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2年ぶりに戻ってくる「北の地獄」パリ~ルーベ2021プレビュー|ロードレースジャーナル

vol.16 雨予報のパリ~ルーベ
コースを攻略するのは経験か勢いか!?

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。103日、レースシーンへ2年ぶりにパリ~ルーベが帰ってくる。数々の名勝負と衝撃をもたらしてきた「北の地獄」は帰還とともに、新たな時代の到来を告げることだろう。今回は118回目を迎える大会にフォーカス。コースの特徴や30カ所に及ぶパヴェセクション、注目選手のピックアップでレースへの思いを馳せたい。

アフターコロナ下でのパリ~ルーベ開催

新型コロナ禍における混乱がいまだ世界中で続く中、ロードレースシーズンは“アフターコロナ”を目指して進行中だ。最上位カテゴリーのUCIワールドツアーは残り2戦。大詰めを迎えたシーズンのヤマ場の1つが、パリ~ルーベである。

通例では4月に開催されるこのレース。昨年はシーズン中断時期と重なり、10月下旬の開催に一度は決まったが、ルーベを含むオー=ド=フランス地域圏の感染状況が悪化の一途をたどっていたこともあり、中止という苦渋の決断を強いられた。大会復活に向け動いた今年も、同様の理由で4月開催を断念。103日へと延期を決めてからは、主催者A.S.O.、さらには街や周辺地域を含めて関係するすべての人たちが開催への執念を見せて、この伝統レースの帰還へと導いた。

前述したように、“アフターコロナ”は進んでいる。ワクチンの接種やPCR検査・抗原検査の強化と並行して、ウイルスとの共生へとシフトしている。この春まではレース開催を許可しなかった同地自治体も、時世の流れに沿って実施へとゴーサインを出した。

2年ぶりに開催されるパリ~ルーベ ©︎ ASO/Pauline Ballet

30カ所・全長55kmのパヴェセクションを行く

2年ぶり」というブランクがあっても、「北の地獄」であることには変わりない。残酷ともいえるルートは、パリから北に位置するコンピエーニュをスタートし、ルーベまでの257.7kmで争われる。

スタートからおおよそ3分の1は平坦路を走行。96.3km地点から、全30カ所・全長55kmのパヴェセクションが始まる。

パヴェ全30セクション

30 96.3km地点(残り161.4km)トロワヴィル~アンシー 2.2km ★★★

29 102.8km地点(154.9km)ヴィースリー〜キエヴィ 1.8km ★★★

28 105.4km地点(152.3km)キエヴィ~サンピトン 3.7km ★★★★

27 110.1km地点(147.6km)サンピトン 1.5km ★★

26 116.6km地点(141.1km)オウシー~サン=マルタン=シュール=エカイヨン 0.8km ★★

25 120.9km地点(136.8km)サン=マルタン=シュール=エカイヨン~ヴェルテン 2.3km ★★★

24 127.3km地点(130.4km)カペル~リュヌ 1.7km ★★★

23 136.3km地点(121.4km)アルトル~ケレネン 1.3km ★★

22 138.1km地点(119.6km)ケレネン~マン 2.5km ★★★

21 141.2km地点(116.5km)マン~モンショー=シュール=エカイヨン 1.6km ★★★

20 154.2km地点(103.5km)アブルイ~ワレー 2.5km ★★★★

19 162.4km地点(95.3km)トルエー・ド・アランベール 2.3km ★★★★★

18 168.4km地点(89.3km)ワレー~エレーム 1.6km ★★★

17 175.2km地点(82.5km)オルネン~ヴァンディニー 3.7km ★★★★

16 182.7km地点(75km)ヴァルレン~ブリヨン 2.4km ★★★

15 186.2km地点(71.5km)ティヨワ~サール=エ=ロジエール 2.4km ★★★★

14 192.5km地点(65.2km)バーヴリー=ラ=フォレ~オルシー 1.4km ★★★

13 197.5km地点(60.2km)オルシー 1.7km ★★★

12 203.6km地点(54.1km)オシー=レ=オルシ~ベルシー 2.7km ★★★★

11 209.1km地点(48.6km)モン=サン=ペヴェル 3km ★★★★★

10 215.1km地点(42.6km)メルニー~アヴラン 0.7km ★★

9 218.5km地点(39.2km)ポン・ティボー~エンヌヴラン 1.4km ★★★

8 223.9km地点(33.8km)タンプルーヴ・レピネット 0.2km ★

8 224.4km地点(33.3km)タンプルーヴ・ムーラン=ド・ヴェルテン 0.5km ★★

7 230.8km地点(26.9km)シソワン~ブルゲル 1.3km ★★★

6 233.3km地点(24.4km)ブルゲル~ワヌアン 1.1km ★★★

5 237.8km地点(19.9km)カンファナン=ペヴェル 1.8km ★★★★

4 240.5km地点(17.2km)カルフール・ド・ラルブル 2.1km ★★★★★

3 242.8km地点(14.9km)グルソン 1.1km ★★

2 249.5km地点(8.2km)ヴィレム~エム 1.4km ★★★

1 256.3km地点(1.4km)ルーベ 0.3km ★

 

注目すべきは、やはり五つ星。アランベール(セクター19)、モン=サン=ペヴェル(セクター11)、カルフール・ド・ラルブル(セクター4)。パヴェの距離や石畳の粗さなどから見ても、脚やテクニックの差が明確になりやすく、集団の絞り込みには十分なポイントと言える。また、最後から4つ目のセクションとなるカルフール・ド・ラルブルはしばしば決定的な局面が生まれる場所であり、今回も勝負どころとなる可能性がある。

なお、レース前日から雨が続くとの予報で、荒れた路面にさらに滑りやすさという要素が増すことも大いに考えられる。過去には逃げから上位進出を果たした選手も存在するが、今回も前線でのレース運びがプラスに作用することもあり得そうだ。

レース当日は雨予報。荒れた路面に滑りやすさも滑りやすさも大きな影響を及ぼしそうだ ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

群雄割拠の優勝争い 新王者誕生はあるか!?

