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ガンナが男子エリート個人TTで2連覇、ワウトとの激戦制する|UCIロード世界選手権

2021年シーズンのロードレース世界王者を決める「UCIロード世界選手権」が、919日にベルギー・フランドル地方を舞台に開幕した。大会初日は男子エリート個人タイムトライアルが行われ、前回大会のこの種目の勝者であるフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)が2連覇を達成。地元勝利に燃えたワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)を6秒差でかわした。

歴史的勝負はガンナに軍配、時速54km台で走破

マイヨアルカンシエルをかけた戦い、今年の開催地は自転車王国ベルギーは北部のフランドル地方。ロンド・ファン・フラーンデレンに代表される名レースが数々行われ、その時代を代表する好選手を次々と輩出してきた。自転車競技が国技とあって、実際にレースでは多くのファンが沿道に立ち、駆けていく選手たちを応援した。

ロード世界選手権の第1回大会開催から100年を迎える節目の今回。オープニングレースとして行われたのが男子エリート個人タイムトライアル。北海に面したクノック=ヘイストをスタートし、南へと進行。途中で北へと向きを変えるが、再び南に向きを戻してブルッヘにフィニッシュする43.3km。ほぼ平坦基調で、獲得標高も78mと上下の変化がほとんどない。主役となるのはタイムトライアルスペシャリストと予想されるが、海からの風が強くなったときにいかに攻略するかがポイントと考えられた。

55選手が130秒間隔でコースへと繰り出した。UCIワールドツアーを主戦場とする選手たちが早いスタート順から続々と登場し、上位のタイムを刻んでいく。その中で基準となったのが、17番出走のレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)。今回の優勝候補にも挙げられる21歳が、13.8km地点と33.3km地点に設定された中間計測ポイントでともに暫定トップのタイムをマーク。バイクに装着していたボトルを途中で落とすアクシデントもあったが、勢いは衰えず4831秒でフィニッシュ。後半に控える有力選手たちの目安となった。

©TimDe Waele / Getty Images

しばらくエヴェネプールのタイムに迫る選手が現れず、そのまま出走は残り4人に。そのいずれもが序盤から攻めて、レースの水準を一気に高めた。

最後から4人目に出走したカスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク)が第1計測でエヴェネプールのタイムを6秒上回ると、続くシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)がそれを5秒更新。この2人をはるかに上回ったのが、最後から2人目でコースへと出たファンアールト。キュングが記録したばかりのタイムを17秒更新。最終走者のガンナはファンアールトから6秒遅れて、中盤の走りへと移った。

©︎ Getty Images

2計測へと向かうレース半ばの走りでもハイペースを維持したのが、ファンアールトとガンナ。アスグリーンとキュングはそれぞれ少しずつエヴェネプールのタイムから遅れたが、ファンアールトは第2計測ポイントでトップタイムを31秒更新。ガンナも遅れまいと、ここを1秒以内のコンマ差で続き、この時点で優勝争いは実質ファンアールトとガンナに絞られた。

運命の最終パート。粘ったアスグリーンはエヴェネプールから2秒差でフィニッシュ。キュングも23秒差にとどめて、メダルの可能性を残した。しかし、最後まで異次元のスピードで走ったファンアールトとガンナ。頂上決戦にふさわしい好走を見せた両者は、まずファンアールトが4753秒で文句なしの暫定トップ。地元フランドルの熱狂的な声援を受けて平坦コースを攻略した。

そして、最後にやってきたガンナ。きわどい勝負にファンアールトが興奮気味に待つ中、マークしたタイムは4747秒。中盤から終盤にかけてペースを上げる走りで、最後はファンアールトのタイムも上回ってみせた。アベレージスピードは54.370km。昨年に続く勝利で、この種目のアルカンシエル防衛に成功した。

