッピーだ。これ以上ないレースができたと思う。イェーツとマスを見ながら走っていたが、最終局面は混戦だった。この状況でアタックを決めるのは圧倒的な力がない限り難しい。レースのコントロールもうまくいき、前半はチームとしてよい展開を作ることができた。山岳に入ってからイネオスの攻撃で状況は一変したが、しっかりと走り切れてよかった。明日の個人タイムトライアルは本当に楽しみ。この日を待っていたので、ついに迎えられる喜びでいっぱいだ」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第20ステージ 結果

ステージ結果

1 クレモン・シャンプッサン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)5:21’50”
2 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’06”
3 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’08”
4 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)ST
5 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+0’12”
6 クリス・ハミルトン(チームDSM、オーストラリア)+0’16”
7 ミケル・ビスカラ(エウスカルテル・エウスカディ、スペイン)+0’23”
8 ライアン・ギボンズ(UAEチームエミレーツ、南アフリカ)+0’26”
9 ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)ST
10 フロリス・デティエ(アルペシン・フェニックス、ベルギー)+0’50”
112 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+34’17”

個人総合(マイヨロホ)

1 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア) 83:11’27”
2 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+2’38”
3 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+4’48”
4 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+5’48”
5 ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)+8’14”
6 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+11’38”
7 セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+13’42”
8 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+16’11”
9 ダビ・デラクルス(UAEチームエミレーツ、スペイン)+16’19”
10 フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)+20’30”
113 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+4:36’07”

ポイント賞(プントス)

ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ、オランダ)

山岳賞(モンターニャ)

マイケル・ストーラー(チームDSM、オーストラリア)

新人賞(マイヨブランコ)

ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビューはこちら↓
【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

2021年08月13日

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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