ロードレースのセオリーが一切通用しないのがパリ~ルーベの恐ろしさ。これまでも思いもよらぬ方向へとレースが展開されていったことは数知れず。何より、昨今のトップシーンは群雄割拠で、このようなワンデーレースにおいても絶対王者が存在しない趣きがある。

重要ポイントを挙げるとするなら、「経験」と「勢い」、どちらが勝るかといったところだろうか。

まず、優勝経験者では、前回(2019年大会)覇者のフィリップ・ジルベール(ロット・スーダル、ベルギー)を筆頭に、ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)、グレッグ・ファンアーヴェルマート(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム、ベルギー)、ジョン・デゲンコルプ(ロット・スーダル、ドイツ)、ニキ・テルプストラ(チーム トタルエナジーズ、オランダ)が出走を予定している。彼らに共通するのは、それまでに優勝争いに加わったことが何度もあり、攻略法を心得ていることだ。いずれも、このところは絶対的な力を見せつける場面が減っているものの、経験や実績では他を凌駕している。

2019年大会優勝のフィリップ・ジルベール(中央)を筆頭に5人の優勝経験者が出場を予定している ©︎ ASO/Pauline Ballet

だが、そんな彼らの「経験」を退けるだけの「勢い」が多くの選手から感じられる。新王者の誕生の可能性は大いにあるといえるだろう。

その筆頭格になるのが、ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)になってくる。この大会の自己最高は2018年の13位だが、現在の力を考えれば上位進出をするであろうことは自然な見方。当然ライバルのチェックは厳しくなる。

ワウト・ファンアールト ©️ A.S.O./Pauline Ballet

ワウトを挙げるなら、もちろんマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)を無視するわけにはいかない。いよいよルーベ初出場を果たすが、東京五輪からの背部痛とうまく付き合いながら優勝を目指す。チームには20182位のシルヴァン・ディリエ(スイス)が控え、要所でのサポートが得られそうだ。背部の痛みが消えておらず、一気のアタックが難しいことを認めているが、違ったアプローチを試みたいと前を向いている。

マチュー・ファンデルプール ©️ A.S.O./Pauline Ballet

チーム力では間違いなくナンバーワンなのがドゥクーニンク・クイックステップ。今年のロンド・ファン・フラーンデレン王者のカスパー・アスグリーン(デンマーク)には石畳のダブル制覇がかかっている。ロード世界選手権では個人タイムトライアルで4位に入ったが、その後体調を崩し、ロードレースはアシストに専念。状態を立て直してルーベ本番を迎える。世界選で上位争いに加わったゼネク・スティバル(チェコ)やフロリアン・セネシャル(フランス)、さらにはパヴェ巧者のイヴ・ランパールト(ベルギー)も控えており、どこからでも勝負ができるのが強み。アスグリーンが「チームとして攻撃的な走りをしていく」と宣言するように、アグレッシブな動きから勝機をつかむ構えだ。

カスパー・アスグリーン(先頭) ©︎ A.S.O./Alex Broadway

ここまで絶好調のソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)は、意外にも今回が初出場。世界選ではワウト、マチューとの探り合いの末にそろって敗れたが、それからルーベに照準を定めている。ヨーロッパチャンピオンジャージのお披露目でもあり、モチベーションは上々。スペシャリストのハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)や、オールラウンダーのマテイ・モホリッチ(スロベニア)もそろい、こちらもチーム力としては高いものをもつ。

ソンニ・コルブレッリ ©️ A.S.O./Charly Lopez

ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)とマッズ・ピーダスン(デンマーク)のダブルリーダー態勢のトレック・セガフレードだが、ここへきて20歳のクイン・シモンズ(アメリカ)の評価が高まっている。変化の多いコースにも対応できるのが強みで、今回一気に上位へと食い込んでくることも考えられる。

コース試走中のマッズ・ピーダスン ©️ A.S.O./Pauline Ballet

これまであと一歩頂点に届かずにいるセップ・ファンマルク(イスラエル・スタートアップネイション)とオリバー・ナーセン(アージェードゥーゼール・シトロエンチーム)の両ベテランベルギー人ライダーもこのレースへ合わせてきているはず。ここ一番に強いアレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ、ノルウェー)も侮れない。

先のロード世界選手権のメダル獲得者のうち、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)は出場しないが、銀メダルのディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)、ミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・NIPPO、デンマーク)は出走の見込み。当然このレースでも上位候補に挙がる。

女性版パリ~ルーベが初開催

今年から女子部門が初開催される。当初は昨年から開催される予定だったが、中止になった関係で今回晴れて初の女子パリ~ルーベが実施される。

レースは男子に先だって102日に行われる。こちらはルーベの南に位置するドゥナンを出発し、総距離115.6km、パヴェ全17セクターで争われる。また、男子ジュニアレースもこの日の午前中に同じルートを使って行われる。

2021年大会から女子レースも開催される ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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