フィリッポ・ガンナは、イタリア北部・ヴェルバーニア出身の25歳。早くからトラックとロードの兼任選手として頭角を現し、2017年にUAEチームエミレーツでプロキャリアをスタート。2019年に現チーム(当時チーム スカイ)に移籍し、いまに至っている。この夏の東京五輪では、個人タイムトライアルでは5位に終わったが、メインに据えたトラック競技ではチームパシュートで金メダルを獲得。引き続きトラックと並行して走っており、10月にはUCIトラック世界選手権への出場を予定している。今大会は、この種目と22日の行われるチームタイムトライアルミックスリレーに出走する。

引き続きアルカンシエルを着るガンナの脇を固めたのは、ファンアールトとエヴェネプールのベルギー勢。表彰式では、地元選手の活躍に沸く会場内の熱気に応えて笑顔を見せた。

©︎ Getty Images

最高のムードで幕を開けた今大会。20日は男子アンダー23と女子エリートの個人タイムトライアルが行われる。

優勝 フィリッポ・ガンナ コメント

「短めの高地キャンプを実施後、1週間で調子が整ったと思ったが、ヨーロッパ選手権(9日)では脚の状態が悪く、正直ここまで調子が良いか分からなくなっていた。ただ今朝は目が覚めた時に脚の調子の良さを感じられたので、ジャージを守れると思っていた。再び勝利しアルカンシエルを手に入れるのは夢のよう。もう1年、喜びを感じながら走りたいと思う」

2位 ワウト・ファンアールト コメント

「ガンナは非常に優れたタイムトライアルスペシャリストであり、私よりも経験や実績が豊富。私としては彼にどれだけ近づけるかがテーマだったが、今日の結果には満足したいと思う。でき得る限り最高の結果だったが、アルカンシエルまであと少しだった事実は少し残念。この後は、来週日曜に控えるロードレースに向けて集中する。自信はあるし、今日のような地元ファンの熱気の中でレースをできることは本当に楽しみだ」

3位 レムコ・エヴェネプール コメント

「コースを攻略できたので、満足できるレースだった。トレント(ヨーロッパ選手権)で貴重な教訓を得て今大会を迎えていた。そのときは前半に飛ばしすぎてしまったので、今回は後半にテンポを上げることを重視していた。この大会で表彰台に立つことができて本当にうれしい。この1年間、決して楽な日々ではなかったが、このような日がやってくると信じて走り続けてきた甲斐があった」

UCIロード世界選手権 男子個人タイムトライアル(43.3km)結果

1 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)47:47.83(Ave. 54.370km/h)
2 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+06
3 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+44
4 カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク)+46
5 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)+107
6 トニー・マルティン(チーム ユンボ・ヴィスマ、ドイツ)+1’18”
7 シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)+1’26”
8 イーサン・ハイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’27”
9 エドアルド・アッフィニ(チーム ユンボ・ヴィスマ、イタリア)+1’49”
10 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’53”

訃報 クリスアンケル・セレンセン氏がライド中に事故

今大会の開幕を前に、自国デンマークテレビ局のコメンテーターとして現地入りしていたクリスアンケル・セレンセン氏が18日、ライド中の交通事故により亡くなった。37歳だった。

事故当時は個人タイムトライアルのコース近くを走行中で、車に追突される形で地面へと叩きつけられたという。

この出来事に、選手や競技関係者の多くがSNSを通じてコメントし、UCI会長のダヴィ・ラパルティアン会長も「言葉にできない悲しみを感じている。彼の家族や友人、デンマークサイクリング協会に心よりお悔やみを申し上げたい」とツイートした。

2007年にチームCSCでプロ入りしたセレンセン氏は、2009年のジャパンカップや2010年のジロ・デ・イタリア第8ステージでの勝利など、数々の実績を上げた。チームCSCや後継のサクソバンク時代はアンディ・シュレク(ルクセンブルク)らの山岳アシストとしても活躍。長くトップライダーとして活躍したのち、2017年には地元のリワルサイクリングへと移籍し、若手育成を兼ねながらアシストとしてキャリアを終えていた。

19日の男子エリート個人タイムトライアルのスタート前には、セレンセン氏の逝去を悼み、黙祷を捧げた。

セレンセン氏の早すぎる逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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